現在、国内で分離・同定できないウイルス性出血熱等の診断等の対応方法に関する研究

文献情報

文献番号
201123021A
報告書区分
総括
研究課題名
現在、国内で分離・同定できないウイルス性出血熱等の診断等の対応方法に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 甲斐 知惠子(東京大学 医科学研究所実験動物研究施設)
  • 高田 礼人(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 安田 二朗(長崎大学 熱帯医学研究所 新興感染症学分野)
  • 有川 二郎(北海道大学 大学院医学研究科病原微生物学)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 水谷 哲也(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 遠藤 大二(酪農学園大学 獣医放射線学教室)
  • 新井 智(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
35,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エボラウイルス等は1種病原体でBSL4施設以外では取扱えない。新種の出血熱ウイルスの新興やその他の重篤な新興再興ウイルス感染症で新種ウイルスの出現や、動物への感染が拡大している。これらの実験室診断を、新種ウイルス対応するために、診断法の改良や新規診断法の開発を行う。これらを用いていくつかの地域で疫学的解析を実施して検証する。また、感染宿主域を拡大しているウイルスでは、その疫学や宿主域拡大に係る機構と病原性に関して明らかにし、人への感染拡大のリスク評価を行う。さらに、ウイルス粒子形成とその阻害法に関する基礎研究を進展させる。
研究方法
チャパレ(ボリビア)、ルジョ(ザンビア・南ア)、ブンディブギョエボラウイルスの診断法を改良し、新規診断法を開発する。新種のフィロウイルスLloviuに対応可能なRT-PCRを開発する。ハンタウイルス抗体検出イムノクロマトを開発する。
国内外のトガリネズミ類のハンタウイルスの分子疫学的解析をする。ウイルス遺伝子検出法の改良、至適化を検討した。ウイルス学的、分子生物学的解析では、サルから分離されたCDVの流行初期と後期のウイルスの遺伝子配列とquasispeciesを解析する。細胞性因子Tetherinの機能をヒトと霊長類で差があるかを解析する。南米アレナウイルスのLドメインの機能を解析する。二敗ウイルスの霊長類モデル系を開発しワクチン効果を解析する。ハンタウイルス肺水腫モデルを開発する。
結果と考察
診断法の改良と開発を行った。国内外のトガリネズミ目と中国の齧歯目からハンタウイルス遺伝子を検出した。ハンタウイルス血清型鑑別ELISA法、イムノクロマト法を開発した。ウイルス遺伝子検出法の改良、至適化を検討した。ニパウイルスの霊長類感染モデル系を確立し、新たに開発したワクチンを検討した。サルのCDV感染症流行の初期と後期のウイルス遺伝子配列の変化とquasispeciesを明らかにした。SICDマウスでハンタウイルス肺症候群のモデル系を開発した。エボラウイルスGPがヒトと霊長類のTetherinアンタゴニスト機能をもちTetherinをトランスゴルジ・ネットワークに滞留させた。南米アレナウイルスのZ蛋白のP/SAP配列が細胞のTsg101を利用して出芽した。
結論
国内で分離・同定できないウイルス性出血熱等の診断等では、遺伝子検出法・抗原検出法・抗体検出法の整備を進めた。新型ウイルスや新興ウイルスに対応可能な遺伝子検出法にも進展が見られた。一方、いくつかのウイルスで動物モデル系を開発した。ウイルス抵抗性宿主因子Tetherinに関する新たな知見も得られた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123021Z