化学療法先行治療を進行卵巣がんの標準治療とするための研究

文献情報

文献番号
201119043A
報告書区分
総括
研究課題名
化学療法先行治療を進行卵巣がんの標準治療とするための研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-020
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学 医学医療系 産科婦人科学)
研究分担者(所属機関)
  • 恩田 貴志(北里大学 産婦人科)
  • 松本 光史(兵庫県立がんセンター 腫瘍内科)
  • 嘉村 敏治(久留米大学医学部 産婦人科)
  • 八重樫 伸生(東北大学医学部 産婦人科)
  • 高野 政志(防衛医科大学校 産婦人科)
  • 中川 俊介(帝京大学 産婦人科)
  • 星合 昊(近畿大学医学部 産婦人科)
  • 齋藤 俊章(九州がんセンター 婦人科)
  • 落合 和徳(東京慈恵会医科大学 産婦人科)
  • 小林 裕明(九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学)
  • 横田 治重(埼玉県立がんセンター 婦人科)
  • 日浦 昌道(四国がんセンター 婦人科(手術部))
  • 竹島 信宏((財)がん研会 有明病院 婦人科)
  • 山本 嘉一郎(近畿大学医学部堺病院 産婦人科)
  • 関 博之(埼玉医科大学総合医療センター 母体胎児部門 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
20,492,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
III、IV期の卵巣、卵管、腹膜がんに対して、手術前後に4コース計8コースの化学療法を行う「化学療法先行治療」が、現在の標準治療である、手術後に8コースの化学療法を行う「手術先行治療」よりも有用であるかをランダム化比較試験にて検証する。Primary endpoint:全生存期間。Secondary endpoints:無増悪生存期間、有害事象、手術侵襲指標など。
研究方法
 多施設共同の第III相ランダム化比較試験(非劣性試験)。対象は組織学的または細胞学的に診断され、CT/MRIで進行期分類された卵巣、卵管、腹膜がんIII/IV期の初回治療例で、20-75才、CA125>200 IU/ml, CEA<20 ng/ml、ECOG PS 0-3、各臓器機能が保持され、初回腫瘍減量手術の対象となりうる例。症例登録とランダム割付は中央登録方式。適格性確認後、治療群の割付を受ける。調整因子は施設、PS、病期、年齢。半数登録時点と症例集積終了後に生存期間を比較する。予定登録数:各群150例、両群計300例。実施施設は全国38施設。
結果と考察
最新の定期モニタリング(平成23年10月4日)によると、A群の原発診断、III期以上の診断の正診率は98.3% (118/120)であった。B群の診断も同様と推察できる。両群の生命予後については、無増悪生存期間(PFS)の中央値は15.5か月、全生存期間(OS)の中央値は推定不能であった。「B群の低侵襲性」解析の準備としては、開腹手術回数、総輸血量・総血漿製剤使用量などでB群が低侵襲であることが明らかになりつつある。「登録時の病期診断正診率」解析の準備としてはCT/MRIなどの中央画像診断の方針、調査項目が決定された。本試験は新たな治療体系確立のため、化学療法先行治療の標準化を目指す。化学療法先行治療が現在の標準治療を上回ることも期待できる。
結論
 第III相試験の登録は概ね順調に進行し、平成23年10月7日に登録を終了した(301名)。化学療法先行治療が標準治療となるためには、非劣性を証明することに加え、低侵襲性と画像での正確な診断を確立できることが必要だが、その目標を達成しつつある。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119043Z