文献情報
文献番号
201117007A
報告書区分
総括
研究課題名
小児心不全に対する細胞治療と単心室症由来人工多能性幹(iPS)細胞の樹立による次世代心筋再生医療法の開発
課題番号
H22-次世代・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
王 英正(岡山大学病院 新医療研究開発センター 再生医療部門)
研究分担者(所属機関)
- 佐野俊二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
- 伊藤 浩(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
複雑心奇形である機能的単心室症に対する修復術後遠隔期における循環不全は、従来の治療法では救命が期待できない重篤な心疾患である。本研究では、心臓内幹細胞の自家移植療法による小児心不全への第I/II相臨床試験の実施と単心室症由来の疾患特異的iPS細胞を樹立することで、新たな心臓再生医療法の開発を目的とする。
研究方法
平成23年1月に厚生科学審議会にて実施承認された「機能的単心室症に対する自己心臓内幹細胞移植の第1相臨床試験」のプロトコルに則り、平成23年3月に世界初の小児心不全への自家幹細胞移植を実施する。また、心臓手術中に生じる余剰組織を用いて、心臓内幹細胞を純化精製し疾患特異的iPS細胞を樹立する。
結果と考察
合計7症例の予定数を平成23年度内にすべて実施終了した。移植後1週間目までの入院期間において、致死性不整脈や虚血の惹起は認めず、移植後3か月目までの細胞治療法に関する安全性を確認した。心エコー、心室造影やMRIなどによる心機能評価では全例において軽度から著明な機能改善が確認され、今後、引き続き全症例に対して1年目までの長期経過を観察する予定である。
単心室由来の10株と二心室由来が5株である。網羅的遺伝子解析の結果、心不全を呈する単心室症は発生段階における心臓二次領域形成に重要な転写因子群の発現が著明に低下しているが、下等動物に特有な心筋自己再生因子群の発現も一部で有意に高値であった。
単心室由来の10株と二心室由来が5株である。網羅的遺伝子解析の結果、心不全を呈する単心室症は発生段階における心臓二次領域形成に重要な転写因子群の発現が著明に低下しているが、下等動物に特有な心筋自己再生因子群の発現も一部で有意に高値であった。
結論
小児心不全における心臓内自己幹細胞を用いた冠動脈内注入による移植法の安全性を確認した。体重が3キロ以上で、年齢が生後6か月以降なら、カテーテル操作を伴う冠動脈造影や細胞注入は技術的に充分実施可能でかつ安全である。今後、有効性検証のためのランダム割り振りの第II相臨床試験を行い、心機能改善の程度について詳細に検討する。
今後、左心低形成症候群由来iPS細胞を詳細に解析することで、心臓発生初期における心室形成異常の病態解明と新たなヒト心臓再生医療法の開発につながる可能性がある。
今後、左心低形成症候群由来iPS細胞を詳細に解析することで、心臓発生初期における心室形成異常の病態解明と新たなヒト心臓再生医療法の開発につながる可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2012-12-28
更新日
-