文献情報
文献番号
201123020A
報告書区分
総括
研究課題名
地方自治体との連携による新型インフルエンザおよび高病原性インフルエンザ変異株、薬剤耐性株等の早期検出、検査診断系の改良および流行把握に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小田切 孝人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 皆川 洋子(愛知県衛生研究所)
- 藤田 信之(独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジ-センター)
- 佐藤 裕徳(国立感染症研究所病原体ゲノム研究センター)
- 齋藤 玲子(新潟大学医歯薬学系国際保健学)
- 影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
- 高下 恵美(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
21,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1)6地方ブロック代表のコア・サポート地衛研と本研究班との連携として、全国地衛研におけるPCR検査の外部精度管理(EQA)試験の事前準備をする。2)薬剤耐性株、ハイリスク変異株等の早期発見のための大量遺伝子サーベイランスを実施する。3) 情報科学解析技術(in silico)を駆使して、変異株、薬剤耐性株等の構造・機能的解析を行う。4)ワクチン接種前後の血清HI抗体価を測定して、ワクチンの有効性を評価する。
研究方法
1)季節性、H5N1鳥インフルエンザウイルスを含むEQA用のRNAサンプルパネルの設定。各地衛研のプロトコールでReal-time PCRを実施し、精度試験を実施。2) PCRによる薬剤耐性株の同定、感受性試験の実施。3)流行株のNA,M遺伝子の塩基配列の決定と全8本遺伝子解析用シーケンスプライマーの開発。4)薬剤耐性株のin silico解析による新規変異マーカーの同定。5)2010/11シーズンワクチン接種により誘導される血中HI抗体価の測定。
結果と考察
コア・サポート地衛研で試験的にEQAを実施した。これによって、全国地衛研で実施するための問題点の把握、EQAサンプルパネルの見直しを行った。EQAの実施により、わが国のインフルエンザウイルスPCR検査の精度の向上が期待される。2)A/H1N1pdm09、A/H3N2ウイルス全8分節遺伝子塩基配列の決定用プライマーセットが構築できたことから、リスク因子の発見や評価が速やかにできるようになった。また、ウイルスゲノム情報からウイルスの性質変化の情報を検出できる。3) in silico解析をインフルエンザ変異株の変異同定に導入できたことから、新規の薬剤耐性変異の同定に成功した。これにより、耐性株サーベイランスでの新たなチェックマーク情報を提供できた。4)ワクチン接種後の各年齢層のHI血清抗体価を測定し、ワクチンの有効性を評価した。抗体応答は、B型ワクチンが低く、改善が必要であることを指摘した。
結論
1) 全国地衛研でのEQA実施に向けて、技術改良を行い、最終実施策の策定、それを再度コア・サポート地衛研で検証する。2) 薬剤耐性株検出サーベイランスの継続とB型全ゲノム解析用プライマーセットの開発をする。3) in silico構造機能解析で変異株の解析を継続する。4)ワクチンの血清学的効果評価を行う。
公開日・更新日
公開日
2012-05-31
更新日
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