国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201118054A
報告書区分
総括
研究課題名
国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの質の向上に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-039
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
若尾 文彦(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚 悦功(東京大学大学院工学系研究科)
  • 石川 ベンジャミン 光一(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 小山 博史(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柴田 大朗(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 河村 進(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
  • 水流 聡子(東京大学大学院工学系研究科)
  • 平田 公一(札幌医科大学外科学第一講座)
  • 福井 次矢(財団法人聖路加国際病院)
  • 松山 琴音(財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
  • 棟近 雅彦(早稲田大学理工学術院)
  • 山口 直人(東京女子医科大学医学部 衛生学公衆衛生学第二講座)
  • 加藤 裕久(昭和大学薬学部医薬品情報学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
56,413,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・家族・国民に役立つ情報提供を実施するためのがん情報データベースや医療機関データベースを効率的に構築・運用する体制について検討し、有効性が検証されたものからがん情報提供ネットワーク等を通じて、迅速に患者に届けることができる体制を整えるともに、そのデータの質の改善をするための体制を構築することを目的とする。
研究方法
がん診療ガイドラインを作成、公開している団体の関係者により、作成・公開体制を検討する場の在り方について、検討を行った。公開されているがん診療ガイドラインの情報を、がん種、発行者別、公開・更新年別等様々な切り口で絞込みできる新エビデンスデータベースシステムを構築し、がん情報サービスより、公開を行った。
わが国で使用されている代表的な5がん種19レジメンについて、がん診療連携拠点病院等を対象に使用実態調査を実施した。わが国の臨床試験登録システムに公開されているがん領域の臨床試験の情報を収集・分類し、領域別・開発段階別に臨床試験を一覧できるようがん情報サービス上で公開した。米国における適応外使用の実態を本邦での承認状況を薬剤毎に調査し、情報の更新を行った。平成21年度がん診療連携拠点病院推薦書、現況報告書のデータを集計解析した。デジタルテレビ用のがん患者必携参照ウィジェットを開発した。
結果と考察
関係者による「がん診療ガイドライン作成・公開体制に関する協議会」を研究的に立ち上げ、関連組織の連携体制について協議を行った。今後、ガイドラインの整備を推進するために必要な対策を整理し、ガイドライン検討組織のプロトタイプとして、ノウハウを蓄積し、構築すべき体制のあり方の提言につなげると考える。がん診療ガイドラインを登録したエビデンスデータベースに、オリジナルのガイドラインとの関係を示すコメント欄を追加し公開した。ガイドラインを様々な切り口で検索、絞込みをして、横断的に一覧することで、ガイドラインの策定状況を把握し、今後の作成・更新の検討を行うための基本情報として、重要なデータソースとなる。診療ガイドラインのコンテンツを「1つのクリニカルクエスチョン(CQ)、1つの推奨文、1つの推奨度」を、共通フォーマット化「CQサマリー」したデータベースを構築し、CQを検索する「CQファインダー」を構築公開した。 9種類の基本パスを完成させ、基本パス、施設のパスを様々な切り口で検索、絞込みを行いうことができる新パスデータベースシステムを構築し、がん情報サービスより公開を行った。基本パスについて、ポイントを明示した上で、見やすい形で、広く公開することで、がん診療の均てん化をすすめるツールの一つとなり得ると考える。わが国で使用されている代表的なレジメンに関するがん診療連携拠点病院を対象とした使用実態調査の結果、注射用抗がん薬は施設内でレジメン登録されているが、経口用抗がん薬を含むレジメンの登録率は低い、同一名称で内容の異なるレジメンが登録されている場合がある等の課題を明らかにした。支持療法薬を含めた時系列的な処方設計書であるレジメンの標準化を図ることにより、安心かつ安全な抗がん剤治療をがん患者へ提供することが可能となると考える。国内3 臨床試験登録システムから集積したのべ3555 件のがんの臨床試験を、15 の領域、4 つの開発段階に分類し、がん情報サービスにおいて公開した。開発中の治療等に関する情報発信では、米国あるいは本邦で承認されているがん領域の医薬品152 成分を対象として、我が国と米国とでの医薬品の薬事承認状況、公的保険償還状況の比較検討を可能とする基礎情報の更新を行った。がん診療連携拠点病院現況報告書のデータを集計解析により、拠点病院の課題を明らかにした。また、患者が知りたい拠点病院の情報を収集することを目指した現況報告の項目を検討し、厚生労働省健康局総務課がん対策推進室提示した。デジタルテレビのがん患者必携参照用ウィジェットを開発し、患者必携情報を参照できるプロトタイプシステムを構築した。地上デジタル放送環境下でのデジタルテレビによるがん情報提供を実現することで、コンピュータを所有していなくとも、家庭のテレビにより、がん情報を簡単に入手することが可能となり、コンピュータリテラシーが低いグループへの情報提供手段を、飛躍的に広げることになる。
結論
がん診療ガイドライン作成・公開体制を検討する場として、「がん診療ガイドライン作成・公開体制に関する協議会」を研究的に立ち上げ、各専門学会等関連組織を含めて、組織連携の推進、在り方について協議を行うとともに、がん情報データベースとしてエビデンスデータベース、パスデータベース、臨床試験データベース、医療機関データベースを構築し公開した。また、がん診療連携拠点病院に対し、化学療法レジメンの調査を実施し、課題を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118054Z