早期胃がん内視鏡切除症例のＷｅｂを用いたがん登録システムによる前向きがん登録に関する研究

文献情報

• 文献番号: 201119023A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: 早期胃がん内視鏡切除症例のＷｅｂを用いたがん登録システムによる前向きがん登録に関する研究
• 課題番号: H21-がん臨床・若手-022
• 研究年度: 平成23(2011)年度
• 研究代表者(所属機関): 小田 一郎(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科 消化管内視鏡科)

研究分担者(所属機関)

• 飯石　浩康(大阪府立成人病センター　診療局)
• 小野　裕之(静岡県立静岡がんセンター　内視鏡科)
• 近藤　仁(KKR札幌医療センター斗南病院　消化器内科)
• 田邉　聡(北里大学医学部　消化器内科学)
• 二宮　基樹(広島市立広島市民病院　外科)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
• 研究開始年度: 平成21(2009)年度
• 研究終了予定年度: 平成23(2011)年度
• 研究費: 12,295,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

早期胃がんに対する内視鏡切除は広く普及してきたが、その実態、特に長期経過については、個々の施設からの報告にとどまりreferenceとなる前向き多施設データは存在しない。本班研究では、「Web登録システム」を用い、早期胃がんに対する内視鏡切除症例を全国多施設において前向き登録し、その短期成績、長期成績を調査する｢Web登録システムを用いた早期胃がん内視鏡切除症例の前向きコホート研究(J-WEB/EGC)｣を施行する。

研究方法

研究1年目（平成21年度）は、プロトコールの作成、「Web登録システム」の構築を行い、研究2年目から2年間、全国の41施設において内視鏡切除施行予定の全ての胃がん病変あるいは胃がん疑い病変を対象に登録を行い、短期成績と長期成績の前向きデータを集積する。Primary endpointは5年生存割合、Secondary endpointsは一括切除割合、治癒切除割合、偶発症割合、局所遺残・再発割合、転移再発割合、異時性多発胃がんの発生割合、無再発生存期間、無転移再発生存期間、追跡率である。

結果と考察

多施設による膨大な登録数へ対応し、かつ高い追跡率で精度の高い長期成績を示す工夫として、必須項目の登録漏れに対するエラー表示や、長期成績未更新症例について各施設の電子メールアドレス宛に自動通知するなど、「Web登録システム」による自動データクリーニング機能を作成した。また、転居等で消息不明となる症例が存在すると推測され、本研究では、登録前に同意を取得し、患者や他院へのアンケート、住民票照会（住民基本台帳法、第12条の3）、院内がん登録との照合、戸籍照会（戸籍法、第126条）などで消息不明例の予後調査を行う。予後調査は事務局が行い、各登録施設に調査情報を還元し、登録の動機づけとした。研究2年目、平成22年7月から2年間の登録を開始し、平成23年3月31日までに3705症例、4211病変が登録された。研究3年目においてもプロトコールに従い順調に登録を行い、平成24年3月31日までに8593症例・9945病変が登録された。これまで重大な問題は発生していない。引き続き、登録予定期間の平成24年6月30日まで登録を継続する。登録終了後は、5年間の追跡、消息不明例の予後調査を行う。

結論

本研究により、前向きに登録された全国多施設データが得られ、診療ガイドライン改訂などにつながる。さらに、｢Web登録システム｣は、あらゆる臓器、疾患、治療法にも応用可能であり、様々な分野での実態把握につながる可能性がある。

公開日・更新日

• 公開日: 2015-05-21
• 更新日: -

文献情報

• 文献番号: 201119023B
• 報告書区分: 総合
• 研究課題名: 早期胃がん内視鏡切除症例のＷｅｂを用いたがん登録システムによる前向きがん登録に関する研究
• 課題番号: H21-がん臨床・若手-022
• 研究年度: 平成23(2011)年度
• 研究代表者(所属機関): 小田 一郎(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科 消化管内視鏡科)

研究分担者(所属機関)

• 飯石　浩康(大阪府立成人病センター　診療局)
• 小野　裕之(静岡県立静岡がんセンター　内視鏡科)
• 近藤　仁(KKR札幌医療センター斗南病院　消化器内科)
• 田邉　聡(北里大学医学部　消化器内科学)
• 二宮　基樹(広島市立広島市民病院　外科)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
• 研究開始年度: 平成21(2009)年度
• 研究終了予定年度: 平成23(2011)年度
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

早期胃がんに対する内視鏡切除は広く普及してきたが、その実態、特に長期経過については、個々の施設からの報告にとどまりreferenceとなる前向き多施設データは存在しない。本班研究では、「Web登録システム」を用い、早期胃がんに対する内視鏡切除症例を全国多施設において前向き登録し、その短期成績、長期成績を調査する｢Web登録システムを用いた早期胃がん内視鏡切除症例の前向きコホート研究(J-WEB/EGC)｣を施行する。

