文献情報
文献番号
                      201108012A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      宿主ゲノム多様性に対応する抗原発現ベクターを用いた治療エイズワクチン開発
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      H22-政策創薬・一般-004
                  研究年度
                      平成23(2011)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      俣野 哲朗(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 木村 彰方(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
- 朱 亜峰(ディナベック株式会社 ディナベック研究所)
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
                  研究開始年度
                      平成22(2010)年度
                  研究終了予定年度
                      平成24(2012)年度
                  研究費
                      27,039,000円
                  研究者交替、所属機関変更
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                  研究報告書(概要版)
研究目的
            抗HIV薬多剤併用療法の導入によりHIV感染者においてウイルス複製を制御することが可能となった。しかし、エイズ発症阻止には長期間の服薬継続が必要となるため、抗HIV薬による副作用や薬剤耐性株出現等が問題となる。したがって、HIV複製の抑制に重要な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を抗HIV薬治療中に誘導する治療エイズワクチンの開発は、日本を含む先進国でのHIV感染者治療の長期有効性を確立するための重要戦略である。我々はこれまで、優れたCTL誘導能を有するセンダイウイルス(SeV)ベクターを開発し、SeVベクターを用いた予防エイズワクチン国際共同臨床試験計画を進展中である。本研究は、このSeVベクターを治療エイズワクチンのデリバリーシステムとして応用するもので、エイズモデルにおける解析により、有効なCTL誘導に結びつく抗原選択のための論理基盤を確立することを目的とした。
      研究方法
            有効なCTLの標的候補としてGag・Vifを選択し、これらを発現するSeVベクターを用いた治療ワクチンの効果について、その抗原特異的CTL反応が元来ドミナントである個体とそうでない個体にて検証することとした。平成23年度は、SIV感染初期にGag・Vif特異的CTL反応が優位となるMHC-IハプロタイプW/S共有群と優位にならないE共有群とを使用し、感染後の抗HIV薬治療中にGag発現SeVおよびVif発現SeVベクターを治療ワクチンとして2回経鼻接種して、その効果を検討した。
      結果と考察
            E共有群では、治療ワクチン接種により、元々サブドミナントなGag・Vif特異的CTL反応が優位となった。W/S共有群では、元々ドミナントなGag・Vif特異的CTL反応が増強され、より優位となった。抗HIV薬治療中止後の解析では、治療ワクチン接種群でより強くSIV複製が抑制されていることを示す結果が得られた。一方、宿主多様性をふまえた動物モデル解析系の向上に向け、Mamu-A・Mamu-Bの多様性解析を継続した。
      結論
            本治療エイズワクチンにより、ドミナントCTL・サブドミナントCTLのいずれの誘導も効率よく行うことができた。本結果は本治療エイズワクチンの有効性を示すものとして重要である。今後もデータを蓄積し、治療ワクチンの有効性を検証し、その有効性の機序解明を進める予定である。
      公開日・更新日
公開日
          2012-07-02
        更新日
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