文献情報
文献番号
201116009A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方方剤「抑肝散」によるアルツハイマー病BPSD軽減効果の検証-プラセボ対照無作為化臨床第2相比較試験-
課題番号
H22-認知症・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 啓行(東北大学 加齢医学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 浦上 克哉(鳥取大学 医学部)
- 松井 敏史(久里浜アルコール症センター)
- 高橋 智(岩手医科大学 医学部)
- 神崎 恒一(杏林大学 医学部)
- 荒木 信夫(埼玉医科大学附属病院)
- 松原 悦朗(弘前大学大学院医学系研究科)
- 池田 将樹(群馬大学病院)
- 布村 明彦(山梨大学医学工学総合研究部)
- 嶋田 裕之(大阪市立大学病院)
- 伊東 大介(慶応義塾大学病院)
- 鳥居塚 和生(昭和大学 薬学部)
- 川原 信夫(医薬基盤研究所 薬用植物資源センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,818,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
認知症における抑肝散の有効性と安全性を報告した研究は多いが、プラセボを用いたランダム化比較試験として行なわれたエビデンスレベルの高い研究はこれまで行なわれてこなかった。本研究は、生薬やプラセボの性能確認のための基礎薬理学的検討を行ないつつ、(株)ツムラから提供を受けた抑肝散(実薬群)及びそのプラセボ(偽薬群)を用いて多施設共同無作為化並行群間二重盲検比較試験を臨床第2相試験として実施するものである。
研究方法
アルツハイマー型認知症患者の精神症状や問題行動に対する漢方方剤「抑肝散」の有効性について、4週間後のNPI-Q-Jを主要評価項目、4週間後以外のNPI-Q-J及びMMSE-Jを副次評価項目として、プラセボ群に対する抑肝散7.5g/日群の優越性を証明する。合わせて本剤の12週投与時の安全性についても検討する。目標症例数は140例である。症例登録を加速する必要があるため、平成23年度内に研究分担施設および研究協力施設合わせて6施設の追加認定をおこなった。データセンターを東北大学臨床試験推進センター(旧TRセンター)内に設置した。
結果と考察
平成23年3月11日に発生した東日本大震災によって研究代表施設である東北大学が被災し通常の診療業務がすべて停止する異常事態となった。しかし、同年6月に1例目の登録が行なわれた。平成24年3月末までの各施設における登録症例数は以下の通りである。岩手医科大学1例、東北大学13例、杏林大学7例、久里浜アルコール症センター5例、鳥取大学・信生病院・倉敷平成病院2例、群馬大学・老年病研究所付属病院6例、慶応義塾大学1例、山梨大学0例、大阪市立大学4例、弘前大学0例、埼玉医科大学1例、仙台富沢病院0例、けいめい記念病院10例、仙台青葉脳神経外科病院4例、野村宏脳神経内科クリニック3例、あずま通りクリニック2例、名古屋大学2例、植松神経内科クリニック8例の計70症例となった。効果安全性評価委員会において、けいめい記念病院から提出された有害事象報告例が審査されたが、薬剤投与との因果関係はないとの結論であった。
結論
震災による大幅な遅れと絶望感にも関わらず、平成23年度内に目標症例数の半数にあたる70例を組み入れたことは班員および研究協力者の連帯意識の賜物と考えられる。平成24年5月23日現在90症例に達した。平成24年年11月末までに目標数の140例組み入れを達成すべく粛々と登録を図りたい。
公開日・更新日
公開日
2012-08-21
更新日
-