漢方薬によるメタボリック症候群の病態基盤「自然炎症」の制御

文献情報

文献番号
201110030A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬によるメタボリック症候群の病態基盤「自然炎症」の制御
課題番号
H23-創薬総合・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
丸山 征郎(国立大学法人 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 隆史(国立大学法人 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 川原 幸一(大阪工業大学 工学部)
  • 橋口 照人(国立大学法人 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 大山 陽子(国立大学法人 鹿児島大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 谿 忠人(大阪大谷大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリック症候群(以下メタボ)と高齢者の増加は本邦の最大の医療問題である。この両者を考える上で重要な視点は、【加齢】で【メタボ】が増加し、逆に【メタボ】が【老化】を促進するという悪循環の関係にあるという点である。そして両者の根底には“くすぶり型炎症(自然炎症)”が介在している。すなわちメタボが炎症を介して臓器の老化と機能廃絶が促進されるのである。この自然炎症に関しては現時点では有効な制御法はない。一方、我々はこのくすぶり型炎症に核内DNA結合蛋白 HMGB1 が重要な役割を果たしていることを明らかした。そしてさらに漢方薬の中に HMGB1 の細胞外遊離を抑制し、抗炎症に働くものがあること、また甘草中のグリチルリチンが直接 HMGB1 と結合し、その炎症活性を阻害することも報告された。ここに自然炎症を生薬で介入しうる可能性がでてきたことになる。本研究ではこの可能性を分子細胞から個体レベルで検証し、漢方薬による自然炎症性制御法を確立することである。
研究方法
1.培養マクロファージ、ラット尿細管上皮細胞をDAMPs(Damage Associated Molecular Patters)の一種であるアデニン結晶(2,8-DHA) で刺激してMCP-1 の放出を確認し、これに対する五苓散の抑制効果を検討した。
2.2,8- DHA を混ぜた食餌をラットに与えて実験的腎不全ラットを作製し、これに五苓散を与え、その効果を病理、血中・尿中サイトカイン値(HMGB1 を含む)の面から解析した。
結果と考察
1.DAMPs刺激でマクロファージ系細胞からはMCP-1, TNF ,HMGB1が産生放出されたが、これを五苓散は抑制した。この効果は五苓散で最も顕著で、構成生薬成分:桂皮、猪苓にも効果が確認されたが、茯苓、澤瀉には効果は観られなかった。

2.2,8-AD で腎不全が惹起された。この実験的腎炎ラットでは血中の活性酸素が有意に上昇したが、五苓散投与で、活性酸素の上昇は抑制された。明瞭な腎組織改善は観察しえなかった。
結論
実験的腎炎ラットに関して、五苓散は血中炎症サイトカインレベルでは抗炎症的に作用するものと考えられる。次に病理組織学的レベルで検証する。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,840,000円
(2)補助金確定額
8,840,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,237,115円
人件費・謝金 0円
旅費 482,120円
その他 80,765円
間接経費 2,040,000円
合計 8,840,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-05-23
更新日
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