文献情報
文献番号
201102002A
報告書区分
総括
研究課題名
ICFを用いた慢性疾患病状推移統計システムの構築
課題番号
H22-統計・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤田 伸輔(千葉大学 医学部附属病院地域医療連携部)
研究分担者(所属機関)
- 江本 直也(日本医科大学 医学部)
- 横手 幸太郎(千葉大学 医学部)
- 篠宮 正樹(鹿児島医療センター)
- 大江和彦(東京大学 医学部)
- 高林 克日己(千葉大学 医学部附属病院)
- 中谷 純(東京医科歯科大学 医学部)
- 今井 健(東京大学 医学部)
- 諏訪 さゆり(千葉大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢者は複数疾患を合併していることが多く、また診療経過中に合併症を発生することも多い。このため多職種協働が必須であるが、病態を理解しやすくするためにICFによる病態表記を容易に行えるようにする。またこれによって日々の診療結果をEBMに活用できるようにする。
研究方法
現在の電子カルテの状況を調査し、EBMに活用する手法を検討した。診断によって症状が発現しやすい項目をICFで列挙し、電子カルテに容易に組み込めるうにした。診断体系としてICPC2を採用し、ICD10からICPC2への変換テーブルを用いて全疾患について対応できるようにした。ADLは疾患にかかわりなく加齢などにより低下することがあり、療養に大きな影響を及ぼすことから別テーブルにADL評価をまとめた。さらに患者・家族・医療者の人間関係はICFでは記載しにくいためSTASを用いた。研究内容をFDRG Mid Year Meeting、WHO-FICで発表し、識者の意見をもとに修正を加えた。
結果と考察
現在の電子カルテはそのままEBMに活用できる構造になっていなかった。即ちEBMとして活用する際に必要な評価項目にもれがあってもチェックすることができず、評価方法も統一されていない。ICFは原則として5段階評価であり、病名によって評価項目を決めることができれば診療結果を活用する手段を提供できると判断した。本研究では評価尺度を具体的に決定するには至らなかったが、今後共通の評価尺度が学会などで制定されることを期待する。
診療を診断プロセスと治療プロセスに分解したことで、診断に従って診療を規定する手法の可能性を示唆できた。ICD10での診断名によって観察項目を自動的にセットできるので、その和集合を作れば複数疾患を合併していても容易に診療テンプレートを作成できる。また治療法のガイドラインが示されている疾患ではそれを誘導することも可能である。
診療を診断プロセスと治療プロセスに分解したことで、診断に従って診療を規定する手法の可能性を示唆できた。ICD10での診断名によって観察項目を自動的にセットできるので、その和集合を作れば複数疾患を合併していても容易に診療テンプレートを作成できる。また治療法のガイドラインが示されている疾患ではそれを誘導することも可能である。
結論
診断によって観察項目を決定し、EBMに役立てるためのデータを収集する手法を提案し、多職種にとって病態を理解しやすいカルテづくりを可能とした。今後本研究成果を電子カルテに搭載されて安全で効率の良い診療が普及することを期待する。
公開日・更新日
公開日
2012-06-07
更新日
-