後天的心疾患・不整脈解析モデルとしてのエピジェネティック変異

文献情報

文献番号
201110026A
報告書区分
総括
研究課題名
後天的心疾患・不整脈解析モデルとしてのエピジェネティック変異
課題番号
H23-創薬総合・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 純(東京大学 分子細胞生物学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 塚原 由布子(東京大学 分子細胞生物学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はヒト心不全患者の心生検からの遺伝子プロファイルから不整脈、心肥大を引き起こす可能性のあるエピジェネティック因子に着目し、成体でその遺伝子破壊マウスまたは遺伝子過剰発現マウスを作製することで、心臓生理異常や遺伝子発現変化をプロファイル化しヒト心不全発症原因の解明につなげるアプローチ行なうことである。本研究終了までには広く研究者、基礎臨床に提供出来るようヒト心疾患発症を引き起こすエピジェネティック因子の単離を目指すことを目的とする。
研究方法
1:心肥大モデルとしてのSmarcd3過剰発現マウス(Smarcd3-TGマウス)
2:不整脈モデルとしてのクロマチン構造変換因子Brg1の原因解明
3:ストレス負荷時における5種類のクロマチン関連因子群変異マウス
4:ヒト心筋症・不整脈原因遺伝子の探索へのアプローチ
5:症例のプロファイル化
結果と考察
クロマチン因子の恒常的発現研究:心筋の過剰増殖が見受けられ、MI(心筋梗塞)マウスでも問題無く機能していることが示された(東京医科歯科大古川哲史教授との共同研究)。
クロマチン因子の後天的遺伝子発現阻害研究:先天的心疾患発症にはクロマチン因子の発現レベルが重要である(Takeuchi.,2011)ことから、後天的心疾患・心不全発症の際におけるクロマチン因子の遺伝子破壊マウスを作成中である。
クロマチン関連因子の遺伝子破壊マウス作製:現時点で、Snf2h, Dnmt1, Dnmt3a/b, Ring1a/b, ARIP4遺伝子破壊マウスを得ている。全てホモで胎性致死であるが、それぞれ特徴のある異常な表現型を呈していた。TAC(心負荷)マウスを作製し術後早期にレスポンスする遺伝子プロファイルを作製していたところ、Dnmt1遺伝子、Ring1遺伝子は顕著に発現量が亢進する結果を得ているので、Dnmt1とRing1共に心肥大シグナル亢進因子である可能性が考えられる。逆にDnmt3aの発現は減少することから、心不全抑制因子であると考えられる。
ARIP4遺伝子破壊マウスは心筋緻密化障害が観察され、ヒトnon-compaction表現型と非常に酷似する結果を得た。ARIPは男性ホルモン調節因子でもあることから、今後集中的に研究していく必要がある。ヒト責任遺伝子の可能性を調べている。
結論
本研究は、マウスモデルとヒト疾患においてエピジェネティック因子であるDNA メチル化因子群の機能を明らかにすることによって、心疾患発症における感受性領域と制御因子を同定することにある。これらのことが明らかになれば、心不全回復アプローチへの手助けとなり得る。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,360,000円
(2)補助金確定額
9,360,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,833,700円
人件費・謝金 366,300円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 2,160,000円
合計 9,360,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
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