高病原性鳥インフルエンザの診断・治療に関する国際連携研究

文献情報

文献番号
201123029A
報告書区分
総括
研究課題名
高病原性鳥インフルエンザの診断・治療に関する国際連携研究
課題番号
H22-新興・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
河内 正治(独立行政法人 国立国際医療研究センター 手術部)
研究分担者(所属機関)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部生殖発達医学講座小児科学分野)
  • 本間 栄(東邦大学医学部呼吸器内科)
  • 鈴木 和男(千葉大学大学院医学研究院)
  • 山本 健二(国立国際医療研究センター研究所)
  • 大島 正道(国立感染症研究所免疫部)
  • 川上 和義(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻感染分子病態解析学分野)
  • 赤池 孝章(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 中島 典子(国立感染症研究所感染病理部)
  • 影山 努(国立感染症研究所インフルエンザウィルス研究センター)
  • 岡本 竜哉(熊本大学大学院医学薬学研究部 微生物学分野)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所感染病理部)
  • 志賀 由佳(国立国際医療研究センター 麻酔科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
31,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.高病原性鳥インフルエンザヒト感染について、疫学/病理学/免疫学的側面から病態と実態を解析し、診断/治療ガイドラインを作成してその本態と治療法を社会に提言する。
2.複数の国と国際医療共同研究を推進する。
研究方法
1.インフルエンザ(H5N1)誘発の劇症型ARDS 患者の臨床像の調査と解析
 ・ベトナム/インドネシアの医療機関とインフルエンザ(H5N1)を含む劇症型ARDS 患者の解析。
 ・ベトナムなど、現地におけるインフルエンザ(H5N1)に対する治療方法の共同開発。
2.作成したモデル動物を用いた治療法の検証
 ・劇症型ARDSモデルマウスによる薬剤治療効果の検証
 ・肺胞洗浄液中/血液中のサイトカイン等、抹消血中の免疫細胞機能の解析
3.鳥インフルエンザ(H5N1)迅速診断法の開発
 ・ベットサイドで使用可能な迅速診断キットの開発
 ・遺伝子解析法を用いた迅速な確定診断法の開発
 ・上記の迅速診断法/確定診断法を用いてILI(Influenza like illness)の診断、疫学的解析
4.鳥インフルエンザ(H5N1)ヒト感染を含む、インフルエンザ重症化因子としてのARDSを広く知らしめるための書籍の刊行
結果と考察
ハノイ国立小児病院においてのさらなるBio-Markers(ニトロ化物質、チトクロームCなど)の測定を行なった。また、ウイルス性肺炎において大量ガンマグロブリン療法を試みた成果も次第に証明されつつあり、これらについて完成した3タイプの動物モデルを用いて治療実験を行い、LPSモデルとVILIモデルで抗炎症薬であるシベレスタットの有効性が検証されつつある。また、臨床的には安全性がすでにある程度確立されている抗菌薬などが候補に挙げられ、治療効果について治療実験を行なっている。H5N1-FARDSの治療薬としては一定の治療効果も得られたが症例数の不足から有意な結果は得られていない抗炎症薬など、臨床面からは今後さらなる鳥インフルエンザ臨床症例の集積が必要と考えられる。
結論
海外発生地域(ベトナム/インドネシア)におけるヒトH5N1症例と劇症型ARDS病態のモデル動物を使用して、インフルエンザ(H5N1)型ARDSの迅速特異診断および治療法を提案し、「手引き」等を作成してその知識を広く人口に膾炙することが最終目標であり、今後もこの目的に沿ったさらなる研究展開を予定している。また最近ウイルス性肺炎の脅威が東南アジアを中心に報告されつつあり、この点も今後は網羅して将来の日本への流行などに備えていくことが新たなる目標である。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123029Z