統合失調症における社会生活機能障害の評価・支援 -MATRICS-CCB日本語版による認知機能障害の評価と治療計画への応用-

文献情報

文献番号
201122004A
報告書区分
総括
研究課題名
統合失調症における社会生活機能障害の評価・支援 -MATRICS-CCB日本語版による認知機能障害の評価と治療計画への応用-
課題番号
H21-こころ・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
曽良 一郎(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大森 哲郎(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・精神医学)
  • 住吉 太幹(富山大学 大学院医学薬学研究部・認知神経科学)
  • 中込 和幸(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター)
  • 松岡 洋夫(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は、国際標準として体系化された認知機能評価尺度MATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)の信頼性・妥当性を生理指標も含めて総合的に確認し、さらには認知リハビリテーションによる認知機能改善の効果判定への本尺度の適用可能性や、本尺度により測定される認知機能障害と社会生活機能障害との関連を検討することで、統合失調症患者における社会生活機能障害の改善を目指した治療への応用に貢献することである。
研究方法
患者群(統合失調症患者群、気分障害患者群)と一般健常群についてMATRICS-J標準データを収集し、統合失調症患者における社会生活機能障害との関連、生理指標との関連についても検討した。また、認知機能と生活技能やQuality of Life (QOL)との関連や、認知機能リハビリテーションNEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation)の効果判定におけるMCCB-Jの妥当性についても検討した。
結果と考察
MATRICS-Jの信頼性・妥当性が確認され、本尺度による認知機能評価が生理指標に反映され、社会生活機能と関連することが示された。また、統合失調症患者の生活技能と認知機能との関連も示された。また、認知機能リハビリテーションNEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation)の効果判定について、MCCB-Jが妥当性をもつことも示唆された。
結論
本年度の研究から、統合失調症患者を対象とした認知機能評価尺度MATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)の信頼性・妥当性が総合的に確認され、本尺度を用いて評価された認知機能障害と社会生活機能との関連が示された。本研究における検討の結果からは、MATRICS-Jによる認知機能評価は統合失調症患者の社会生活機能・機能的転帰の改善を目的とした、認知機能障害を対象とした治療介入に貢献することが強く期待できる。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201122004B
報告書区分
総合
研究課題名
統合失調症における社会生活機能障害の評価・支援 -MATRICS-CCB日本語版による認知機能障害の評価と治療計画への応用-
課題番号
H21-こころ・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
曽良 一郎(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大森 哲郎(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・精神医学)
  • 住吉 太幹(富山大学 大学院医学薬学研究部・認知神経科学)
  • 中込 和幸(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター)
  • 松岡 洋夫(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合失調症の認知機能障害は患者の社会的予後を大きく左右する重要な治療対象である。本研究班の目的は、国際標準として体系化された認知機能障害テストMATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)を開発し、その信頼性・妥当性を確認、さらに本尺度を用いて認知機能障害と社会生活機能や生活技能、認知リハビリテーションの効果との関連を検討することで、統合失調症患者における社会生活機能障害に対する治療への応用に貢献することである。
研究方法
患者群(統合失調症患者群、気分障害患者群)と健常群での標準データを集積しMATRICS-Jの信頼性・妥当性の確認と認知機能と社会生活機能・機能的転帰との関連を検討した。MATRICS-Jと生活技能やQuality of Life (QOL)との関連についても検討し、さらに生理指標(NIRS)との関連も評価した。また、認知リハビリテーションの効果判定における評価項目としてMCCB-Jを用いて検証を行った。
結果と考察
本研究の結果からMATRICS-Jの信頼性と妥当性が確認され、本尺度で評価される認知機能が統合失調症患者の社会生活機能、機能的転帰と関連することが示された。統合失調症の認知機能障害は客観的QOLとの関連が強く、また生活技能との関連も確認された。また、NIRSがMATRICS-Jの評価を補助する客観的な検査として有効である可能性も示唆された。さらに、MATRICS-Jが認知リハビリテーションの効果評価における妥当性をもつ可能性も示された。
結論
本研究では、統合失調症の認知機能障害の国際標準として体系化された認知機能障害テストMATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)の開発を完了し、認知機能障害と社会生活機能および機能的転機との関連を確認した。さらに統合失調症の認知機能障害と生理指標および生活技能・QOLとの関連を明らかにし、認知リハビリテーションの効果評価への本尺度の適用可能性を示した。本研究からは、MATRICS-Jによる認知機能評価は社会生活機能、機能的転帰の改善を目的とした治療介入に貢献することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201122004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究により、統合失調症の認知機能障害の国際標準として体系化された認知機能障害テストMATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)による認知機能の評価法を確立し、本尺度で評価される認知機能障害と社会生活機能および機能的転機との関連を明らかにした。今回、国際標準の認知機能評価尺度が開発されたことで、今後の国際的な臨床試験に参画するための環境が整備された。
臨床的観点からの成果
統合失調症患者を対象とした認知機能評価尺度MATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)による認知機能評価法が確立され、本尺度により評価された認知機能障害と社会生活機能との関連が示された。さらに認知機能改善を目的としたリハビリテーションの効果判定への本尺度の適用可能性も示された。本研究から、MATRICS-Jによる認知機能評価は統合失調症患者の社会生活機能・機能的転帰の改善を目的とした治療介入に貢献することが期待できる。
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
特記事項なし
その他のインパクト
一般市民を対象とした市民公開講座(タイトル:「こころの病からの社会復帰」、日時:平成24年1月19日、開催場所:仙台、共催:財団法人精神・神経科学振興財団)の開催により、統合失調症を含めた精神疾患全般に関する知識の普及・啓発活動を行った。

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
38件
その他論文(和文)
41件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
32件
学会発表(国際学会等)
23件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
市民公開講座(タイトル:「こころの病からの社会復帰」、日時:平成24年1月19日、開催場所:仙台、共催:財団法人精神・神経科学振興財団)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sumiyoshi et al.
Effect of perospirone on P300 electrophysiological activity and social cognition in schizophrenia: A three-dimensional analysis with sLORETA.
Psychiatry Research Neuroimaging , 172 (3) , 180-183  (2009)
原著論文2
Sumiyoshi et al.
Serotonin-1A receptor gene polymorphism and the ability of antipsychotic drugs to improve attention in schizophrenia.
Advances in Therapy , 27 (5) , 307-313  (2010)
原著論文3
Ueoka et al.
Quality of life and cognitive dysfunction in people with schizophrenia
Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry , 35 (1) , 53-59  (2011)
原著論文4
Sumiyoshi et al.
Membrane fatty acid levels as a predictor of treatment response in schizophrenia
Psychiatry Research , 186 , 23-27  (2011)
原著論文5
Sumiyoshi et al.
Impaired ability to organize information in individuals with autism spectrum disorders and their siblings
Neuroscience Research , 69 (3) , 252-257  (2011)
原著論文6
Pu et al.
A multi-channel near-infrared spectroscopy study of prefrontal cortex activation during working memory task in major depressive disorder
Neuroscience Research , 70 (1) , 91-97  (2011)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122004Z