リガンド固定化マイクロデバイスによる循環がん細胞診断デバイスの開発

文献情報

文献番号
201118070A
報告書区分
総括
研究課題名
リガンド固定化マイクロデバイスによる循環がん細胞診断デバイスの開発
課題番号
H23-3次がん・若手-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
馬原 淳(独立行政法人 国立循環器病研究センター研究所 生体医工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山岡哲二(独立行政法人 国立循環器病研究センター研究所 生体医工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,918,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、これまでに開発した細胞ローリングカラムシステムの基礎原理に基づいて、血中に存在する循環ガン細胞(CTC)を高感度でかつ高速に検出できるリガンド固定化マイクロデバイスを開発している。これは、申請者を含む研究グループが開発した細胞分離デバイス(特許出願ならびに論文報告済み)を基礎原理として、細胞ローリングの定量化マイクロチップにより血中の循環ガン細胞を検出するものである。CTCは、転移性ガンを持つ患者の血中で検出されており109 cellsの血球細胞の中に1個の割合で存在する。このため、血中にあるCTCを迅速に検出することは、転移性ガンの診断において極めて重要である。
研究方法
本年度は、マイクロ流路内にリガンドを効率的に固定化する手法の開発、ラジオアイソトープによるリガンド固定化量の定量、CTC検出用マイクロ流路の設計を進めた。リガンド固定化材料として2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC)を基礎骨格にもつポリマー材料を合成した。ラジオアイソトープ(RI)を用いて合成ポリマーで修飾したガラスキャピラリー界面に対するタンパクの非特異吸着抑制効果の検討と、リガンド固定化量を定量した。さらに、幅300μm、深さ150μmのマイクロ流路内にリガンドを固定化しモデル細胞のローリング挙動を観察した。
結果と考察
ラジカル重合によりMPCとn-butylmethacrylate, N-vinylfromamideからなる分子量28kDaのポリマーを合成した。また、加水分解反応により側鎖にアミノ基を導入した。ガラスをポリマー溶液に浸漬・洗浄後、X線光電子分光法、水接触角により界面を評価した結果、ガラス界面にポリマーが吸着し、MPC層が表面へ露出している構造が示された。RIの実験結果より、タンパクの非特異吸着はガラス界面に対するポリマーの修飾により抑制されていた。次に、合成ポリマーによりリガンドを固定化したマイクロ流路内でモデル細胞のローリング挙動を観察した結果、細胞は固定化リガンド特異的に界面でローリングした。
結論
新たに合成したポリマーにより非特異吸着を抑制しマイクロ流路内で細胞ローリングを誘起できることが明らかとなった。今後、細胞ローリング速度の定量やターゲット細胞の検出感度を検討する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118070Z