重症低ホスファターゼ症に対する骨髄移植併用同種間葉系幹細胞移植

文献情報

文献番号
201106014A
報告書区分
総括
研究課題名
重症低ホスファターゼ症に対する骨髄移植併用同種間葉系幹細胞移植
課題番号
H23-再生・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
竹谷 健(島根大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 清次(島根大学 医学部)
  • 福田 誠司(島根大学医学部)
  • 弓場 俊輔(産業技術総合研究所 健康工学研究部門)
  • 大串 始(産業技術総合研究所 健康工学研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
28,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
低ホスファターゼ症は組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)遺伝子変異によってALPが生まれつき働かないことで正常な骨形成が障害される常染色体優性遺伝性疾患である。特に、生後6か月以内に発症した場合、重篤な骨形成障害により、全身の骨が徐々に菲薄化・消失して、呼吸不全などで乳幼児期に死亡する。これまで、本疾患に対しては有効な治療法がない。今回、我々は、骨髄移植を行い、その後、骨をつくる骨芽細胞に分化する間葉系幹細胞を繰り返し移植することによって、致死的な重症低ホスファターゼ症の患者を救命して、QOLを改善することを目的とした。
研究方法
提供者の骨髄を採取して、患者に骨髄移植を行う。次に、採取された骨髄の一部を用いて培養・増殖した間葉系幹細胞を、患者に移植する。その後、症状および骨の状態などをみながら、間葉系幹細胞移植を繰り返し行う。また、間葉系幹細胞の自己複製能や生存などに関する研究も行う。
結果と考察
これまで、2症例に細胞治療を行い、呼吸症状の改善および骨の石灰化の改善が認められており、生命予後は改善している。しかし、ALPを含めた生化学検査は改善せず、正常人同等の骨の石灰化の改善までは到達していない。この疾患は致死的疾患で治療法が確立していないため、家族への十分な説明と同意を反復して行い、各専門分野からの指導を取り入れることで、当該臨床研究が適切に行うことができている。さらに、骨形成能、キメリズム解析、網羅的遺伝子発現、疾患モデルマウスの作製を行うことで、この治療の改善点、問題点が明らかとなり、より良い最治療法の確立に寄与している。
結論
これまでの結果から、患者の救命、QOLの向上、および研究費以上の医療費ならびに社会福祉費の削減に貢献できるとが示唆された。今後、基礎的研究を継続し、この治療を受ける症例数を蓄積することで、この疾患に対する根治療法が明らかになると思われる。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201106014Z