文献情報
文献番号
201122091A
報告書区分
総括
研究課題名
前庭水管拡大症の臨床所見と遺伝子変異解析に基づく新診断基準作成
課題番号
H23-感覚・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
喜多村 健(東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 小川 郁(慶應義塾大学 耳鼻咽喉科)
- 中島 務(名古屋大学 耳鼻咽喉科)
- 宇佐美 真一(信州大学 耳鼻咽喉科)
- 岡本 牧人(北里大学 耳鼻咽喉科)
- 暁 清文(愛媛大学 耳鼻咽喉科)
- 福田 諭(北海道大学 耳鼻咽喉科)
- 佐藤 宏昭(岩手医科大学 耳鼻咽喉科)
- 山岨 達也(東京大学 耳鼻咽喉科)
- 福島 邦博(岡山大学 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,686,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
最も高頻度とされている内耳奇形の前庭水管拡大症の全国疫学調査により罹患者数の推定を行い、臨床所見と原因遺伝子に基づき、亜分類を含む新しい診断基準を作成する。
研究方法
疫学調査は、651の耳鼻咽喉科研修指定施設を対象として、研究の概略、診断基準、症例の有無についての回答用紙を送付した。遺伝学的検査でターゲットとする遺伝子は、SLC26A4、EYA1、SIX1、ATP6V1B1、ATP6V0A4とした。
本研究班の主任ならびに分担研究者は、本症例の調査個人票ならびに遺伝学的検査を施行した。
本研究班の主任ならびに分担研究者は、本症例の調査個人票ならびに遺伝学的検査を施行した。
結果と考察
全国調査では、421施設(63.29%)から回答があり、当該症例ありが83施設、なしが329施設であった。男性148例、女性189例で合計337例である。今後、一次調査で回答がなかった施設からの回収を再度依頼する。
主任ならびに分担研究者の施設からは、合計88症例が収集され、家族歴からは弧発例が56例、劣性遺伝形式が10例、優性遺伝形式が2例に認められた。対象症例中、Pendred症候群が11例、BO症候群が2例、遠位尿細管性アシドーシスが2例であった。合併する奇形としては、耳介奇形が2例、耳瘻孔が2例、前庭水管拡大以外の内耳奇形が14例に見られた。遺伝子解析からは、SLC26A4が10例、ミトコンドリアDNA 1555変異が1例、 SIX1変異が2例、 ATP6B1V1変異を1例に同定した。前庭水管拡大という同一の内耳奇形であっても、遺伝形式を含む臨床所見がさまざまであった。また、前庭水管拡大症の原因遺伝子は、従来は、ほとんどが、SLC26A4と考えられていたが、本研究では、約28%はSLC26A4以外の変異であった。今後、原因となる難聴遺伝子変異の観点からみた、予後推定が可能か否かが課題となる。
主任ならびに分担研究者の施設からは、合計88症例が収集され、家族歴からは弧発例が56例、劣性遺伝形式が10例、優性遺伝形式が2例に認められた。対象症例中、Pendred症候群が11例、BO症候群が2例、遠位尿細管性アシドーシスが2例であった。合併する奇形としては、耳介奇形が2例、耳瘻孔が2例、前庭水管拡大以外の内耳奇形が14例に見られた。遺伝子解析からは、SLC26A4が10例、ミトコンドリアDNA 1555変異が1例、 SIX1変異が2例、 ATP6B1V1変異を1例に同定した。前庭水管拡大という同一の内耳奇形であっても、遺伝形式を含む臨床所見がさまざまであった。また、前庭水管拡大症の原因遺伝子は、従来は、ほとんどが、SLC26A4と考えられていたが、本研究では、約28%はSLC26A4以外の変異であった。今後、原因となる難聴遺伝子変異の観点からみた、予後推定が可能か否かが課題となる。
結論
① 全国の施設を対象にした一次調査で回答のあった421施設中83施設(19.7%)が症例ありと回答し、共同研究者からのみの集計で、88例が集積され、内耳奇形の中では、高頻度の奇形であると再確認された。
② 前庭水管拡大症の原因遺伝子として最多はSLC26A4であるが、ATP6V1B1と、SIX1変異が関与していると判明し、本疾患の約28%はSLC26A4以外の遺伝子変異が原因と推測された。
② 前庭水管拡大症の原因遺伝子として最多はSLC26A4であるが、ATP6V1B1と、SIX1変異が関与していると判明し、本疾患の約28%はSLC26A4以外の遺伝子変異が原因と推測された。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
-