HLAミスマッチ造血細胞移植後の新規キメリズム解析法による臨床診断の有用性に関するエビデンス創出

文献情報

文献番号
201114027A
報告書区分
総括
研究課題名
HLAミスマッチ造血細胞移植後の新規キメリズム解析法による臨床診断の有用性に関するエビデンス創出
課題番号
H21-臨床研究・一般-020
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中内 啓光(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 信和(東京大学 医科学研究所)
  • 高橋 聡(東京大学 医科学研究所)
  • 田野崎 隆二(国立がんセンター 中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
54,974,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 我が国における造血細胞移植の安全性の向上をめざし、全国の移植施設との共同研究を通じて、キメリズム解析/HLA-Flow法がHLAミスマッチ移植の臨床検査として有用であるというエビデンスを確立する。また、本法で使用するアリル特異的抗HLA抗体(ASHmAb)を新たに作製する。それにより、HLA-Flow法を我が国におけるHLAミスマッチ移植の標準的検査法として定着させることが、本研究の最終目的である。
研究方法
 中内はHLAトランスジェニックマウスを異なるHLAテトラマーで免疫して、ASHmAbを産生するハイブリドーマの樹立を試みた。渡辺は岡山大学と広島大学における生体肝移植、および原発性免疫不全症と成人T細胞白血病の研究班における臍帯血移植(CBT)について、HLA-Flow法により病態を解析した。済生会前橋病院と虎の門病院において、HLA-Flow法の導入を支援した。
結果と考察
 中内は我が国で最も頻度の高いHLA-A24に対する新規IgG型抗体を作製した。健常人血を混合した人工キメリズム検体の解析で、これらの抗体は極めて良好な染色性を示した。渡辺はSCID患児に対するCBT後のキメリズムを解析したが、T細胞はドナー由来、骨髄系細胞はレシピエント由来となる症例があった。レシピエントにT細胞が存在しないことが原因と考えられた。ATLに対するCBTでは、移植後早期の生着動態と残存ATL細胞の同時モニタリングが可能であった。広島大学における生体肝移植後のNK細胞療法では、有意な頻度のドナー由来NK細胞が移植後の末梢血に検出される症例があった。済生会前橋病院と虎の門病院では、担当の臨床検査技師を配置してHLA-Flow法の導入を進めた。
結論
 新たに作製した抗HLA-A24抗体はキメリズム解析に極めて有効であることが判明したが、それ以外のASHmAbの作製はできなかった。一方、岡山と広島における生体肝移植の共同研究、厚労省の2つの研究班への参加など、HLA-Flow法の臨床研究は全国規模での広がりをみせている。また、HLA-Flow法の有用性は移植医の間で認識され、新たに2つの病院で導入が進められている。すなわち、ASHmAbの作製は不十分であったが、作製法の改善に関して多くの示唆を得た。HLA-Flow法の臨床検査としての有用性に関しては、全国規模での共同研究により十分なエビデンスが得られた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201114027B
報告書区分
総合
研究課題名
HLAミスマッチ造血細胞移植後の新規キメリズム解析法による臨床診断の有用性に関するエビデンス創出
課題番号
H21-臨床研究・一般-020
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中内 啓光(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 信和(東京大学 医科学研究所)
  • 高橋 聡(東京大学 医科学研究所)
  • 田野崎 隆二(国立がんセンター 中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 我が国における造血細胞移植の安全性の向上をめざし、全国の移植施設との共同研究を通じて、キメリズム解析/HLA-Flow法がHLAミスマッチ移植の臨床検査として有用であるというエビデンスを確立する。また、本法で使用するアリル特異的抗HLA抗体(ASHmAb)を新たに作製する。それにより、HLA-Flow法を我が国におけるHLAミスマッチ移植の標準的検査法として定着させることが、本研究の最終目的である。
研究方法
 HLAトランスジェニックマウスを異なるHLAテトラマーで免疫して、ASHmAbを産生するハイブリドーマの樹立を試みた。虎の門病院における臍帯血ミニ移植、岡山大学と広島大学における生体肝移植、原発性免疫不全症と成人T細胞白血病の研究班における臍帯血移植(CBT)について、HLA-Flow法により病態を解析した。札幌北楡病院と秋田大学に続き、済生会前橋病院と虎の門病院で同法の導入を支援した。
結果と考察
 HLA-A2、A24、B35、およびB62に対する新規抗体を作製した。抗体作製に失敗したHLAはすべてモノマーでの免疫だったので、テトラマーで免疫することが重要と考えられた。虎の門病院との共同研究でHLA-Flow法による臨床診断は高く評価され、同院への導入が決定した。SCID患児に対するCBTで、T細胞はドナー由来、骨髄系細胞はレシピエント由来となる症例があった。レシピエントにT細胞が存在しないことが原因と考えられた。ATLに対するCBTでは、生着動態と残存ATL細胞の同時モニタリングが可能であった。広島大学における生体肝移植後のNK細胞療法では、有意な頻度のドナー由来NK細胞が移植後の末梢血に検出される症例があった。
結論
 本研究で4種類のASHmAbが作製できたが、HLA-Flow法を臨床検査として定着させるためには抗体作製における問題点を解決して、さらに多くのASHmAbを作製する必要がある。一方、岡山と広島における生体肝移植の共同研究、厚労省の2つの研究班への参加、虎の門病院との共同研究などによりHLA-Flow法の有用性は移植医の間で認識され、医科研の他4か所の病院で導入された。すなわち、ASHmAbの作製は不十分であったが、作製法の改善に関して多くの示唆を得た。HLA-Flow法の臨床検査としての有用性に関しては、全国規模での共同研究により十分なエビデンスが得られた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201114027C

収支報告書

文献番号
201114027Z