ライフステージに応じた女性の健康状態に関する疫学的研究~10代から90代までの女性を対象とした長期縦断研究

文献情報

文献番号
201120005A
報告書区分
総括
研究課題名
ライフステージに応じた女性の健康状態に関する疫学的研究~10代から90代までの女性を対象とした長期縦断研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
下方 浩史(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 予防開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 富士子(愛知淑徳大学 健康医療科学部)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
若年期のやせ、閉経後の肥満、更年期の諸症状など女性特有、あるいは生活習慣病など女性にも高頻度にみられるさまざまな障害の実態を女性のライフステージ別に明らかにして、その経年変化や要因を解明することを研究の目的として研究を行った。
研究方法
約20年間にわたって追跡されている女性約6万人、延べ約20万件の健診集団データベースと無作為抽出された地域住民での10年間の追跡データを用いて、女性の健康問題についての検討を行った。昨年度までの検討で、女性ではやせと貧血が重要な健康問題になっていることがわかったため、今年度は特にやせと貧血の要因に焦点を当て検討を行った。また若年女性の集団および脆弱高齢女性についても健康問題についての検討を行った。
結果と考察
30代から60代まで喫煙がやせの重要な因子であり、年齢が高いほどその影響は強かった。糖尿病の既往のある者、血清鉄が低い人は将来やせをきたしやすいこともわかった。貧血に関しては、喫煙が血中の低酸素に対する代償的な造血作用のため貧血のリスクを下げるという結果となった。一日平均歩数、体重、炭水化物摂取量が貧血のリスクとなっていた。脆弱高齢者の検討では、認知症、高血圧症、脳血管障害の有病率が高く、22.2%が栄養不良と判定された。若い女性では、主観的健康度、自覚症状、婦人科疾患において、睡眠や休養、ストレスなど生活習慣に関する項目やダイエット経験など体重管理と有意な関連が認められた。今年度は、この3年間の研究結果をまとめ、女性の健康問題に関してその予防や対策への提言を作成した。女性の健康についての実態を明らかにし、その対策のための資料が提供されることで、女性の健康増進・社会進出への助けとなり、さらに少子・高齢化対策につながっていくものと期待される。
結論
大規模な集団で女性のライフステージ別に解析を行った。ライフステージごとにさまざまな健康問題があったが、特に貧血、やせが問題であり、栄養不足や運動不足がその要因となっていた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

文献情報

文献番号
201120005B
報告書区分
総合
研究課題名
ライフステージに応じた女性の健康状態に関する疫学的研究~10代から90代までの女性を対象とした長期縦断研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
下方 浩史(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 予防開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 富士子(愛知淑徳大学 健康医療科学部)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 山口 孝子(名古屋市立大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
若年期のやせ、閉経後の肥満、更年期の諸症状など女性特有、あるいは生活習慣病など女性にも高頻度にみられるさまざまな障害の実態を女性のライフステージ別に明らかにして、その経年変化や要因を解明することを研究の目的として研究を行った。
研究方法
20年以上にわたって追跡されている女性約6万人、延べ約20万件の健診集団データベース、無作為抽出された地域住民での14年間の追跡データ、若年女性の集団、ADLに障害を持つ脆弱高齢女性について調査・検討を行った。
結果と考察
ライフステージ別に女性の健康問題をまとめると、若い女性でのやせ、喫煙、運動不足、40代の子宮筋腫や卵巣のう腫、貧血、閉経後の糖尿病、高血圧症、脂質異常症があげられた。40歳以降の女性での有病率が高かったのは高脂血症(推定2,077万人)、尿失禁(1,272万人)、高血圧症(1,255万人)、骨粗鬆症(805万人)、肥満(718万人)であった。女性に多いやせと貧血の要因について注目して検討を行った。30代から60代まで喫煙がやせの重要な因子であり、年齢が高いほどその影響は強かった。糖尿病の既往のある者、血清鉄が低い人は将来やせをきたしやすいこともわかった。貧血に関しては喫煙が、血中の低酸素に対する代償的な造血作用のため貧血のリスクを下げるという結果となった。一日平均歩数、体重、炭水化物摂取量が貧血のリスクとなっていた。脆弱高齢者の検討では、認知症、高血圧症、脳血管障害の有病率が高く、22.2%が栄養不良と判定された。今年度は、この3年間の研究結果をまとめ、女性の健康問題に関してその予防や対策への提言を作成した。女性の健康についての実態を明らかにし、その対策のための資料が提供されることで、女性の健康増進・社会進出への助けとなり、さらに少子・高齢化対策につながっていくものと期待される。
結論
大規模な集団で女性のライフステージ別にその健康問題について解析を行った。若い女性でのやせ、喫煙、運動不足、40代の子宮筋腫や卵巣のう腫、貧血、閉経後の糖尿病、高血圧症、脂質異常症が特徴的な健康問題としてあげられた。これらの結果から女性の健康問題に関してその予防や対策への提言を作成した。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201120005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、さまざまな集団の20代から90代までの女性の健康に関する膨大なデータから、日本人女性の健康の実態をライフステージ別に解明した。この結果、我が国の実情にほぼ即したと考えられる中高年女性特有の疾患・病態の横断的・縦断的有病率が明らかになり、日本全体での患者数の推定ができた。また、有病率と治療率の差も明確となり、尿失禁や貧血に対しては、より積極的な治療介入が必要と考えられた。
臨床的観点からの成果
無作為抽出された地域住民での縦断的研究により、日本人全体での患者数の検討などが可能である。40歳以降の女性での有病率が高かったのは、高脂血症(推定2,077万人)、尿失禁(1,272万人)、高血圧症(1,255万人)、骨粗鬆症(805万人)、肥満(718万人)であった。治療率が低い疾患は尿失禁、高脂血症、貧血であった。閉経前は貧血が問題であり、閉経後に急速に有病率が増大するのは高脂血症、高齢期に大きな問題となるのは骨粗鬆症、やせ、貧血であった。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
平成21年度から23年度までの3年間の研究期間で本研究に関連してテレビ、新聞で取り上げられたのは20回あった。特にNHKのナビゲーションという番組では30分の特集番組を組んで、研究内容が紹介された。平成22年6月には天皇皇后両陛下が研究のご視察に訪問されている。平成22年度の日本老年社会科学会は研究代表者が大会長となり、同時に開催した市民公開講座で広く一般に研究成果を紹介した。

発表件数

原著論文(和文)
14件
原著論文(英文等)
14件
その他論文(和文)
34件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
93件
学会発表(国際学会等)
17件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
2016-06-06

収支報告書

文献番号
201120005Z