低線量胸部CTによる肺がん検診の有効性評価のための無作為化比較試験

文献情報

文献番号
201118064A
報告書区分
総括
研究課題名
低線量胸部CTによる肺がん検診の有効性評価のための無作為化比較試験
課題番号
H23-3次がん・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
佐川 元保(金沢医科大学 呼吸器外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江友孝(国立がん研究センター がん対策情報センターがん情報・統計部・がん疫学)
  • 西井 研治(岡山県健康づくり財団 附属病院)
  • 江口 研二(帝京大学 医学部内科学系)
  • 中山 富雄(大阪府立成人病センター がん情報部疫学予防課)
  • 田中 洋史(新潟県立がんセンター新潟病院 内科)
  • 小林  健(石川県立中央病院 放射線診断科)
  • 佐藤 雅美(鹿児島大学大学院 呼吸器外科分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
18,805,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における肺がん死亡数はがん死亡の第一位を占め、その克服は急務である。喫煙対策は重要であるが、わが国では非喫煙者の肺がんも少なくない。胸部低線量CTは新しい肺がん検診として期待されているが、有効性は未だ確立していない。本研究の目的は、CTによる肺がん検診が、わが国の肺がん死亡減少のために有用かどうかを判断するために、CT検診の無作為化比較試験(RCT)を実施することである。また、CT検診の撮影条件の標準化を行う目的で、現在本邦各地で行われているCT検診の撮影条件の比較検討も併せて行う。
研究方法
2009年度に作成した原RCT計画を、2011年のNLST報告および費用対効果などを踏まえて改訂し、数地区で実際に研究を実施する。低線量CT検診の撮影条件の比較のために、①模擬結節入り胸部CT用ファントム、②水ファントム,③ワイヤーファントム,④ビーズファントムを各施設に送付し撮影してもらい、解像特性,ノイズ特性,SNR、模擬結節の検出の容易さを検討する。
結果と考察
計画改訂の骨子は、①対象者を非/低喫煙者とした、②研究費で賄う検診をCT群は1・6年目のCT検診、X線群は1年目のX線検診のみとし、残りの年は現行検診の受診勧奨のみとした、③CT検診群の肺がん死亡の相対危険度を0.4と想定し必要参加人数を35000人に減少させた、④予算規模は原計画の約1/6に減少させ得た。今年度までに4県にて試験を実施し、その結果本研究の対象者の28%が説明会への参加を希望し,説明会に参加した者の90%が実際に研究に参加するという高率なリクルート状況であることが判明した.撮影条件の比較検討に参加した約40施設の結果での解析では,スライス厚が5㎜を超えると画質に大きな差が生じるが,それ以下ではスライス厚よりは他の要因が重要と考えられた.
結論
胸部CT検診のRCTでは、本研究の対象者の26%が実際に研究に参加するという、きわめて高率なリクルート状況であることが判明し、今回作成・配布している勧誘・説明書は,①研究内容の適切な伝達,②不適格例の排除,の両面において有効に機能していると考えられた.現在、実施地区拡大へ向けて多方面と交渉中である。
また、低線量CT検診の撮影条件の比較検討によれば,スライス厚が5㎜を超えると画質に大きな差が生じるが,それ以下ではスライス厚よりは他の要因が重要と考えられた.

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118064Z