文献情報
文献番号
201122045A
報告書区分
総括
研究課題名
MEMS/NEMS人工聴覚器による感音難聴治療法開発
課題番号
H22-感覚・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 壽一(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科学)
研究分担者(所属機関)
- 中川 隆之(京都大学 医学研究科 耳鼻咽喉科学)
- 坂本 達則(京都大学 医学部附属病院 耳鼻咽喉科学)
- 平海 晴一(京都大学 医学部附属病院 耳鼻咽喉科学)
- 川野 聡恭(大阪大学大学院 基礎工学研究科 分子流体力学)
- 土井謙太郎(大阪大学大学院 基礎工学研究科 量子分子動力学)
- 新宅 博文(大阪大学大学院 基礎工学研究科 MEMS流体)
- 和田 仁(東北大学大学院 工学研究科 機械工学)
- 小池 卓二(電気通信大学 電気通信学部 知能機械工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,047,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、高度難聴および中等度難聴に対する新しい治療方法として、Micro/Nano-Electro-Mechanical Systems (MEMS/NEMS)を用い、完全埋め込み可能であり、外部電源を必要としない人工聴覚器および関連する手術手技を開発し、前臨床試験を完遂することである。
研究方法
平成23年度は、圧電素子膜を用いた人工感覚上皮の性能向上を目指し、出力向上、周波数応答性改良についての研究を行い、音響刺激の圧電素子膜への伝達の効率化に関連して、圧電素子デバイスの蝸牛内での位置による振動伝達の変化について解析した。また、ヒト側頭骨標本を用い、圧電素子デバイス埋め込みに関する手術手技開発を行った。
結果と考察
昨年度プロトタイプデバイスから出力を20倍以上向上させることに成功し、モルモット蝸牛埋め込み実験で音響刺激に対応する電気出力を記録することができたが、in vitroでの出力計測で得られる最大出力の1/200にとどまった。したがって、さらなる出力向上と刺激伝達の効率化が必要と考えられ、出力向上のために異なる圧電素子材料を用いたデバイスを製作した。また、周波数特性改良を目指し、膜厚を変化させるデザインのデバイスを作製し、in vitroでの解析を行った。刺激伝達の効率化の観点から、デバイスの蝸牛鼓室階内での基底板との位置関係と音響刺激伝導効率についての解析を有限要素モデルにて行った。結果、圧電素子膜は基底板からやや離れた位置にある方が良好な振動伝達が期待できることが示唆された。ヒト側頭骨を用いた手術手技研究では、人工内耳手術の応用でデバイスの蝸牛基地回転への挿入は問題なく行えることが判明した。
結論
圧電素子膜デバイスによる聴力改善に向けての問題点である出力向上、振動伝達の効率化に関する研究を行い、デバイス埋め込みによる聴力改善を検証するための実験を行う基盤が形成された。また、ヒト側頭骨を用いた解析からデバイス埋め込みに関する手術的な問題は少ないことが確認された。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
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