小児造血器腫瘍に対する標準治療と診断確立のための研究

文献情報

文献番号
201119080A
報告書区分
総括
研究課題名
小児造血器腫瘍に対する標準治療と診断確立のための研究
課題番号
H23-がん臨床・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 明子(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 渡辺 新(中通総合病院 小児科)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科)
  • 富澤 大輔(東京医科歯科大学医学部附属病院 小児科)
  • 小川 千登世(聖路加国際病院 輸血室)
  • 鶴澤 正仁(愛知医科大学医学部 小児科)
  • 出口 隆生(三重大学医学部附属病院 小児科)
  • 清河 信敬(国立成育医療研究センター研究所 小児血液・腫瘍研究部)
  • 森 鉄也(国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 血液腫瘍科)
  • 嶋田 博之(慶應義塾大学医学部 小児科学)
  • 真部 淳(聖路加国際病院 小児科)
  • 矢部 普正(東海大学医学部 再生医療科学)
  • 石田 也寸志(聖路加国際病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,754,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性リンパ性白血病(ALL)等造血器腫瘍に対して治療層別化のための診断体制を含めた臨床研究基盤の整備と質の高い臨床試験を立案・実施してエビデンスを創出する。
研究方法
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のもとに、小児造血器腫瘍の標準治療の確立のための臨床試験を実施する。臨床試験実施にあたっては、匿名化による個人情報保護、統一された説明文書を用いた文書同意の取得、中央および施設の倫理審査委員会の承認取得、臨床試験登録を行う。
結果と考察
わが国で初めてとなる全国統一のT細胞性ALLに対する臨床試験ALL-T11とB前駆細胞性(BCP-)ALLに対する臨床試験ALL-B12の実施計画書を完成した。ALL-T11は、平成24年12月に開始され、これまでに7例が登録された。ALL-B12は学会審査を経て次年度開始予定である。実施中の臨床試験では、乳児ALLの臨床試験MLL-10に25例、再発ALLの前方視的観察研究ALL-R08に105例、小児CMLの多施設共同観察研究 CML-08に35例が登録された。難治・再発T-ALLに対してネララビン、フルダラビン、エトポシド療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験ALL-RT11も開始し、1例が登録された。フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)ALLに対してBFMベースの化学療法にimatinibを併用した臨床試験を計画した。高リスク群成熟B細胞リンパ腫と未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)に対して欧州グループ(EICNHL)と共同研究を準備した。Ig/TCR遺伝子再構成を標的としたALL骨髄MRD定量を64例に施行し、治療層別化への実用可能性を確認した。フローサイトメトリー法(FCM)によるMRD測定を17例に実施し、PCR-MRDとの相関性を確認した。小児ALLの新規細胞分子診断法としてBCR-ABL蛋白のビーズアレイによる検出について検討した。造血細胞移植プロトコールマニュアルを作成した。治療の長期的影響の把握と管理の早期介入のためのツール開発とガイドラインのホームページ公開を行った。臨床研究のデータ管理の標準化・効率化に向けた検討・調査を行い、データ管理システムの改善を図った。
結論
急性リンパ性白血病の全国統一研究が開始されることで、ほぼすべての小児造血器腫瘍において標準治療が確立され、わが国の小児がん医療の標準化と均てん化の促進が期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119080Z