患者・家族・国民の視点に立った自立支援型がん情報の普及のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201118015A
報告書区分
総括
研究課題名
患者・家族・国民の視点に立った自立支援型がん情報の普及のあり方に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 清高(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部 医療情報コンテンツ研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 的場 元弘(国立がん研究センター 緩和医療科・精神腫瘍科)
  • 八巻 知香子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部)
  • 浦久保 安輝子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部)
  • 朝戸 裕二(茨城県立中央病院・茨城地域がんセンター)
  • 谷水 正人(四国がんセンター 消化器内科)
  • 田城 孝雄(順天堂大学 医学部)
  • 高田 由香(静岡県立静岡がんセンター疾病管理センター)
  • 清水 秀昭(栃木県立がんセンター 食道外科)
  • 辻  晃仁(神戸市立医療センター中央市民病院)
  • 増田 昌人(琉球大学医学部附属がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
27,423,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特に国民の不足感が強いがん医療に関して、病気や治療に対する患者自身の理解を助けることに加え、刻一刻と生じる不安や疑問に対して自発的に対応できるための意思決定と自立支援に関わる情報提供等を行うことにより、全国のがん患者に質の高いがん医療にかかわる情報提供・自立支援の仕組みを普及させることである。
研究方法
国立がん研究センターがん対策情報センターが制作する患者必携を自立支援型がん情報のモデルとし、がん情報の普及と運営に関する検討を行った。本年度は予備調査の検討に基づき、配布、活用状況のモニタリングとその内容によるフィードバックの仕組み、心理指標や背景情報を組み合わせ調査を行うことにより、利用者ニーズに基づく個別具体的な情報支援に結びつく調査設計とするとともに、今後全国規模で普及を行うための運営方法に関する検討を行った。20地域約2,500名対象のパイロットを実施した。
結果と考察
自立支援型情報の普及の評価に向けた評価指標は調査を行う施設や研究者のニーズを反映することでより精緻なものとし、得られた調査結果を当該施設や地域の医療従事者向けにも効果的にフィードバックでき、一般化したり周辺地域や全国向けの普及モデル事例になると考えられた。パイロット調査は24年3月時点で集計中であり、論文等投稿を予定している。
刻々と変わる情報ニーズ状況に応じて、信頼できわかりやすい支援が適時に提供されるためには、認知・活用、提供、開発、支援にわたってそれぞれの段階での評価と、医療者および利用者からのアウトカムまでの一連の検証が必要であり、検討プロセスは情報普及計画の精緻化と評価の多様化に極めて有用であった。これらの成果により、当該研究の達成目標である「情報の効果的・効率的な収集、分析、普及」に向けた方策を得ることができた。つまり、認知や医療現場の浸透において、多職種や地域ごとの介入や啓発、検討の場への参画などをとおして、支援ニーズを明確にしつつ、具体的な解決モデルを提示することの必要性と有用性が明らかになった。
結論
自立支援型情報を活用することができれば、主体的な治療や療養生活の方針決定や納得につながり、良好な治療、療養生活上のアウトカムを得られると考えられた。今後の協力地域の増加および地域における深化を進めることで、情報処方プロセスの最適化に向けたより強固なエビデンスを得る協力基盤の構築につなげることができると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

