胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験

文献情報

文献番号
201119019A
報告書区分
総括
研究課題名
胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験
課題番号
H21-がん臨床・一般-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
片井 均(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 吉川 貴己(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 寺島 雅典(静岡県立静岡がんセンター 消化器外科)
  • 伊藤 誠二(愛知県がんセンター 中央病院)
  • 木下 平(独立行政法人国立がん研究センター 東病院)
  • 國崎 主税(公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
  • 桜本 信一(北里大学 東病院)
  • 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学)
  • 川崎 健太郎(兵庫県立がんセンター 消化器外科)
  • 安藤 昌彦(京都大学 保健管理センター   名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
17,623,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早期胃癌に対し、術後QOLの改善を期待し腹腔鏡手術が導入されつつある。腹腔鏡手術の頻度は増加しているが、術式の難易度が高く、リンパ節転移がある患者における開腹術との同等性などのprospectiveなデータがなく広がっている現状は問題である。患者にとっての真のベネフィットの有無を検証するために、安全性,根治性両面からの科学的な有用性評価を臨床試験で行なう。
研究方法
臨床病期I期胃癌に対する開腹手術に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の非劣性を証明する多施設第III相試験を行なう(JCOG0912: UMIN000003319)。primary endpointは全生存期間。開腹手術群の5年生存割合を90%、腹腔鏡下手術群の成績が開腹手術群と同等であることを期待し、生存割合で非劣性許容下限を5%(ハザード比:1.54)として検証するため、登録数は両群併せて920名となる(片側α5%、検出力80%)。登録5年、追跡5年予定。腹腔鏡下手術の低侵襲性を探索的に評価するためのQOL調査も行う。調査票にEORTC QLQ-C30、STO22を使用し、術後90日のGlobal health statusスコアが、登録時と比べて「臨床的に意味のある増悪」(登録時調査結果と比較して10点以上の低下)を示す患者の割合を開腹胃切除術群で61%、腹腔鏡下胃切除術群で45%と仮定すると、有意水準両側0.05、検出力80%で一群152例、両群で304例以上の登録数となる(4参加施設の全例登録)。
結果と考察
JCOG0912の予定登録数は両群併せて920名で、2012年5月7日現在、登録施設は27施設、登録数は573例。QOL調査の必要登録数は両群304名以上で、2012年5月7日現在、登録数は393例。ランダム化比較試験(JCOG0912)、QOL調査ともに順調に登録が進んでいる。問題となる有害事象も発生していない。登録期間は5年の予定だが可能であれば短縮を試みる。
結論
本研究で、腹腔鏡手術の評価が定まれば、内視鏡切除適応外の早期胃がん患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる、新しい治療手段を積極的に提供できる。早期社会復帰や術後患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなりうる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201119019B
報告書区分
総合
研究課題名
胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験
課題番号
H21-がん臨床・一般-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
片井 均(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 北野 正剛(大分大学 医学部 )
  • 宇山 一郎(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 谷川 允彦(大阪医科大学 一般・消化器外科)
  • 比企 直樹(財団法人 癌研究会有明病院 消化器外科)
  • 黒川 幸典(国立病院機構 大阪医療センター 外科  /大阪大学医学系研究科)
  • 吉川 貴己(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 寺島 雅典(静岡県立静岡がんセンター 胃外科)
  • 伊藤 誠二(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
  • 木下 平(独立行政法人 国立がん研究センター東病院)
  • 國崎 主税(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
  • 桜本 信一(北里大学東病院 消化器外科)
  • 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学)
  • 川崎 健太郎(兵庫県立がんセンター 消化器外科)
  • 安藤 昌彦(京都大学 環境安全保健機構  /名古屋大学医学部 先端医療・臨床研究支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早期胃癌に対し、術後QOLの改善を期待し腹腔鏡手術が導入されつつある。腹腔鏡手術の頻度は増加しているが、術式の難易度が高く、リンパ節転移がある患者における開腹術との同等性などのprospectiveなデータがなく広がっている現状は問題である。患者にとっての真のベネフィットの有無を検証するために、安全性,根治性両面からの科学的な有用性評価を臨床試験で行なう。
研究方法
臨床病期I期胃癌に対する開腹手術に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の非劣性を証明する多施設第III相試験を行なう(JCOG0912: UMIN000003319)。primary endpointは全生存期間。開腹手術群の5年生存割合を90%、腹腔鏡下手術群の成績が開腹手術群と同等であることを期待し、生存割合で非劣性許容下限を5%(ハザード比:1.54)として検証するため、登録数は両群併せて920名となる(片側α5%、検出力80%)。登録5年、追跡5年予定。腹腔鏡下手術の低侵襲性を探索的に評価するためのQOL調査も行う。調査票にEORTC QLQ-C30、STO22を使用し、術後90日のGlobal health statusスコアが、登録時と比べて「臨床的に意味のある増悪」(登録時調査結果と比較して10点以上の低下)を示す患者の割合を開腹胃切除術群で61%、腹腔鏡下胃切除術群で45%と仮定すると、有意水準両側0.05、検出力80%で一群152例、両群で304例以上の登録数となる(4参加施設の全例登録)。
結果と考察
JCOG0912の予定登録数は両群併せて920名で、2012年5月7日現在、登録施設は27施設、登録数は573例。QOL調査の必要登録数は両群304名以上で、2012年5月7日現在、登録数は393例。ランダム化比較試験(JCOG0912)、QOL調査ともに順調に登録が進んでいる。問題となる有害事象も発生していない。登録期間は5年の予定だが可能であれば短縮を試みる。
結論
本研究で、腹腔鏡手術の評価が定まれば、内視鏡切除適応外の早期胃がん患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる、新しい治療手段を積極的に提供できる。早期社会復帰や術後患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなりうる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201119019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の開腹幽門側胃切除に対する非劣性を検証するランダム化比較試験(JCOG0912)」の登録を行っている。ランダム化比較試験(JCOG0912)、QOL調査ともに予定登録数の2/3が登録され、順調に進んでいる。問題となる有害事象も発生していない。腹腔鏡手術の安全性・根治性、両面からの科学的な有用性評価を行う大規模第Ⅲ相試験が順調に行われている。なお、西欧諸国では胃癌の罹患率が少なくこのような大規模臨床試験は不可能である。
臨床的観点からの成果
 登録は、順調である。最終的に、胃癌に対する郭清を伴う腹腔鏡下手術の安全性と有効性が証明され、この手術の評価が定まれば、内視鏡切除適応外の早期胃がん患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる、なお、腹腔鏡手術は、手術器具やロボティックシステムの開発により、さらなる低侵襲性を患者に提供可能である。
ガイドライン等の開発
 本臨床試験の結果は、日本胃癌学会が作成する「胃癌治療ガイドライン」にレベルの高いエビデンスを提供する。
その他行政的観点からの成果
 本治療法で可能となる早期社会復帰や術後患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなりうる。
その他のインパクト
 この手術手技が一般化し、社会的な認知度が上がることにより、手術関連企業の開発への参画、市場の拡大などの多くの経済効果も期待できる。

発表件数

原著論文(和文)
16件
原著論文(英文等)
21件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
40件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nakamura K, Katai H, Mizusawa J,et al
A phase III study of laparoscopy-assisted versus open distal gastrectomy with nodal dissection for clinical stage IA/IB gastric Cancer (JCOG0912).
Jpn J Clin Oncol. , 43 (3) , 324-327  (2013)
doi: 10.1002/jso.23301

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201119019Z