研究方法

研究1年目（平成21年度）は、プロトコールの作成、「Web登録システム」の改良・構築を行い、研究2年目から2年間、全国の41施設において内視鏡切除施行予定の全ての胃がん病変あるいは胃がん疑い病変を対象に登録を行い、短期成績と長期成績の前向きデータを集積する。Primary endpointは5年生存割合、Secondary endpointsは一括切除割合、治癒切除割合、偶発症割合、局所遺残・再発割合、転移再発割合、異時性多発胃がんの発生割合、無再発生存期間、無転移再発生存期間、追跡率である。

結果と考察

多施設による膨大な登録数へ対応し、かつ高い追跡率で精度の高い長期成績を示す工夫として、必須項目の登録漏れに対するエラー表示や、長期成績未更新症例について各施設の電子メールアドレス宛に自動通知するなど、「Web登録システム」による自動データクリーニング機能を作成した。また、転居等で消息不明となる症例が存在すると推測され、本研究では、登録前に同意を取得し、患者や他院へのアンケート、住民票照会（住民基本台帳法、第12条の3）、院内がん登録との照合、戸籍照会（戸籍法、第126条）などで消息不明例の予後調査を行う体制を整えた。予後調査は事務局が行い、各登録施設に調査情報を還元し、登録の動機づけとした。研究2年目、平成22年7月から2年間の登録を開始し、研究3年目の平成24年3月31日までに8593症例・9945病変が登録された。これまで重大な問題は発生していない。引き続き、登録予定期間の平成24年6月30日まで登録を継続する。登録終了後は、プロトコールに従い5年間の追跡、消息不明例の予後調査を行う。

結論

本研究により、前向きに登録された全国多施設データが得られ、診療ガイドライン改訂などにつながる。さらに、｢Web登録システム｣は、あらゆる臓器、疾患、治療法にも応用可能であり、様々な分野での実態把握につながる可能性がある。

公開日・更新日

• 公開日: 2015-05-21
• 更新日: -

行政効果報告

• 文献番号: 201119023C

成果

• 専門的・学術的観点からの成果: 現在、わが国において、地域がん登録、院内がん登録が整備中である。しかし、本研究の追跡終了までに、予後情報について院内がん登録を通じて、全国すべての地域で利用できるようになるのは難しいと予測される。本研究では、院内がん登録データとの照合以外にも、アンケート調査、住民票照会・戸籍照会など予後調査を行う体制を整えた。それにより高い追跡率での成績が期待できる。｢Web登録システム｣や予後調査体制は、あらゆる臓器、疾患、治療法にも応用可能であり、様々な分野での全国レベルの実態把握につながる可能性がある。
• 臨床的観点からの成果: 早期胃がんに対する内視鏡切除は良好なQOLから広く普及してきたが、その実態、特に長期成績については、個々の施設からの報告、追跡率の低い後ろ向き研究にとどまり、referenceとなる前向き多施設データは存在しない。本研究成果により、全国多施設での短期成績、長期成績を把握し、referenceとなるべき前向き多施設データ（2年間で約1万例が登録予定）を確立できる。長期成績については、予後調査体制により高い追跡率での成績が期待できる。
• ガイドライン等の開発: 胃癌治療ガイドライン第3版において、臨床研究として前向きにデータ集積が行われることが望ましいとされる適応拡大病変に対する内視鏡切除の成績についても、本研究の多数例の前向き多施設データにより明かとなる。それにより今後のガイドライン改訂につながると考えられる。
• その他行政的観点からの成果: 本研究で構築された｢Web登録システム｣や予後調査体制は、院内がん登録・地域がん登録で網羅できないような様々な分野の疾患特異的、治療特異的なデータの把握を可能とし、がん登録事業の発展においても寄与すると期待される。
• その他のインパクト: 早期胃がんに対する内視鏡切除である内視鏡的粘膜切除術（Endoscopic Mucosal Resection: EMR）、内視鏡的粘膜下層剥離術（Endoscopic Submucosal Dissection: ESD）はともに本邦で開発された手技であり、わが国の治療レベルは世界的に高水準である。そのreferenceとなる前向き多施設データを集積することは、消化管内視鏡分野をリーディングしているわが国の責務であるともに、今後のさらなる国際競争力の強化にも寄与することと期待される。

発表件数

• 原著論文（和文）: 1件
• 原著論文（英文等）: 35件
• その他論文(和文): 0件
• その他論文(英文等): 6件
• 学会発表(国内学会): 2件
• 学会発表(国際学会等): 0件
• その他成果(特許の出願): 0件 ; 「出願」「取得」計0件
• その他成果(特許の取得): 0件
• その他成果(施策への反映): 0件
• その他成果(普及・啓発活動): 0件

