骨髄異形成症候群におけるエピゲノム修飾分子異常の解明

文献情報

文献番号
201118068A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄異形成症候群におけるエピゲノム修飾分子異常の解明
課題番号
H23-3次がん・若手-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
真田 昌(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,918,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄異形成症候群(MDS)は高齢者に好発する難治性造血器腫瘍である。MDSにおいてエピゲノム異常が生じていることは1990年代から報告され、近年ではメチル化阻害剤などが臨床応用され、従来型の抗腫瘍剤では治療効果が期待できないMDS治療において重要な薬剤として認識されている。一方で、最近になり、MDSにおいてエピゲノム修飾分子にゲノム異常が生じていることが明らかとなった。しかし、MDSにおいて観察され、治療標的と考えられているエピゲノム異常が、エピゲノム修飾遺伝子のゲノムレベルでの変異に起因しているのか、さらにはエピゲノム修飾を治療標的とした薬剤の反応性の予測マーカーとなり得るのかなど、不明な点は多く、本研究ではゲノム・エピゲノム解析を統合し、両異常の関連を明らかとする。
研究方法
初年度はMDSにおけるエピゲノム修飾遺伝子変異の頻度を明らかにするために、151例のMDS臨床検体(CMML 44例、MDSから移行したAML 18例を含む)を対象に、エピゲノム修飾に関連する81遺伝子について変異解析を行った。DNAを超音波で断片化し、アジレント社より購入した当該遺伝子のコーディング領域に相補的な配列を用いて対象とする遺伝子領域を濃縮し、イルミナ社の次世代シークエンサーにより配列決定した。配列情報から各サンプルにおける変異候補を抽出し、サンガーシークエンスを用いて確認をした。
結果と考察
151例中112例(71%)において、解析した遺伝子群にアミノ酸変化を伴う変異が1つ以上同定された。TET2、ASXL1、EZH2、DNMT3Aなど既に変異の報告がある遺伝子に多数例で変異が観察された。また、頻度は低いものの、これまで変異が報告されていないエピゲノム関連遺伝子にもナンセンス変異など機能喪失となる変異などが同定され、MDSにおいては多くの症例でエピゲノム修飾分子が遺伝子(ゲノム)レベルで異常を来していると考えられた。今後、エピゲノム解析を進める予定であり、本研究の遂行によりゲノムレベルでの異常とエピゲノム異常との関連が明らかにされることが期待される。
結論
MDS症例においては、高頻度にエピゲノム修飾分子にゲノムレベルでの異常が生じており、エピゲノム異常を含めたMDSの分子病態に重要であると考えられ、本研究の意義は高いと期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118068Z