膵がん切除例に対する補助療法の向上を目指した多施設共同研究

文献情報

文献番号
201119045A
報告書区分
総括
研究課題名
膵がん切除例に対する補助療法の向上を目指した多施設共同研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-022
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
上野 秀樹(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 松山 裕(東京大学大学院 医学系研究科公共健康医学専攻 生物統計学)
  • 斎浦 明夫(がん研有明病院 消化器外科)
  • 高橋 進一郎(国立がん研究センター東病院 肝胆膵外科、上腹部外科)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学 消化器外科)
  • 杉山 政則(杏林大学医学部外科 消化器・一般外科)
  • 馬場 秀夫(熊本大学医学部 消化器外科)
  • 中郡 聡夫(東海大学医学部 消化器外科)
  • 田中 雅夫(九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科学 消化器外科)
  • 竹田 伸(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学)
  • 具 英成(神戸大学大学院医学研究科 外科学講座 肝胆膵外科学)
  • 中森 正二(大阪医療センター消化器外科)
  • 森永 聡一郎(神奈川県立がんセンター消化器外科 肝胆膵外科)
  • 山本 順司(防衛医科大学校 消化器外科)
  • 奈良 聡(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵腫瘍科 肝胆膵外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
切除可能膵がんに対しては、第3相試験にて延命効果が認められた術後補助ゲムシタビン(GEM)療法が現在標準治療とされている。補助GEMにより切除例の予後は改善したがその効果には限界があり、より優れた補助療法が望まれている。我々は、わが国で開発された経口フッ化ピリミジン製剤であるS-1に注目し、GEMとS-1の併用療法(GS療法)の研究を多施設共同で実施してきた。本研究班の前身となる班で実施された補助GS療法の第1/2相試験(JSAP-03)では、第1相部分で決定した推奨用量にて第2相部分が実施され、その用量での安全性と有用性(2年生存割合72.1%)が示唆された。そこで、今回補助GS療法の有用性を検証することを目的に、第3相試験(JSAP-04)を計画した。
研究方法
試験の概要は以下の通りである。
1)評価項目
Primary endpoint:全生存期間
Secondary endpoints:無再発生存期間、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合
2)対象
肉眼的治癒切除が得られた浸潤性膵管がん患者の中で、明らかな再発が無いこと、主要臓器の機能が保持されていることが手術後10週以内に確認され、試験参加の同意が得られた患者を対象とする。
3)試験デザイン
術後補助化学療法の種類による非盲目ランダム化比較試験
調整因子:根治度、リンパ節転移の有無、施設
試験治療: GS 療法
GEM: 800mg/m2 day1、S-1: 65mg/m2 day1-7
2 週1 コース、6 ヶ月間
対照治療:GEM単独療法
GEM: 1,000mg/m2 day1、8、15
4 週1 コース、6 ヶ月間
4)予定登録数と研究期間
予定登録数:300 人
症例登録参加施設:43施設
登録期間:3 年
追跡期間:登録終了後2 年
5)研究組織:
膵がんの補助療法の開発を行っている多施設共同研究グループ:Japanese Study Group of Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer (JSAP)により行われる。
結果と考察
平成22年度中に研究実施計画書を策定し、国立がん研究センターの倫理審査委員会で承認を受けた後、各施設倫理審査委員会への承認申請をおこなった。22年11月に開始した症例登録は順調に進み、24年度中に目標症例の300例に到達する予定である。
結論
膵がん切除例を対象に、補助GEM療法に対する補助GS療法の延命効果を検証するための第3相試験を実施した。登録は予定通り進んでおり、膵がんの治療に関して重要なエビデンスが得られるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119045Z