自動追尾・照準捕捉を可能とする超高精度“HIFU超音波銃”の開発による、低侵襲・低コストの腫瘍性病変治療(子宮内胎児から小児・成人まで)

文献情報

文献番号
201111016A
報告書区分
総括
研究課題名
自動追尾・照準捕捉を可能とする超高精度“HIFU超音波銃”の開発による、低侵襲・低コストの腫瘍性病変治療(子宮内胎児から小児・成人まで)
課題番号
H22-低侵襲・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 敏雄(独立行政法人 国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 北角 権太郎(独立行政法人 国立成育医療研究センター 臨床研究センター )
  • 望月 剛(日立アロカメディカル株式会社 東京事業所)
  • 土肥 健純(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  • 梅村 晋一郎(東北大学 医工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,“HIFU超音波銃”,すなわち,画期的な集束超音波(High-Intensity Focused Ultrasound)の画像誘導・照射治療装置を統合したシステムの開発を目指す.本技術は,生体内の深在血管(腫瘍組織への栄養血行あるいは生体組織・臓器に障害をきたしうる異常血行等)を非接触性に,体表からの短時間・深部HIFU照射にて超高精度に凝固閉塞・遮断するものである.
研究方法
本システムは,①128ch電子アレイ型のトランスデューサ,②3Dエコーデータ高速転送(3D音波診断装置から患部周辺の3Dボリュームデータを高速・確実に照射位置追尾用のワークステーションへと送るアルゴリズム・プロトコルの作成),③HIFU照射の制御装置(FPGAによる専用基板・電源装置),④照射位置追尾用ソフトウェア(受け取ったボリュームデータから患部(HIFU照射により焼灼すべき血管)の位置を特定し,リアルタイムに追尾するソフトウェア),⑤ロボットアーム(焦点位置の粗調整用)の5つの基盤技術で構成した.
結果と考察
H23年度には,①ではアレイ型トランスデューサを用いて,高強度超音波照射により発生させたキャビテーション・クラウドの超音波加熱増強効果の検証を進めた.②では,超音波データの撮り始めから0.3秒以内のタイムラグで,統合用ソフトウェアが稼働するワークステーションへの転送と画像表示を実現した.③では,128ch用に拡張した制御装置を試作し,動物実験可能なHIFU照射性能を持つことを確認した.④では,一元的に各要素技術を統合可能なユーザインタフェ―スの開発を進めた.⑤では,初年度に試作した位置決め用ロボットアームを改良し,機械的性能評価を行った.本システムを用いて行った動物実験では,ラットの大腿動静脈に対してHIFU照射にかかる最適なパラメータの検討を進め,浅部血管の凝固・閉塞に成功した.
結論
以上のように,H23年度には各要素技術を集約し制御できるように,一つの統合ソフトからの相互通信を可能とした.また,動物実験ではラット大腿動静脈の凝固・閉塞に最適な照射パラメータの検討を進めた.最終年度には総合的な動作試験・性能評価を行ないながら,動物実験(ウサギやブタなど)の結果をフィードバックしつつ,改善を進め,一つのHIFU治療ナビゲーションシステムとしての完成を目指す.

公開日・更新日

公開日
2012-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201111016Z