障害児をもつ家族に対するニーズアセスメント指標の開発と小児病院と地域が連携した包括的な支援方策に関する研究

文献情報

文献番号
201122061A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児をもつ家族に対するニーズアセスメント指標の開発と小児病院と地域が連携した包括的な支援方策に関する研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
植田 紀美子(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 企画調査部企画調査室)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 河津 由紀子(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科)
  • 佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 企画調査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,632,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、障害児家族ニーズの種類別アセスメント指標を開発し、あわせて小児病院と地域が連携して取り組む包括的な障害児家族への支援方策をまとめ、施策への応用を提言することである。
研究方法
最終年度の研究活動では、 ①障害児家族ニーズの実態を把握するとともに、アセスメント指標(Family Needs Surveyの日本版(FNS-J))を開発した。あわせて、FNS-Jの活用指針を取りまとめた。さらに、ニーズに応じた支援の後、障害児家族が支援内容を理解し、実際に利益をうけ、適切な行動を選択できているかを確認することが重要であるため、療育の効果を評価する指標(Family Outcome Survey, FOS-J(家族アウトカム指標))を開発した。②医療機関において、障害が判明した時の障害児家族支援、及び障害児に対する地域生活支援の実態を把握し、特に心臓に障害を持つ子どもに関しては、胎児診断後の母親のニーズや心理的状況も把握した。③子ども虐待の背景要因としての障害児の状況、虐待を予防する支援方法について明らかにした。
結果と考察
①FNS-Jは、4因子34項目からなる障害児家族ニーズのアセスメント指標として、相談支援の場でよりニーズを引き出し、支援を強化するために活用できた。市町村での個別支援計画作成時や保健センター、保健所、児童相談所、療育施設、児童福祉施設等での相談業務にFNS-Jが活用され具体的な支援につなげられることを期待したい。障害児家族支援や療育について、障害者基本法の改正で初めて明文化され、法的根拠をもってますます推進されていく方向にある中で、本研究で開発したFNS-JとFOS-Jの必要性は高く、今後、普及に向けた取り組みが重要である。②医療機関は、障害児に対して早期発見からフォローアップまで一貫した関わりができる。医学的管理にとどまらず、障害が判明した時の家族へのきめ細かな心理社会的支援の提供、障害福祉や母子保健のサービスを紹介できるようなシステムの構築、マンパワーの強化が必要である。③障害児の虐待予防として、生後早期から障害を持つ場合は、入院中からの医療機関と連携した育児基盤の把握と整備、細やかな病状の理解と障害受容の支援、育児負担軽減の支援が重要である。支援過程で障害が疑われる事例では、障害が確定しなくても養育者の育児の困難に寄り添い、育児負担を軽減する支援を早期に導入することが必要である。
結論
障害児家族ニーズの種類別アセスメント指標を開発した。小児病院と地域が連携して取り組む包括的な障害児家族への支援方策をとりまとめた。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201122061B
報告書区分
総合
研究課題名
障害児をもつ家族に対するニーズアセスメント指標の開発と小児病院と地域が連携した包括的な支援方策に関する研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
植田 紀美子(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 企画調査部企画調査室)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 河津 由紀子(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科)
  • 佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 企画調査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、障害児家族ニーズの種類別アセスメント指標を開発し、あわせて小児病院と地域が連携して取り組む包括的な障害児家族への支援方策をまとめ、施策への応用を提言することである。
研究方法
①障害児家族ニーズの実態を把握するとともに、アセスメント指標(Family Needs Surveyの日本版(FNS-J))を開発した。あわせて、FNS-Jの活用指針を取りまとめた。さらに、ニーズに応じた支援の後、障害児家族が支援内容を理解し、実際に利益をうけ、適切な行動を選択できているかを確認することが重要であるため、療育の効果を評価する指標(Family Outcome Survey, FOS-J(家族アウトカム指標))を開発した。②医療機関において、障害が判明した時の障害児家族支援、及び障害児に対する地域生活支援の実態を把握し、特に心臓に障害を持つ子どもに関しては、胎児診断後の母親のニーズや心理的状況も把握した。③子ども虐待の背景要因としての障害児の状況、虐待を予防する支援方法について明らかにした。
結果と考察
①FNS-Jは、4因子34項目からなる障害児家族ニーズのアセスメント指標として、相談支援の場でよりニーズを引き出し、支援を強化するために活用できた。市町村での個別支援計画作成時や保健センター、保健所、児童相談所、療育施設、児童福祉施設等での相談業務にFNS-Jが活用され具体的な支援につなげられることを期待したい。障害児家族支援や療育について、障害者基本法の改正で初めて明文化され、法的根拠をもってますます推進されていく方向にある中で、本研究で開発したFNS-JとFOS-Jの必要性は高く、今後、普及に向けた取り組みが重要である。②医療機関は、障害児に対して早期発見からフォローアップまで一貫した関わりができる。医学的管理にとどまらず、障害が判明した時の家族へのきめ細かな心理社会的支援の提供、障害福祉や母子保健のサービスを紹介できるようなシステムの構築、マンパワーの強化が必要である。③障害児の虐待予防として、生後早期から障害を持つ場合は、入院中からの医療機関と連携した育児基盤の把握と整備、細やかな病状の理解と障害受容の支援、育児負担軽減の支援が重要である。支援過程で障害が疑われる事例では、障害が確定しなくても養育者の育児の困難に寄り添い、育児負担を軽減する支援を早期に導入することが必要である。
結論
障害児家族ニーズの種類別アセスメント指標を開発した。病院小児科と地域が連携して取り組む包括的な障害児家族への支援方策をとりまとめた。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201122061C

