支援機器を用いた認知症者の自立支援手法の開発

文献情報

文献番号
201116008A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器を用いた認知症者の自立支援手法の開発
課題番号
H22-認知症・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部)
  • 上村 智子(信州大学 医学部)
  • 関川 伸哉(東北福祉大学 総合福祉学部)
  • 種村 留美(神戸大学大学院 保健学研究科)
  • 永田 久美子(認知症介護研究・研修東京センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,989,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、認知症者の地域での暮らしの継続を支援するため、機器による認知症者の自立支援手法のモデルを確立することである。このため、包括的ケアの中で支援が不足している基本的ADLと家事以外の生活活動(服薬管理、コミュニケーションと娯楽、家庭用品管理、日時把握)に着目し、1)適合技術の開発、2)本人本位のケアにおける支援手法の適用と評価、3)早期に実用化が必要な支援機器の開発を行うことを目標とした。
研究方法
今年度は、上記の目標毎に以下の研究を実施した。
1)認知症者に上記の生活活動を支援する機器を適合し、昨年度作成した評価尺度を基に、前後比較デザインにより遂行度の変化等を評価した。2)支援・評価のための共通シートパックと支援・評価ガイド試案を作成し、支援機器ニーズのアセスメント、利活用支援の実施により、その有効性を確認した。3)昨年度試作した電子カレンダープロトタイプの臨床評価を行って課題を抽出し、改良方針を決定した。
結果と考察
1)服薬管理:18名にアラーム付き薬入れを適用した結果、導入1ヶ月後の時点で15名のユーザーの遂行度が向上し、導入3ヶ月後も13名が向上を維持していた。日時把握:12名に電子カレンダーを適用した結果、導入1ヶ月後の時点で9名、3ヶ月後の時点で8名の遂行度が向上したことが確かめられた。家庭用品管理:5名に探し物発見器を適用した結果、本機器の適合事例は、CDR-1以下の軽度の認知症高齢者であることが示唆された。コミュニケーションと娯楽:操作を簡易化するリモコンカバーを作成し、12名のモニターで1週間の使用評価を行った結果、認知機能が低下している者では、改良リモコンが使用しやすく誤操作が起きにくいという結果が得られた。なお上記の結果の他に、機器の適合において、ユーザーの能力評価や機器・使用法のカスタマイズ、フォローアップなどが必要となることが示唆され、適切な介入方法に関する知見が得られた。2)実施に関わった12名にヒアリング調査を行った結果、作成した共通シートパックと支援・評価ガイド試案の有効性が確認された。3)表示方法のわかりやすさや、安全性などに関する課題が抽出された。
結論
以上より、今年度は、当初の計画通り、1)機器の適合と評価、2)適合・介入プロセス評価および本人および家族へのアウトカム測定手法の開発、3)電子カレンダーのプロトタイプの臨床評価を実施した。

公開日・更新日

公開日
2012-08-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201116008Z