アンチセンスによる筋強直性ジストロフィーの治療の最適化

文献情報

文献番号
201122095A
報告書区分
総括
研究課題名
アンチセンスによる筋強直性ジストロフィーの治療の最適化
課題番号
H23-神経・筋・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
石浦 章一(東京大学 大学院総合文化研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋強直性ジストロフィー(DM)は、スプライシング異常を伴う全身性の疾患で、遺伝的にDM1とDM2の2種類が報告されており、前者は長く伸びたCTG3塩基リピート、後者はCCTG4塩基リピートの伸長が直接の病気の原因である。これらの長く伸びたmRNAに、RNA結合タンパク質(MBNL1やCUG-BP)がトラップされ、通常行っている正常のスプライシング機能が果たせなくなることが症状の多様性を説明する。筋強直や耐糖能異常は、それぞれ塩素チャネルやインスリン受容体のスプライシングが異常となり、結果として幼若型(低活性)のタンパク質がつくられることが原因で起こる。本研究では、アンチセンスを用いて症状の軽減を目指した。
研究方法
この病気に対するアプローチには2通りある。各症状を1つ1つアンチセンスで正常化するものと、原因であるCTGリピートに対するアンチセンスによって全スプライシングを正常化する方法である。前者については、塩素チャネル遺伝子を標的とし、新規デザインしたモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを筋注し、ミオトニアを軽減させることにした。特に平成23年度は、バブルリポソームという新しいドラッグデリバリー法を用いた。
結果と考察
新しいデリバリー法によって、アンチセンスを効果的に筋細胞に導入し、塩素チャネル遺伝子において効果的にアンチセンスの効果を得ることに成功した。また、米国で行われたアンチセンスはいくつかの配列を試したものであったが、私たちはスキップすべきエクソン中のエンハンサー配列を同定し、そこをピンポイントに抑える配列を明らかにし、米国のものより効率的にエキソンスキップを誘導することに成功した。
現在、当初の目的であるCTGリピートに対するアンチセンスをモデルマウスに投与し、症状改善効果を見ており、開発したバブルリポソーム法をデリバリーとして用いることで効率化を図っている。CTGリピートに対するアンチセンスは導入効率が悪いことが報告されていたので、バブルリポソームによってその問題点が解決されるはずである。最終年度は、トランスジェニック動物をモデルに、筋強直性ジストロフィーの最適な治療方針(投与法)を決定する予定である。同時に、私どもの研究室で並行して行っている低分子化合物治療の効果についても、比較して検討する。
結論
バブルリポソームを用いたアンチセンス投与の最適化は順調に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122095Z