文献情報

文献番号
201118015B
報告書区分
総合
研究課題名
患者・家族・国民の視点に立った自立支援型がん情報の普及のあり方に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 清高(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部 医療情報コンテンツ研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 的場 元弘(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
  • 八巻 知香子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部)
  • 浦久保 安輝子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部)
  • 谷水 正人(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 消化器内科)
  • 田城 孝雄(順天堂大学  医学部)
  • 清水 秀昭(栃木県立がんセンター )
  • 辻  晃仁(神戸市立医療センター中央市民病院)
  • 朝戸 裕二(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター )
  • 堀内 智子(静岡県立静岡がんセンター)
  • 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院がんセンター)
  • 高田 由香(静岡県立静岡がんセンター疾病管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特に国民の不足感が強いがん医療に関して、病気や治療に対する患者自身の理解を助けることに加え、刻一刻と生じる不安や疑問に対して自発的に対応できるための意思決定と自立支援に関わる情報提供等を行うことにより、全国のがん患者に質の高いがん医療にかかわる情報提供・自立支援の仕組みを普及させることである。
研究方法
国立がん研究センターがん対策情報センターが制作する患者必携を自立支援型がん情報のモデルとし、予備調査とがん診療連携拠点病院を対象とした情報普及と運営に関する検討を実施、普及支援ツールの開発を患者・家族・医療者の参画により実施、認知啓発を含めた介入調査を、心理指標や背景情報を組み合わせ、利用者ニーズに基づく個別具体的な情報支援に結びつく調査設計として実施した。20地域約2,500名対象のパイロットを研究協力者とともに実施した。
結果と考察
自立支援型情報の普及の評価に向けた評価指標は、予備調査および全国規模の調査を行う施設や研究者のニーズを反映することでより精緻なものとし、得られた調査結果を当該施設や地域の医療従事者向けにも効果的にフィードバックでき、一般化したり周辺地域や全国向けの普及モデル事例になると考えられた。パイロット調査は24年3月時点で集計中であり、論文等投稿を予定している。
刻々と変わる情報ニーズ状況に応じて、信頼できわかりやすい支援が適時に提供されるためには、認知・活用、提供、開発、支援にわたってそれぞれの段階での評価と、医療者および利用者からのアウトカムまでの一連の検証が必要であり、検討プロセスは情報普及計画の精緻化と評価の多様化に極めて有用であった。これらの成果により、当該研究の達成目標である「情報の効果的・効率的な収集、分析、普及」に向けた方策を得ることができた。つまり、認知や医療現場の浸透において、多職種や地域ごとの介入や啓発、検討の場への参画などをとおして、支援ニーズを明確にしつつ、具体的な解決モデルを提示することの必要性と有用性が明らかになった。
結論
自立支援型情報を活用することができれば、主体的な治療や療養生活の方針決定や納得につながり、良好な治療、療養生活上のアウトカムを得られると考えられた。今後の協力地域の増加および地域における深化を進めることで、情報処方プロセスの最適化に向けたより強固なエビデンスを得る協力基盤の構築につなげることができると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-12-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201118015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
癌治療学会10回、公衆衛生学会3回、医療の質・安全学会11回、サイコオンコロジー学会、看護管理学会、ヘルスコミュニケーション学会、クリニカルパス学会、医療・病院管理学会など幅広い分野の専門学会にて特別企画を含めて当研究班の研究成果を発信した。東日本大震災における情報発信の取り組みを報告、緩和医療学会にて心理的尺度に応じた情報発信のあり方について報告予定。情報提供にとどまらず、収集・整理・活用・普及での課題を提示し、がん対策としての論点や事例の共有、地域の身近な情報提供の活動に結びつきつつある。
臨床的観点からの成果
予備配布調査および本配布において、情報ツールの導入、各地域や医療機関での介入時などにおいて、医師、看護師、MSW、相談員、薬剤師など、情報提供に関わる各職種が現場のニーズに応じた普及・活用に向けた提案が多く寄せられた。内容は構造的分析とともに整理し、要素を抽出して各パイロット実施機関だけでなく、これから導入する現場、専門職、地域ごとの事例集や成功のための要素として提示することができた。 717名を対象とした情報介入前後の調査の分析を行い報告予定。
ガイドライン等の開発
療養支援、サバイバーシップ、ヘルスサービスリサーチに関するガイドラインはわが国においては十分整備されておらず今後の取り組みとなるが、患者向けのがんの療養支援、がんに関わる情報提供で引用、紹介されたり、がんの相談員向けのプログラムとして情報提供のモデルとして提示するなど、全国レベルおよび都道府県などさまざまな地域において広くがんの情報提供における標準的なツールとして普及がなされた。
その他行政的観点からの成果
がん情報の作成、普及のモデルを国立がん研究センターはじめがん情報の発信を担う拠点病院、都道府県に提示し、がん対策推進基本計画の中間報告でも普及の必要性が説かれるとともに、基本計画・アクションプランで23府県において患者必携の普及が施策目標に盛り込まれた。地域の療養情報の作成は27年時点で35道府県が公開され、地域独自の工夫や情報を盛り込みながら、作成と普及、活用のための議論がなされている。
その他のインパクト
情報の作成、収集、整理、活用、普及の各プロセスにおいて、各職種・地域横断的に介入モデルを具体的に提示することができ、情報を通じて「つながる、がん医療を動かすプロセスを見える化」することが、全国・都道府県・医療機関などで具体的に提示することができ、新聞、テレビ、学会などで広く発信することができた。成功のための要素と具体例を提示、活用普及プロセスに介入し、患者・医療者双方の評価を得ることで、利用者視点での情報提供モデルを確立し、がんにとどまらず慢性疾患の医療提供の今後のあり方を提示する機会となった。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
10件
(‘09)がん患者ケア、(‘10)成人病と生活習慣病、外来看護,薬学図書館、(‘11)日本ヘルスコミュニケーション学会誌、月刊ナーシング、(‘12)都道府県がん対策の推進-計画策定のガイドブック-等
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
42件
癌治療学会10回、公衆衛生学会3回、医療の質・安全学会11回、その他サイコオンコロジー学会、看護管理学会、ヘルスコミュニケーション学会、クリニカルパス学会、医療・病院管理学会など
学会発表(国際学会等)
2件
がん情報普及 包括的な情報処方プログラムに関する発表(UICC、2010年、2012年)
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
39件
基本計画・アクションプランで地域におけるきめ細かな情報提供および普及が施策目標に盛り込まれた。地域の療養情報の作成は27年時点で試作を含め35道府県公開。国立がん研究センターがん情報サービスにて公開。
その他成果(普及・啓発活動)
204件
がん情報の普及、患者必携、情報活用と普及に関しての講演会、取材、成果の発信をマスメディア、専門誌、医療機関、患者・市民向けなど幅広く成果の発信とともに実施した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2015-10-06

収支報告書

文献番号
201118015Z