健やか親子21を推進するための母子保健情報の利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201117004A
報告書区分
総括
研究課題名
健やか親子21を推進するための母子保健情報の利活用に関する研究
課題番号
H21-子ども・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院 医学工学総合研究部 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 仲宗根 正(沖縄県宮古福祉保健所)
  • 玉腰 浩司(名古屋大学医学部保健学科看護学専攻)
  • 原田 正平(国立成育医療研究センター研究所成育医療政策科学研究室)
  • 荒木田 美香子(国際医療福祉大学小田原保健医療学部)
  • 山中 龍宏(緑園こどもクリニック)
  • 薬袋 淳子(国際医療福祉大学小田原保健医療学部)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 古屋 好美(山梨県中北保健福祉事務所)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学医学部健康社会医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
16,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「健やか親子21」の推進に資するため、母子保健情報の収集と利活用に関する効果的かつ具体的方策の提示と「健やか親子21」の第2回中間評価ために必要なデータの調査・解析の2点を研究目的とする。
研究方法
平成23年度は、以下の3点について研究を行った。
1.母子保健モニタリングシステムの構築
2.「健やか親子21」に関する情報システムの構築及びその評価のフィードバック
3.「健やか親子21」の中間評価に関する調査の詳細解析
結果と考察
1.母子保健情報利活用システムの有効性と実行可能性を検証するために、静岡県、宮崎県、山梨県の7保健所26市町村においてモデル事業を実施した。「気になる親子」を支援するための項目として採用した「ゆったりとした気分でお子さんと過ごせる時間がありますか」「どのようなお子さんですか」「子どもを虐待しているのではないかと思うことがありますか」は相互に関連があり、子育て支援の面から有用な項目であることが示唆され、乳幼児健診の共通の問診項目とすべきと考える。
2.健やか親子21のホームページは東日本大震災の際の有用情報の提供を含め適切に運営され、75万件のアクセスを超えた。特に、震災後は災害時に必要な情報を掲載し、通常の2.5倍のアクセスがあった。
3.健やか親子21中間評価に関する解析については、二次医療圏における分娩取り扱い施設の状況と出生数の変化との関連について分析を行った。重回帰分析を行った結果、可住地面積1キロ平方メートル当たり分娩取り扱い施設数、高齢化率、都道府県における「産科医師、助産師の確保・育成」の取り組みの有無に関連があることが明らかとなった。
結論
1.母子保健情報の利活用に関するモデル事業を新たなモデル地区において実施し、母子保健情報を利活用する仕組みの有用性と、「ゆったりとした気分でお子さんと過ごせる時間がありますか」「どのようなお子さんですか」「子どもを虐待しているのではないかと思うことがありますか」の項目の重要性を明らかにした。
2.健やか親子21のホームページは適切に運営され、母子保健の情報源としての重要なツールであることが確認された。
3.健やか親子21の中間評価に関する調査の詳細分析では、地域の取り組み、可住地面積あたりの分娩取り扱い施設の数、高齢化率が出生数の変化に関連していた。

公開日・更新日

公開日
2012-12-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201117004B
報告書区分
総合
研究課題名
健やか親子21を推進するための母子保健情報の利活用に関する研究
課題番号
H21-子ども・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院 医学工学総合研究部 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 仲宗根 正(沖縄県宮古福祉保健所)
  • 玉腰 浩司(名古屋大学医学部保健学科看護学専攻)
  • 原田 正平(国立成育医療研究センター研究所成育医療政策科学研究室)
  • 荒木田 美香子(国際医療福祉大学小田原保健医療学部)
  • 山中 龍宏(緑園こどもクリニック)
  • 薬袋 淳子(国際医療福祉大学小田原保健医療学部)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 古屋 好美(山梨県中北保健福祉事務所)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学医学部健康社会医学)
  • 吉見 逸郎(東京都福祉保健局多摩府中保健所 保健対策課感染症対策係)
  • 岡本 まさ子(山梨県峡東保健福祉事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「健やか親子21」の推進に資するため、1)母子保健情報の収集と利活用に関する効果的かつ具体的方策の提示、2)「健やか親子21」の第2回中間評価ために必要なデータの調査・解析、の2点を研究目的とする。
研究方法
主に以下の3点について研究を実施した。1)母子保健モニタリングシステムの構築、2)「健やか親子21」に関する情報システムの構築及びその評価のフィードバック、3)「健やか親子21」の中間評価に関する調査およびその詳細解析
結果と考察
1)静岡県、宮崎県、山梨県の7保健所26市町村において、母子保健情報利活用システムのモデル事業を行った。「気になる親子」を支援するための項目として採用した「ゆったりとした気分でお子さんと過ごせる時間がありますか」「どのようなお子さんですか」「子どもを虐待しているのではないかと思うことがありますか」は子育て支援の面から有用な項目であることが示唆され、乳幼児健診の共通の問診項目とすべきと考える。
2)健やか親子21公式ホームページの内容を見直し、利便性を再確認した。この10年間で約75万件のアクセスを得ている。日本の社会においてインターネットで「検索」することが当たり前となっている昨今、東日本大震災後に通常の2.5倍のアクセスがあったことからも、この「健やか親子21公式ホームページ」が、母子保健における主要なツールとなる。
3)健やか親子21の第2回中間評価に関する調査(138市町村における3・4カ月児5500人、1歳6カ月児8311人、3歳児7597人の調査、および全市町村、全都道府県(の調査)及び解析を行い、健やか親子21の指標について第2回目の中間評価表を作成した。設定された67指標(72項目)の指標のうち、第1回中間評価と比べて、改善は70.8%(51項目)、悪化は19.4%(14項目)であった。
結論
保健所と市町村の連携における母子保健情報の利活用の有用性と実行可能性を検討し、市町村、保健所のレベルで必要な情報の選定と地域特性に合わせた情報の利活用の仕組みを構築するための知見が得られた。また、健やか親子21の第2回中間評価に必要な指標について乳幼児健診等での調査・分析を行い、解析結果を「健やか親子21の評価等に関する検討会」に提出、第2回中間評価報告書の資料となった。

