幹細胞による次世代の低侵襲軟骨再生治療の開発と臨床応用

文献情報

文献番号
201106012A
報告書区分
総括
研究課題名
幹細胞による次世代の低侵襲軟骨再生治療の開発と臨床応用
課題番号
H23-再生・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
関矢 一郎(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 宗田 大(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 )
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 )
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
  • 赤澤 智宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 )
  • 淺原 弘嗣(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 )
  • 齋藤 知行(横浜市立大学大学院医学研究科)
  • 中村 憲正(大阪保健医療大学保健医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
軟骨再生医療で、hanging drop法を用いて滑膜間葉系幹細胞から作成した多数の集合体を作成し、表面張力を用いて軟骨欠損部に接着させることにより、操作性が高く、細胞接着の効率を改善することが期待できる。本年度の計画は (1) ヒト滑膜間葉系幹細胞集合体の特性解析(2) 集合体の兎軟骨欠損部への移植実験を行うとともに、新規 (3)変異細胞評価(4)感染症検査を開発することである。さらなる発展を目指し(5)iPS細胞での検討も行なう。
研究方法
(1) 25万細胞を3日間培養し集合体を形成させ、その前後での遺伝子発現とin vitro軟骨分化能を解析した。(2)兎の大腿骨溝に軟骨欠損を作成し、細胞集合体を5、10、20、40、80個移植し、組織学的に評価した。(3)p16メチル化断片とDNA損傷修復応答に関して検討した。(4) 17種類のウィルスのプライマーを作成しPCR法により解析した。(5) Nanogプロモータ制御下にEGFP、ColIIプロモータ制御下にmCherryを発現するiPS細胞の樹立を目指した。
結果と考察
(1)ヒト滑膜間葉系幹細胞の単層培養時と比較して集合体では、軟骨分化関連遺伝子や抗炎症遺伝子の発現が上昇し、in vitro軟骨分化の評価で軟骨基質の産生が増加した。(2)10個の集合体を移植した群で、移植4、12週後に最も良好な軟骨の再生が得られた。(3) p16メチル化陽性細胞は0.1%でも検出できた。DNA損傷を加えたT細胞でAIDを検出できた。(4) 17種類のウイルスに対して1反応あたり50コピーの測定感度を持つPCR法を確立した。ヒト滑膜組織及び間葉系幹細胞31検体で、ウイルスがいずれも検出限界以下であることを確認した。(5) Nanogプロモータ制御下にEGFP、ColIIプロモータ制御下にmCherryを発現するベクターを開発し、 ATDC5細胞で確認した。

結論
(1)集合体にすることにより軟骨関連遺伝子発現等が増加した。(2) 兎軟骨欠損モデルで細胞集合体を低密度で移植した際に、最もよい軟骨修復が認められた。(3) p16メチル化断片とDNA損傷修復応答の解析手法を確立した。(4)17種類のウイルスを測定する検査系を作成した。31検体の滑膜組織・細胞では検出限界以下であった。(5) ATDC5細胞で軟骨分化に応じて緑から赤に変化するベクターを開発した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201106012Z