重大な他害行為をおこした精神障害者の適切な処遇及び社会復帰の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201122084A
報告書区分
総括
研究課題名
重大な他害行為をおこした精神障害者の適切な処遇及び社会復帰の推進に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
平林 直次(国立精神・神経医療研究センター 病院リハビリテーション部、第二精神診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 寿子(東京都立松沢病院)
  • 村上 優(独立行政法人国立病院機構 琉球病院)
  • 村田 昌彦(独立行政法人国立病院機構 北陸病院)
  • 吉住 昭(独立行政法人国立病院機構 花巻病院)
  • 大橋 秀行(埼玉県立大学)
  • 永田 貴子(国立精神・神経医療研究センター 病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、従来の研究のように鑑定入院、通院処遇、入院処遇などの処遇別に研究課題を設定し研究するのではなく、それぞれの「処遇間の円滑な移行」「医療観察制度の流れ全体」に着目し包括的な医療観察法システムのあり方を明確にすることを目的とする。
研究方法
上記の目的を達成するために7つの分担研究班を組織し研究を実施した。ただし、この2年間において、指定入院医療機関の病床不足と長期入院化、再び同様の他害行為を行った者や再入院事例の散見など、喫緊の課題が出現しつつあり、これらの課題にも焦点を当てた。研究の実施に当たっては「疫学研究の倫理指針」および「臨床研究の倫理指針」を遵守し、適宜、所属施設の倫理委員会の承認を得て研究を進めた。
結果と考察
①全国の入院対象者の動向を経年的にモニタリングするために、全国の指定入院医療機関に導入されている診療支援システム(電子カルテ)に対して、連結不可能匿名化しデータを抽出するための機能を付加し、運用を行うための研修会を開催した。
②法務省の協力を得て、入院対象者の退院後、長期予後を前向き調査する体制を5施設において整備した。今後、退院後の予後調査を継続する。
③指定医療機関、自治体、社会復帰調整官等による事例検討会を開催し、対象行為の発生から処遇終了までの全経過と課題の把握を行った。また、次年度には、再び重大な他害行為を行った事例や再入院事例に焦点を当てた事例検討会に着手した。
④平成20年度一年間を調査期間として、「検察官通報による措置入院例(1,056例)」と「医療観察法入院処遇例(288例)」に関して全国調査を実施し、社会学的特性、診断名、対象行為、転帰等の違いを明らかにした。
⑤入院処遇早期から、病状の安定に寄与する地域生活指向性の強い入院治療プログラムの試案の作成を進めた。
⑥医療観察法を終了して退院した対象者124例(16施設)の情報を収集し、医療観察法3要件を満たすかどうか検討し処遇終了事例の類型化を試みた。
⑦平成20年度一年間を調査期間として、検察官通報措置入院となった1,056例及び平成22年5月において警察官通報措置入院となった全症例(解析中)に関する情報収集を終え、解析に着手した。
結論
研究初年度および次年度においては、医療観察法処遇間の移行や、医療観察制度と措置入院制度の運用に関する実態を明らかにしつつある。最終年度には、包括的な医療観察法システムのあり方を明確にする予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122084Z