東日本大震災被災地域における感染症発生動向の実態把握及び感染症危機管理対応の検証に関する研究

文献情報

文献番号
201105010A
報告書区分
総括
研究課題名
東日本大震災被災地域における感染症発生動向の実態把握及び感染症危機管理対応の検証に関する研究
課題番号
H23-特別・指定-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
賀来 満夫(東北大学 大学院医学系研究科 内科病態学講座感染制御・検査診断学)
研究分担者(所属機関)
  • 飯沼 一宇(石巻赤十字病院)
  • 谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 櫻井 滋(岩手医科大学医学 部睡眠医療学科)
  • 押谷 仁(東北大学大学院医学系研究科 微生物学)
  • 國島 広之(東北大学大学院医学系研究科 感染症診療地域連携講座)
  • 金光 敬二(福島県立医科大学大学院医学系研究科 感染制御・臨床検査医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災により未曾有な被害を受けた東北地域において、感染症発生動向の実態を把握するとともに、被災直後よりの保健衛生の改善支援、感染症サーベイランス、感染症対策・感染症診療、外部支援、連携協力などに関して、実際に取り組まれた危機管理対応について検証・総括をおこなった。
研究方法
岩手県、宮城県、福島県の拠点病院・避難所において、実際に実践されたさまざまな感染症対応の検証及び、拠点病院における震災関連の感染症患者の発生動向の分析・検証を行い、さらに現場対応における問題点や課題を解析した。避難所を対象にした感染症サーベイランスシステムおよび病院外来受診者について評価検討を行った。避難所サーベイランスの支援について、サーベイランスから得られるデータについての解析評価における技術支援、担当者と全国レベルのサーベイランスから得られる情報や地域単位の状況について検討した。
結果と考察
東日本大震災において、病院のライフラインなど構造設備について、十分な耐震および免震の確保が重要と考えられるとともに、上下水道を含む十分な水の確保は感染症診療・対策ともに重要であった。災害時における感染症は、インフルエンザや感染性胃腸炎などの罹患者や、高齢者を中心とした呼吸器感染症の増加が一部みられたものの、被災者、医療従事者および保健福祉担当者の尽力により、対応が行われた。災害時においては通常のサーベイランスが機能しない状況に陥ることに対する初期のリスクアセスメント、緊急のサーベイランスや情報収集体制への準備を進めるとともに、それらのサーベイランス体制構築についての必要性を自治体にあらかじめ伝えておくことが必要である。また、Event-based Surveillanceと被災地の医療機関や救護所などを対象とした、拡大定点サーベイランス(Enhanced Surveillance)を併用することも考えられた。加えて、緊急時に避難施設における感染制御を目的とする、被災地調査班を迅速に出動させるしくみを構築することが望まれた。避難者への衛生面での注意喚起、医療チーム巡回による衛生面のチェックが重要であり、急な災害時に対応可能なマニュアル作りおよび地域の医療機関の連携体制を構築、災害時の情報共有が出来る体制の整備が重要であると考えられた。
結論
大規模災害にあたっては、日頃から地域における行政・医療機関・大学などの専門機関との連携が極めて重要であり、今後もより一層推進する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2012-07-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201105010C

収支報告書

文献番号
201105010Z