文献情報
文献番号
201110015A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬スクリーニングによる新規パーキンソン病治療成分の同定・その作用機序解明
課題番号
H22-創薬総合・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
服部 信孝(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 佐藤栄人(順天堂大学 医学部)
- 斉木臣二(順天堂大学 医学部)
- 井本正哉(慶應義塾大学 理工学部)
- 田代 悦(慶應義塾大学 理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,470,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
漢方薬スクリーニングにてヒットした大黄甘草湯・調胃承気湯に含まれる甘草の活性成分同定・結合蛋白同定・構造解析を進め、更にPDマウスモデルでの甘草単体・活性成分の薬効を証明することを目的とする。
研究方法
詳細は各分担研究者の項に譲るがin vitro系にて、活性成分の検索を、in vivo系にてPDモデルマウスにおける大黄甘草湯・調胃承気湯、及び甘草の薬効を評価した。
1.MPP+添加分化型PC12D細胞による細胞死抑制効果を指標とした大黄と甘草の比率と細胞死抑制効果の評価: 神経毒rotenoneおよびMPP+を添加したPC12D細胞の細胞死をoutputとし、大黄と甘草の比率と細胞死抑制効果を連続的に評価した。
2.MPP+添加分化型PC12D細胞による細胞死抑制効果を指標とした甘草中有効活性成分の抽出: 1.同様のモデル細胞にて、甘草の有効活性成分抽出を10gの甘草から行った。
3. MPTP投与型PDモデルマウスでの漢方薬の薬効評価: C57BL/6Jマウスに、大黄甘草湯、調胃承気湯、甘草単体を0.2、0.5、1 g/kgの濃度で第1-7日目まで連続経口投与し、第8日目にMPTPを腹腔内投与し、第9、10、11、15日目に自発運動機能を評価した。
1.MPP+添加分化型PC12D細胞による細胞死抑制効果を指標とした大黄と甘草の比率と細胞死抑制効果の評価: 神経毒rotenoneおよびMPP+を添加したPC12D細胞の細胞死をoutputとし、大黄と甘草の比率と細胞死抑制効果を連続的に評価した。
2.MPP+添加分化型PC12D細胞による細胞死抑制効果を指標とした甘草中有効活性成分の抽出: 1.同様のモデル細胞にて、甘草の有効活性成分抽出を10gの甘草から行った。
3. MPTP投与型PDモデルマウスでの漢方薬の薬効評価: C57BL/6Jマウスに、大黄甘草湯、調胃承気湯、甘草単体を0.2、0.5、1 g/kgの濃度で第1-7日目まで連続経口投与し、第8日目にMPTPを腹腔内投与し、第9、10、11、15日目に自発運動機能を評価した。
結果と考察
結果:
結果1: 大黄と甘草の比率を変更しながら細胞死抑制効果を評価したところ、甘草比率が高いほど、細胞死抑制効果が強いことを確認した。
結果2: 結果1から、甘草に最も強い有効活性成分が含まれていると判断し、活性成分の抽出を試みたところ、有効活性成分が同定された。
結果3: 大黄甘草湯0.5 g/kgにて著明な自発運動機能改善効果を確認できた。また甘草については十分な薬効を得られなかった。
考察:
ヒット漢方薬は、オートファジー経路では無く、アポトーシスを抑制することが確認され、さらに大黄甘草湯・調胃承気湯両方に含まれる、甘草に有効成分が含まれ、さらに同物質中の有効活性成分によって抗細胞死効果が認められることが明らかとなった。また有効成分についても現在構造決定を進めており、単一成分確定が近々実現する見込みである。
またin vivoでは大黄甘草湯では十分な薬効が認められるものの、甘草単体では効果が認められないことから、有効活性成分吸収には大黄成分が必要である可能性が示唆された。
結果1: 大黄と甘草の比率を変更しながら細胞死抑制効果を評価したところ、甘草比率が高いほど、細胞死抑制効果が強いことを確認した。
結果2: 結果1から、甘草に最も強い有効活性成分が含まれていると判断し、活性成分の抽出を試みたところ、有効活性成分が同定された。
結果3: 大黄甘草湯0.5 g/kgにて著明な自発運動機能改善効果を確認できた。また甘草については十分な薬効を得られなかった。
考察:
ヒット漢方薬は、オートファジー経路では無く、アポトーシスを抑制することが確認され、さらに大黄甘草湯・調胃承気湯両方に含まれる、甘草に有効成分が含まれ、さらに同物質中の有効活性成分によって抗細胞死効果が認められることが明らかとなった。また有効成分についても現在構造決定を進めており、単一成分確定が近々実現する見込みである。
またin vivoでは大黄甘草湯では十分な薬効が認められるものの、甘草単体では効果が認められないことから、有効活性成分吸収には大黄成分が必要である可能性が示唆された。
結論
甘草中に含まれる有効活性成分2種は、パーキンソン病モデル細胞での細胞死を抑制する。また大黄甘草湯の0.5 g/kg投与にて、パーキンソン病モデルマウスの症状が大きく改善される。
公開日・更新日
公開日
2012-07-02
更新日
-