慢性心不全の予後を改善するための非侵襲で安全・安心な無痛性ICDの実用化臨床試験

文献情報

文献番号
201111002A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性心不全の予後を改善するための非侵襲で安全・安心な無痛性ICDの実用化臨床試験
課題番号
H20-活動・指定-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
砂川 賢二(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 戸高 浩司(九州大学病院 循環器内科)
  • 富永 隆治(九州大学大学院医学研究院 循環器外科)
  • 杉町 勝(国立循環器病研究センター研究所 循環動態制御部)
  • 稲垣 正司(国立循環器病研究センター研究所 循環動態制御部)
  • 鎌倉 史郎(国立循環器病研究センター 内科心臓部門)
  • 久田 俊明(東京大学新領域創成科学研究科)
  • 吉澤 誠(東北大学サイバーサイエンスセンター 先端情報技術研究部)
  • 清水 一夫(オリンパス株式会社研究開発センター医療技術開発本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
206,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者の増加にともない予後不良(5年生存率<50%)の慢性心不全が世界的に激増し、新規治療の開発は急務である。近年、植込型除細動装置(ICD)に薬物を超える慢性心不全の予後改善効果があり、その臨床応用に大きな期待が寄せられている。我々はこれまで生体制御系に介入することで難治性循環器疾患を克服する治療機器の開発を行ってきた。本研究では、我々の従来の研究成果に基づき、現行のICDの限界を克服する高度付加機能を有した安全安心な無痛性ICD(超ICD)を開発し、実用化に向けた臨床試験を行うことを目的とする。
研究方法
現行ICDは致死的不整脈の発生を抑制する機能はない。実際に発生した場合には意識消失は不可避であり、適応患者は自動車の運転などの日常生活においても大きな支障がでる。さらに、誤動作の確率が低くなく、覚醒下で大電力除細動を行うため、耐え難い苦痛に苛まれ、QOLは極端に悪い。本研究では、これらの従来のICDの限界を克服するため、自律神経の電子的な制御による心室細動の抑制、致死的不整脈の診断制度と診断速度の向上による意識消失の回避、さらに除細動電力の劇的な低減による無痛性除細動を実現する。
結果と考察
自律神経の緊張を制御できる神経刺激装置を慢性心不全動物に植え込むことにより、予後が劇的に改善することが明らかになった。致死的不整脈の診断制度と速度を改善するために、複数の生体情報を同時に収集することにより、正確かつ即時診断が可能になった。さらに心臓の高精度数値モデルを用いた数値解析を駆使することにより、従来よりも1/10の電力で除細動することができる電極形態、配置、電流波形が明らかになった。これらの機能を一体化させたシステムのプロトタイプを試作し、その機能を確認した。臨床応用を前提に低侵襲植え込み技術の開発を進めた。その結果、従来のICDを遙かに凌駕する、超ICDの実用化が現実に近づいた。これらの成果により先端医療開発特区(スーパー特区)(代表者:砂川賢二)(平成20-24年度)に採択された。実用化にむけた植え込み手技や必要な専用器具を開発した。その結果、低侵襲の植え込みが可能になった。
結論
現行ICDの多くの限界を克服する次世代の低侵襲で無痛性の超ICDの試作ができ、その機能が確認された。

公開日・更新日

公開日
2012-06-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201111002Z