成人T細胞性白血病(ATL)の根治を目指した細胞療法の確立およびそのHTLV-1抑制メカニズムの解明に関する研究

文献情報

文献番号
201119051A
報告書区分
総括
研究課題名
成人T細胞性白血病(ATL)の根治を目指した細胞療法の確立およびそのHTLV-1抑制メカニズムの解明に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-028
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鵜池 直邦(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 血液内科)
研究分担者(所属機関)
  • 神奈木 真理(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 宇都宮 與(今村病院分院 血液内科 )
  • 谷口 修一(虎の門病院 血液科)
  • 福島 卓也(長崎大学病院 血液内科)
  • 重松 明男(北海道大学 検査輸血部)
  • 山中 竹春(九州がんセンター 臨床研究センター)
  • 安永純一朗(京都大学 ウイルス制御研究領域)
  • 石田 高司(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
  • 瀬戸 加大(愛知県がんセンター研究所 遺伝子医療研究部)
  • 崔 日承(九州がんセンター 血液内科)
  • 末廣 陽子(九州がんセンター 血液内科)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学 遺伝子・細胞療法部)
  • 内丸 薫(東京大学 医科学研究所)
  • 田野崎 隆二(国立がん研究センター 病理科・臨床検査科)
  • 岡村 純(九州がんセンター 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
33,197,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化学療法のみでは治癒困難と思われるATLに対して、RISTの前向き検証的臨床試験により、その治療成績の改善を目指すとともに、幹細胞源を非血縁臍帯血にまで広げることによりRISTの恩恵を受けるチャンスを最大限に拡大することである。ATLに対するRISTのHTLV-1排除機構を解明し、新たな免疫療法の開発に応用することである。
研究方法
①血縁末梢血を用いたNST-3 (臨床第II相) の登録を終了し、(登録期間延長するも目標症例数に達せず)現在主要評価項目である2年全生存率解析中である。
②NST-1と2(臨床第I相)の生存例について、さらに追跡した。
③非血縁骨髄を細胞源としたNST-4(臨床第I相試験)が予定症例数に達し、登録を終了した。
④非血縁臍帯血を細胞源としたNST-5 (臨床第I相試験) の登録を開始した。
⑤Tax特異的抗原パルス樹状細胞を用いた免疫療法(NST-DC-1)の登録を開始した。(実施施設は東京医科歯科大学)
結果と考察
①主要評価項目の評価にはまだ達していないが、移植症例16例のうち移植合併死亡3例、2年生存達成4例であり、合計6例が生存中である。
②10例(29例中)の長期生存例は、その後もイベントの発生のないまま、PS0の良い健康状態で現在も生存中である。
③登録症例中、TRMが1例、主要評価項目を達成したのが12例であり、試験は成功したと考えられる。
④各臨床試験実施施設の倫理委員会において実施計画書が順次承認され、登録が開始された。
⑤DC-1試験の予備試験を東京医科歯科大学で実施した。健康成人からアフェレーシスで単核球を採取・分離、さらに接着細胞を各種サイトカインとAZT添加培養し成熟樹状細胞を採取した。その樹状細胞の形態・表面マーカー・IL-12再生能やCD4細胞刺激能などの機能をex vivoで検討した。十分な機能を有する樹状細胞が採取できたことが確認された。
結論
高齢者ATLに対する非血縁者間RISTの安全性が確立され、今後さらに非血縁臍帯血移植の安全性の検討を前向き試験で検証する。抗HTLV-1作用を、Tax特異的ペプチドパルス樹状細胞療法を実施することにより実践解明する。基礎研究者と臨床家が共に手を取ってATLの撲滅することを目指した日本におけるユニークな臨床研究班として、世界に発信していきたい。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119051Z