高脂肪食による非侵襲性マイクロミニピッグ脳梗塞・心筋梗塞モデルの開発

文献情報

文献番号
201110027A
報告書区分
総括
研究課題名
高脂肪食による非侵襲性マイクロミニピッグ脳梗塞・心筋梗塞モデルの開発
課題番号
H23-創薬総合・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
谷本 昭英(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 分子細胞病理学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 篤(鹿児島大学 共同獣医学部獣医学科 獣医薬理学)
  • 三浦 直樹(鹿児島大学 共同獣医学部獣医学科・獣医臨床画像診断学)
  • 川口 博明(鹿児島大学 共同獣医学部獣医学科・実験動物学)
  • 泉 康雄(大阪市立大学 大学院医学研究科 循環薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本人の死因は循環器系疾患が第2位であり、その主因である動脈硬化の病態を解明し、治療法・予防法を開発するための動物モデル開発は不可欠である。従来の動脈硬化モデル動物はヒトとの類似点が乏しく、動脈硬化を来しにくい動物であるり、ヒトに類似した動物モデルの開発が求められている。最近作出されたばかりの世界最小・超小型マイクロミニピッグ(MMP: Microminipig)に3ヶ月間高脂肪・コレステロール食を給餌することで、持続的高コレステロール血症を誘発し、MMP動脈硬化症モデル作出に成功した。MMPのサイズはビーグル犬程度であり、一般のミニブタに比べ、実験のランニング・コストが安価で、温厚な性格より取扱が容易である。MMPを用いて、未だ報告のない非侵襲性脳・心筋梗塞モデルの確立を目指す。
研究方法
 飼料中のコレステロール、脂肪、コール酸の最少必要量を明らかにするために、特殊飼料のコレステロール、脂肪、コール酸の添加量を調整し給餌する。経時的に血液検査などの臨床検査を行い、解剖後に動脈硬化病変を病理学的に検索する。薬理学的評価は、摘出した血管よりリング標本で血管作動性物質に対する反応性を対照群と比較する。動脈硬化病変における酸化損傷の評価は、動脈硬化病変で抗8-oxo-dG抗体などを用いた免疫組織化学により評価する。
結果と考察
1)8週間の低濃度コレステロール(0.2%)食負荷(コール酸を含まない)で、高脂血症を再現し、血中の低比重コレステロールは約150mg/dLに達した。2)全身動脈にヒトと同様の粥状動脈硬化病変が見られ、大動脈においては病変の程度がコレステロール濃度依存性に増加した。3)肝のコレステロール代謝関連遺伝子(LDL受容体、HMG-CoA還元酵素など)の発現および負荷食に対する反応は、ヒトとほぼ同様であった。4)肝でのapoB editing酵素の発現は見られない。5)Hepatic lipase 活性は90%以上が肝内に見られた。6)8週間の実験で、心筋梗塞、脳梗塞の発症はなかった。7)大網重量の増加が見られ、内臓脂肪型の肥満を呈した。
結論
 MMPの脂質代謝はヒトに非常に類似しており、高脂肪・高コレステロール食に対する病態もヒトと同様の挙動を示すことが検証された。とくに、FMPがヒトと同様の高LDL動物であることの根拠を証明し得た。
 動脈硬化病変における酸化ストレス損傷の評価は、当継続申請書作製時には、未だ検討中であり、報告は次年度になる予定である。血管リング標本を用いたex vivoの薬理学的実験については、今年度は実施できなかった。

公開日・更新日

公開日
2012-07-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110027Z