文献情報
文献番号
201122098A
報告書区分
総括
研究課題名
エクソン53を標的としたデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエクソン・スキップ治療薬の開発
課題番号
H23-神経・筋・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
武田 伸一(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
研究分担者(所属機関)
- 永田 哲也(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
- 岡田 尚巳(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
- 村田 美穂(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院 神経内科診療部)
- 小牧 宏文(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
重症の単一遺伝子病であるDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)について、これまで様々なモデル動物を用いてエクソン・スキップ治療の安全性と有効性を示し、前臨床的治験を進めてきた。さらにエクソン51スキップを目的とした国際共同臨床治験も実施している。次の対象エクソンは、全DMD患者の約8%を占めるエクソン53であるが、エクソン53スキップに関する治験はまだ行われていない。現在、エクソン53に関して、有効と考えられる配列でのモルフォリノAOを国内企業との協力で合成した。本研究では合成したモルフォリノAOを用いて薬理薬効試験・薬物動態試験・モデル動物を使った詳細な副作用を検討し、早期探索的試験に必要なデータを収集する。
研究方法
1.RD細胞および対象患者細胞を用いて薬理薬効試験を行った。
2.合成したエクソン53スキップ治療薬の霊長類を用いた予備的安全性試験を実施する。
3.エクソン53スキップ治療薬の動物モデルにおける薬物動態および薬物代謝を検討する。
4.早期探索的臨床試験に向けた治験実施計画書骨子を作成する。
5.当センター通院中のエクソン53スキップ対象者の頻度や年齢分布を調査する。
2.合成したエクソン53スキップ治療薬の霊長類を用いた予備的安全性試験を実施する。
3.エクソン53スキップ治療薬の動物モデルにおける薬物動態および薬物代謝を検討する。
4.早期探索的臨床試験に向けた治験実施計画書骨子を作成する。
5.当センター通院中のエクソン53スキップ対象者の頻度や年齢分布を調査する。
結果と考察
1.エクソン53 スキップの治療対象となるDMD 患者由来細胞を用いて薬理薬効試験を行い、EC50(スキッピング活性が50%になる濃度)を算出した。2.エクソン53スキップ治療薬のカニクイザルを用いた反復投与毒性試験では明らかな毒性所見は認めなかった。3.サル・ラット・マウスを用いた薬物動態試験からエクソン53スキップ治療薬の薬物動態を把握した。4.早期探索的医師主導治験の治験概要書骨子を作成した。5. エクソン53スキップ対象者の頻度や年齢分布について調査を行った。エクソン53スキップ対象者は DMD患者全体の9.5%であり、従来指摘されている頻度とほぼ同様であった。
結論
エクソン53スキップの早期探索的医師主導治験の準備をすすめるために、薬理薬効試験・予備的安全性試験・薬物動態・代謝についての検討を行い、有効性・安全性の確認ができた。今後、GLP準拠の非毒性試験を策定するためのデータをさらに収集する。併せて、非毒性試験の策定のため早期探索的医師主導治験の治験概要書骨子を作成し、対象となるDMD患者数の把握を行った。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
-