公開日・更新日

公開日
2012-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201117004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健やか親子21の指標の推移を明らかにした。また、高校生の性に関する質問票を作成し、その信頼性と妥当性を評価し、新たな指標に加えることができた。幼稚園・保育園の看護師、養護教諭の配置と親の選択について明らかにした。乳幼児健診の新しい評価の視点として育児支援の有無の有用性を明らかにした。乳幼児健診において「ゆったりとした気分で育児ができるか」「育てやすいか」「虐待をしていると思うか」の項目が特に重要であることを7保健所26市町村が参加したモデル事業により明らかにした。
臨床的観点からの成果
産後うつについて、EPDSを用いて全国的な傾向を把握した。また、モデル事業において、産後うつ傾向と関連がある項目として、育てやすさ、ゆったりとした気分で育児ができるか、虐待をしていると思うかが挙げられた。沖縄県小児保健協会が地域の乳幼児健診の情報を縦断的に突合して約20万人のデータベースを作成した。これを用いて、乳幼児の体格の推移や妊娠中の喫煙の影響などを明らかにした。
ガイドライン等の開発
健やか親子21の評価に関する検討会(平成21年8月5日、平成21年10月27日、平成22年2月5日、平成21年3月17日)において、研究班によって調査した項目(全都道府県および全市町村自治体調査で35項目、138の市町村における乳幼児健診等で30項目)直近値およびその解析を報告し、第2回中間評価の資料となった。愛知県では新たな乳幼児健診の指標を開発し、その有用性を検討して全県下で用いることとなった。
その他行政的観点からの成果
健やか親子21の評価に関する検討会による第2回中間評価報告書に当該研究班で調査した直近値および解析結果が盛り込まれた。また、母子保健情報の利活用に関するモデル事業で3県、7保健所管内の市町村のデータ収集とその解析、利活用を行い、その結果がそれぞれの市町村の乳幼児健診の問診票の改定や母子保健活動に還元された。健やか親子21のホームページを運営した。ホームページの中の取り組みのデータベースから先駆的で保健活動に参考となる事業をセレクトして紹介した。
その他のインパクト
第68回、第69回、第70回日本公衆衛生学会総会の自由集会で「知ろう、語ろう、考えよう 健やか親子21」を開催して、健やか親子21の各自治体の取り組みを紹介するとともに啓発に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
30件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
健やか親子21の評価に関する検討会において、研究班によって調査した項目の直近値及びその解析を報告し、第2回中間評価の資料となった
その他成果(普及・啓発活動)
6件
第68回、第69回、第70回日本公衆衛生学会総会のシンポジウム、教育講演、自由集会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
荒木田美香子、佐藤潤、青柳美樹 他
幼児持つ母親の幼稚園及び保育所の選択条件に関する調査-看護師・養護教諭の配置の影響-
小児保健研究 , 69 (4) , 525-533  (2010)
原著論文2
井上みゆき、篠原亮次、鈴木孝太 他
母親の主観的虐待観と個人的要因および市区町村の対策との関連―健やか親子21の調査から-
小児保健研究 , 73 (6) , 818-825  (2014)

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
2015-06-23

収支報告書

文献番号
201117004Z