国民のがん情報不足感の解消に向けた「患者視点情報」のデータベース構築とその活用・影響に関する研究

文献情報

文献番号
201118057A
報告書区分
総括
研究課題名
国民のがん情報不足感の解消に向けた「患者視点情報」のデータベース構築とその活用・影響に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-042
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 健康情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 建(静岡県立静岡がんセンター)
  • 別府 宏圀(特定非営利活動法人「健康と病の語りディペックス・ジャパン」)
  • 吉田 雅博(国際医療福祉大学)
  • 朝倉 隆司(東京学芸大学 教育学部)
  • 隈本 邦彦(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,712,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「国民の情報不足感」の解消は、がん対策推進基本計画の示す最重要課題の一つである。本研究は「国民(患者・家族・一般市民)のがん情報不足感」の実状を解明し、既存の患者視点の情報創出活動を発展させ新たなデータベース構築に取り組む。加えてデータベースの可能性を多面的に検討し、「新たな社会資源としての患者視点情報」の充実と「情報発信者としての患者・家族」の役割への注目により、「国民のがん情報不足感」の解消を目指す。
研究方法
上記課題に取り組むため、既存の患者視点情報創出の取り組みと専門医・専門施設での取り組みを連携させ、課題に応じて量的方法・質的方法、事例検討を併用する。
結果と考察
今年度はがん相談支援センター相談員を対象に「健康と病いの語り」サイトの利用者評価を実施(174人回答)。7割がサイトを認知、半数以上が使用経験あり、その9割が有用性を評価する一方、患者特性や受け止め方に配慮して勧める際には慎重な傾向も見られた。インターネット調査に回答した乳がん患者(112人)の9割が有用と評価し、相談員より「他の患者に勧めたい」割合は多く、「勇気づけられる」「患者の声が伝えられている」等を理由としていた。以上の知見は患者視点情報データベースの利便性の向上とがん診療連携拠点病院の環境整備に役立つことが期待される。闘病記の特性を明らかにするために、国内で出版された乳がん闘病記全180冊の時系列に沿った内容分析を実施。患者会情報センターは本年度中に登録患者会が100に達する見込み。並行してがん専門病院、臨床系学会における患者参加、患者視点情報の活用、提供者側の環境整備、「情報処方」のコンセプトの具現化に向けて検討を進めている。がん患者・市民を対象としたインターネット調査の結果をがん情報特化サイト『QLifeがん』で一般公開した。平成23年11月に公開フォーラム、闘病記研究会、ピアサポート人材育成プログラムに向けた試みとして平成24年1月には「患者を知りたい入門講座<患者の立ち位置、医療者の立ち位置、あなたの立ち位置>」を開催した。
結論
本研究の成果は患者体験情報による患者・家族の疾病、治療過程の理解と準備の支援、患者・家族の「がんと共に生きる生活」へ(再)適応の支援と関連する人材育成、がん拠点病院・公共図書館における闘病記情報の整備と患者情報サービスの充実、がん拠点病院における相談窓口、支援サービスの充実に役立つことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118057Z