主な原著論文20編（論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る）

• 原著論文1: Oda I, Kondo H, Ninomiya M, at al.; Design of Japanese multicenter prospective cohort study of endoscopic resection for early gastric cancer using Web registry (J-WEB/EGC).; Gastric Cancer (2012)
• 原著論文2: Nishide N, Ono H, Kakushima N, et al.; Clinical outcomes of endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer in remnant stomach or gastric tube.; Endoscopy (2012)
• 原著論文3: Oda I, Odagaki T, Suzuki H, et al.; Learning curve for endoscopic submucosal dissection of early gastric cancer based on trainee experience.; Dig Endosc , 24 , 129-132 (2012)
• 原著論文4: Kakushima N, Ono H, Tanaka M, et al.; Factors related to lateral margin positivity for cancer in gastric specimens of endoscopic submucosal dissection.; Dig Endosc , 23 (3) , 227-232 (2011)
• 原著論文5: Huang Y, Kakushima N, Ono H, et al.; Risk factors for recurrence of artificial gastric ulcers after endoscopic submucosal dissection.; Endoscopy , 43 (3) , 236-239 (2011)
• 原著論文6: Nagata S, Jin YF, Iishi H, at al. ; Influential factors in procedure time of endoscopic submucosal dissection for gastric cancer with fibrotic change. ; Dig Endosc , 23 (4) , 296-301 (2011)
• 原著論文7: Moriya H, Ohbu M, Tanabe S, et al.; Lymphatic tumor emboli detected by D2-40 immunostaining can more accurately predict lymph-node metastasis.; World J Surg , 35 (9) , 2031-2037 (2011)
• 原著論文8: Kusano C, Iwasaki M, Oda I, at al.; Should elderly patients undergo additional surgery after non-curative endoscopic resection for early gastric cancer? Long-term comparative outcomes.; Am J Gastroenterol , 106 (6) , 1064-1069 (2011)
• 原著論文9: Oda I, Abe S, Kusano C, et al.; Correlation between endoscopic macroscopic type and invasion depth for early esophagogastric junction adenocarcinomas.; Gastric Cancer , 14 (1) , 22-27 (2011)
• 原著論文10: Nonaka S, Oda I, Nakaya T, et al.; Clinical Impact of a Strategy Involving Endoscopic Submucosal Dissection for Early Gastric Cancer- Determining the optimal pathway.; Gastric Cancer , 14 (1) , 56-62 (2011)
• 原著論文11: Gotoda T, Iwasaki M, Oda I, et al.; Endoscopic resection of early gastric cancer treated by guideline and expanded National Cancer Center criteria.; Br J Surg , 97 (6) , 868-871 (2010)
• 原著論文12: Kiriyama S, Gotoda T, Oda I, et al.; Safe and effective sedation in endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer: A randomized comparison between propofol continuous infusion and intermittent midazolam injection.; J Gastroenterol , 45 (8) , 831-837 (2010)
• 原著論文13: Hanaoka N, Uedo N, Iishi H, et al.; Clinical features and outcomes of delayed perforation after endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer.; Endoscopy , 42 (12) , 1112-1115 (2010)
• 原著論文14: Uedo N, Takeuchi Y, Iishi H, et al.; Endoscopic Doppler US for the prevention of ulcer bleeding after endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer : a preliminary study.; Gastrointest Endosc , 72 (2) , 444-448 (2010)
• 原著論文15: Nonaka S, Saito Y, Oda I, et al.; Safety of carbon dioxide insufflation for upper gastrointestinal tract endoscopic treatment of patients under deep sedation.; Surg Endosc , 24 (7) , 1638-1645 (2010)
• 原著論文16: Yamamoto S, Uedo N, Iishi H, et al.; Endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer performed by supervised residents: assessment of feasibility and learning curve.; Endoscopy , 41 (11) , 923-928 (2009)
• 原著論文17: Hanaoka N, Tanabe S, Mikami T, et al. ; Mixed-histologic-type submucosal invasive gastric cancer as a risk factor for lymph node metastasis: feasibility of endoscopic submucosal dissection. ; Endoscopy , 41 (5) , 427-432 (2009)
• 原著論文18: Coda S, Oda I, Gotoda T, et al.; Risk factors for cardiac stenosis and pyloric stenosis after endoscopic submucosal dissection and efficacy of endoscopic balloon dilatation.; Endoscopy , 41 (5) , 421-426 (2009)
• 原著論文19: Kiriyama S, Oda I, Nishimoto F, et al.; Pilot study to assess safety of local lidocaine injections during endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer.; Gastric Cancer , 12 (3) , 142-147 (2009)
• 原著論文20: Gotoda T, Oda I, Tamakawa K, et al.; Prospective clinical trial of magnetic-anchor-guided endoscopic submucosal dissection for large early gastric cancer.; Gastrointest Endosc , 69 (1) , 10-15 (2009)

公開日・更新日

• 公開日: 2015-04-28
• 更新日: 2017-05-25

収支報告書

• 文献番号: 201119023Z