漢方薬によるワクチンアジュバント効果の検討と臨床応用

文献情報

文献番号
201114038A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬によるワクチンアジュバント効果の検討と臨床応用
課題番号
H22-臨研推・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
済木 育夫(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 清野 宏(東京大学医科学研究所 )
  • 後藤 博三(富山大学大学院医学薬学研究部(医学))
  • 並木 隆雄(千葉大学医学研究院 )
  • 齋藤 滋(富山大学大学院医学薬学研究部(医学))
  • 川名 敬(東京大学医学部附属病院 )
  • 小暮 敏明(社団法人全国社会保険協会連合会社会保険群馬中央総合病院 )
  • 小泉 桂一(富山大学和漢医薬学総合研究所 )
  • 折笠 秀樹(富山大学大学院医学薬学研究部(医学))
  • 日高 隆雄( 富山大学大学院医学薬学研究部(医学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
45,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化社会に伴う高騰する医療費の削減や、感染症の罹患率低減、さらには近年のがん研究の進展を背景としてがんの発症抑制を目的としたワクチン療法をより効果的に施行するためにも、本邦においても安全かつ効果的なワクチンアジュバントが強く求められている。そこで本研究では、漢方薬の免疫賦活化作用を応用することで、現在医療現場で接種可能なワクチンを用いて、併用した際にそのワクチンの効果を増強する漢方薬を網羅的に探索する基礎研究を行うと共に、その有用性を臨床研究により評価する。
研究方法
1. 臨床研究①(高齢者およびリウマチ患者のインフルエンザワクチンに対する漢方薬のアジュバント応用に向けた予備的検討)
2. 臨床研究②(子宮頸がんワクチン対する漢方薬のアジュバント応用に向けた予備的検討)
3. 基礎研究(ワクチンアジュバント効果を有する漢方薬のその機序解析)
結果と考察
十全大補湯は、抗体価の低い高齢者のインフルエンザワクチン接種後の抗体価上昇に好影響を及ぼしている可能性が示唆された。さらに、漢方薬を投与されたリウマチ患者におけるインフルエンザワクチン接種後の免疫応答の経過観察を行った結果、臨床的に有意なSeroconversionを認め、インフルエンザワクチン免疫応答にPositiveに作用する可能性が示唆された。また、子宮頸がんワクチンに関しては、十全大補湯の併用試験を実施中である。一方で、漢方薬のアジュバント効果機序の詳細も同時に解析が進んでおり、将来的に種々ワクチンと漢方薬の併用療法構築の際における有用な情報を提供できる準備が整いつつある。
結論
平成22年度の本事業において数十種類の漢方薬に対して検討を行った結果、強いワクチンアジュバント効果を有する十全大補湯、および補中益気湯の選択に基礎研究で成功した。本年度は、高齢者に対するインフルエンザワクチンに対する漢方薬のアジュバント効果に関する予備試験も終了し、無作為化比較臨床研究も実施中であり、基礎研究から橋渡しされた臨床研究も当初計画通り遂行している。さらに、臨床研究②、および③も実施中であり、本班全体の進行も予定通りである。なお、漢方薬のアジュバント効果機序の詳細も同時に解析が進んでおり、将来的に種々ワクチンと漢方薬の併用療法構築の際における有用な情報を提供できる準備が整いつつある。最終年度は、この臨床研究の速やかな解析と本班の研究結果に対する総括を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-07-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201114038Z