成果

専門的・学術的観点からの成果
FNS-J開発のために実施した障害児家族への調査は、乳幼児から学齢期にいたる幅広い年齢で、父母ペアで分析できた。ライフステージに応じたニーズの把握、同じ子どもの父母でのニーズの相違、子どもや親の特性によるニーズの相違などを明らかにできた。FNS-J開発では、統計学的に信頼性・妥当性を確認し、さらに複数箇所で試行する手順をとることができた。これまでの調査の二次分析結果、及び事例分析結果の根拠をもって、具体的な母子保健活動における障害児家族への子育て支援方策をまとめることができた
臨床的観点からの成果
FNS-J開発のために実施した障害児家族への調査の際、連結匿名化による疾病情報を収集した。これにより、これまで障害児を疾病から捉えるのか、障害から捉えるのかで異なるなどの議論があった中、障害の程度と疾病の双方でニーズの特性や関連性を分析できた。これまで不明瞭であった医療機関における障害児家族支援の実態、医療側から福祉サービスへのアプローチの実態について、病院小児科への全国調査により、明らかにできた。
ガイドライン等の開発
障害児家族ニーズアセスメント指標(FNS-J)、及び療育の効果を評価する指標である家族アウトカム指標(FOS-J)を開発した。FNS-Jの活用指針をまとめた。
その他行政的観点からの成果
障害者基本法が改正され、障がい者家族への相談支援、障がい者家族が互いに支え合うための活動の支援等が国や地方公共団体の責務として、第23条に付け加えらえた。このような中、障害児家族ニーズの実態を把握し、FNS-Jを開発できたことは、市町村での個別支援計画作成時や保健センター、保健所、児童相談所、療育施設、児童福祉施設等での相談業務に活用し具体的な支援につなげることができるという点で大変意義深い。療育についても第17条に加えられ、開発した療育効果の指標FOS-Jの普及が望まれる。
その他のインパクト
特に障害児(者)に関わる福祉・保健・医療・教育関係者に対して広く普及するため、平成24年1月21日(於:大阪市)に公開講演会を開催した。

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
27件
その他論文(和文)
12件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
27件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ueda K, Bailey DB Jr, Yonemoto N, et al.
Validity and Reliability of the Japanese Version of the Family Needs Survey
Res Dev Disabil , 34 ,  3596-3606  (2013)
doi://10.1016/j.ridd.2013.07.024
原著論文2
植田紀美子
相談支援現場における障がい児家族ニーズのアセスメント指標(FNS-J)への活用
小児保健研究 , 73 , 591-598  (2014)
原著論文3
植田紀美子
病院小児科医師による障害児への障害福祉サービス紹介の実態
日本公衛誌 , 61 , 93-99  (2014)
doi:10.11236/jph.61.2_93
原著論文4
4. 河津 由紀子, 植田 紀美子, 西畠 信, 他
先天性心疾患の胎児診断における母親への心理的影響:多施設調査結果報告
日本小児循環器学会雑誌 , 30 , 175-183  (2014)
doi:10.9794/jspccs.30.175
原著論文5
Ueda K, Yonemoto N, Bailey DB Jr, et al.
Psychometric validation of the Family Outcomes Survey-revised in Japan
Res Dev Disabil , 39 , 56-66  (2015)
doi:10.1016/j.ridd.2015.01.003

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
2017-05-23

収支報告書

文献番号
201122061Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,792,000円
(2)補助金確定額
10,792,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,355,911円
人件費・謝金 1,701,874円
旅費 1,909,210円
その他 3,826,645円
間接経費 0円
合計 10,793,640円

備考

備考
研究に要する消耗品のうち、自己資金分として1640円負担する必要があった。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-