地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究

文献情報

文献番号
201120018A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
福田 吉治(山口大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 守田 孝恵(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 山崎 秀夫(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 原田 唯成(山口大学 医学部)
  • 檀原 三七子(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 伊藤 悦子(山口県山口健康福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一次予防から療養支援まで、地域の多様な資源を連携させながら有効活用した包括的な糖尿病ケアの構築とその運営を行い、医学的・経済的評価が可能な地域糖尿病データベースによって短期評価を行うことを目的にする。
研究方法
(1)県内の自治体においてモデル的に糖尿病ケアシステムの構築を進めた。(2)昨年度実施した全国調査から糖尿病地域医療連携クリティカルパスの取組が機能していると回答した市町村とその管轄する保健所の糖尿病対策の担当保健師を対象にインタビューを実施し、質的分析を行った。(3)健診受診率向上のポピュレーションアプローチの方法について、「ケンシン・スタンプラリー・カード」ならびに啓発キャラクターを用いた受診率向上のためのモデル活動を行った。(4)山口県美祢市の住民を対象に、各種資料等をファイリングする「なんでも健康ファイル」を作成し、その利便性や課題を事後アンケート調査によって評価した。(5)山口県内の国保保険者のデータを用いて、メタボリックシンドローム判定、保健指導対象者について、経年的受診状況、保健指導利用等を考慮して分析した。
結果と考察
(1)モデル自治体において、行政、基幹病院、診療所、医師会、健康福祉センター(保健所)等による協力関係を構築し、健診から、かかりつけ医療機関での療養、医療機関間の連携を推進する取組を行った。(2)糖尿病地域医療連携体制の取組内容として【地域の健康課題への対策】【関係機関(団体)・関係職種との協働】【連携システムの構築】【医療従事者の資質の向上】【保健師による連携システムの推進】【連携システムの課題】の6カテゴリーが抽出された。(3)山口地域職域連携推進協議会の協力を得て、ケンシンスタンプラリーカードを自治体や事業所通じて配布し、健康診断受診率向上を促進した。健康診断普及のキャラクターのポスター、チラシ、アニメ、各種イベントを使って、健康診断の普及啓発を行った。(4)健康ファイルの試用者へのアンケートの結果、40%程度がファイルを通院時に活用していた。(5)継続受診や保健指導によって、集団としてのメタボリックシンドロームや保健指導のレベルは改善するが、その効果は限定的であった。リスクが高く、保健指導が必要とされるものが経年受診しない傾向があることがわかった。
結論
一次予防としてのポピュレーションアプローチ、二次予防として特定健診・保健指導、医療機関・病診連携にあたってのツール開発を行い、また、モデル地域での連携の促進を図り、データベースの構築と分析を進め、地域における包括的な糖尿病地域ケアの構築のための基礎的な研究を進めることができた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201120018B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
福田 吉治(山口大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 守田 孝恵(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 山崎 秀夫(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 原田 唯成(山口大学 医学部 )
  • 檀原 三七子(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 伊藤 悦子(山口県山口健康福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一次予防から療養支援まで、地域の多様な資源を連携させ有効活用した地域における包括的な糖尿病ケアの構築とその運営を行い、医学的・経済的評価が可能な地域糖尿病データベースによって短期評価を行うことを目的とした。
研究方法
(1)県内3自治体においてモデル的に糖尿病ケアシステムの構築を進めた。(2)市町村保健師に対する全国調査、外来通院患者を対象としたグループインタビュー、先駆的な市町村とその管轄する保健所へのインタビュー調査を実施した。(3)特定保健指導の標準的教材・資料の作成、教材・資料のライブラリー化、健康情報を一元管理する健康ファイルの作成・配布を行った。(4)健診受診率向上を目的としてポピュレーションアプローチとして、受診率向上のための普及啓発を行った。(6)山口県の国保保険者のデータを用いて分析を行った。
結果と考察
(1)周南市において、行政、基幹病院等の関係機関・団体による協力関係を構築し、健診から、かかりつけ医療機関での療養、医療機関間の連携を推進する取組を行った。(2)全国市町村の連携パスの取組の現状は、1割程度と少なく専門医と行政との連携がなされていないと認識する市町村は8割を占めていた。インタビュー調査では、保健師は地域の健康課題を的確にアセスメントする地域診断力を持ち、関係機関・関係職種との協働を実現するための関係づくりを積極的に行い、連携システムを推進していることがわかった。(3)特定保健指導の標準的教材・資料は、実施者用、対象者用、作業用、参考資料その他(補足資料)より構成した。ライブラリー化では、12保険者より資料を収集し、電子ファイル化を行い、印刷物とともに県内の保険者に配布した。(4)ケンシン・スタンプラリー・カードを2自治体にて配布し、健康診断受診率向上を促進した。健康診断普及のキャラクターによるポスター、チラシ等を使い、普及啓発を行った。(5)積極的支援と動機づけ支援ではその効果に大きな違いがないことがわかった。保健指導では、体重-1.1kg、腹囲-1.1cm等の効果が認められた。
結論
一次予防としてのポピュレーションアプローチ、二次予防として特定健診・保健指導、医療機関・病診連携にあたってのツール開発を行い、モデル地域での連携の促進を図り、データベースの構築と分析を進め、地域における包括的な糖尿病地域ケアの構築のための基礎的な研究を進めることができた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201120018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
一次予防(健康増進)、二次予防(健康診査による早期発見等)、三次予防(治療)等、地域において包括的な糖尿病予防の仕組みづくりを行うことができた。特に、全国の現状把握と先進事例の調査、ポピュレーションアプローチの新しい手法の開発と実施、県レベルでの特定健診・保健指導のデータ分析は、他にはない試みであった。
臨床的観点からの成果
予防を重視した調査研究であったが、地域の医療機関との連携のもと、包括的な地域での糖尿病予防の仕組みに取り組んだ。特定健診・保健指導の分析として、保健指導の効果について、厳密な研究デザインのもと分析を行い、積極的支援と動機づけ支援ではその効果にそれほど大きな効果の違いがないこと、保健指導全体としての効果を明らかにした。
ガイドライン等の開発
今回の研究から、ガイドライン等の開発への成果はないが、今後の政策の見直し(特定健診・保健指導、医療連携など)にあたり参考となるデータを示すことができた。
その他行政的観点からの成果
研究を進めるに当たり、県、市町等の行政とも連携することで、参加型の調査研究を行うことができた。特にモデル地区とした自治体(周南市など)では、関与した保健師等の能力向上に寄与することができた。
その他のインパクト
平成22年度(1か所)と平成23年度(4か所)には、研究成果等普及啓発事業を活用し、関連団体、市民ボランティア(食生活改善推進員)、市民等が参加した「糖尿病を防ぐ市民の集い in 周南」を開催した。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
福田吉治
特定保健指導の評価(1):国保データを用いた積極的支援と動機づけ支援の比較
日本衛生学雑誌 , 66 , 731-735  (2011)
原著論文2
福田吉治
特定保健指導の評価(2):国保データによる準実験デザインを用いて
日本衛生学雑誌 , 66 , 736-740  (2011)
原著論文3
檀原三七子、守田孝恵、山崎秀夫、他
糖尿病の地域連携クリティカルパスにおける健康手帳の活用の現状と課題
日本看護学会論文集: 地域看護 , 179-182  (2010)
原著論文4
檀原三七子、守田孝恵、山崎秀夫、他
糖尿病地域連携クリティカルパスの取組状況とその要因
日本看護学会論文集: 地域看護 , 73-76  (2012)

公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201120018Z