文献情報
文献番号
201118042A
報告書区分
総括
研究課題名
光感受性ROS産生蛍光タンパク質を発現する遺伝子改変アデノウイルス製剤を用いた新たな癌の光線力学療法システムの開発
課題番号
H22-3次がん・一般-027
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 俊義(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,279,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
テロメライシンは岡山大学で開発された国産の抗癌アデノウイルス製剤であり、テロメラーゼ構成成分であるhTERT遺伝子のプロモーターにより癌細胞のみで選択的に増殖して腫瘍融解を引き起す。本研究では、テロメライシンをベクターとして癌細胞選択的に光感受性蛍光タンパク質KillerRed遺伝子を発現する次世代型武装化アデノウイルス製剤を開発する。腫瘍選択的に光感受性蛍光タンパク質を発現させ、治療用デバイスにて励起光照射することで癌細胞のみで活性酸素(reactive oxygen species:ROS)を産生して細胞死を誘導する新たな癌の光線力学療法を確立する。
研究方法
KillerRedはAnthomedusaeクラゲの発色タンパク質であるanm2CPを改変して開発された新しい赤色蛍光タンパク質であり、540~580nmの緑色光照射によって活性酸素(ROS)を産生して細胞死を誘導することができる。KillerRed遺伝子発現ヒト癌細胞株を作成するとともに、励起光照射用ビデオスコープを試作し、テロメライシンにKillerRed遺伝子を搭載した次世代型武装化アデノウイルス製剤を作成した。
結果と考察
KillerRed遺伝子発現ヒト肺癌細胞に励起光を照射したところ、急速にPhotobleachingが生じ、照射領域では1時間以内に強力な細胞障害活性が認められた。照射部位の境界領域の細胞では活性化カスパーゼ3の免疫蛍光染色が陽性となり、アポトーシスが誘導されていると考えられた。KillerRed遺伝子発現細胞では有意に高いROS産生が確認された。また、励起波長570~590nmの励起光を発し、蛍光波長600~655nmの近赤外蛍光を誘導することができる励起光照射デバイスを試作した。さらに、サイトメガロウイルス・プロモーターの下流にKillerRed遺伝子を組み込み、テロメライシン・ゲノムのE3領域に搭載したKillerRed遺伝子発現テロメライシンを作成した。
結論
緑色励起光によりKillerRed遺伝子発現ヒト癌細胞を選択的に殺傷することができ、光感受性武装化アデノウイルス製剤を用いたKillerRedの光線力学療法への応用の可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2015-05-19
更新日
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