日本・シンガポール・台湾のDV防止と被害母子支援に関する比較法研究

文献情報

文献番号
201101047A
報告書区分
総括
研究課題名
日本・シンガポール・台湾のDV防止と被害母子支援に関する比較法研究
課題番号
H23-政策・若手-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
清末 愛砂(室蘭工業大学大学院工学研究科ひと文化系領域)
研究分担者(所属機関)
  • 福嶋 由里子(公益財団法人世界人権問題研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,118,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、日本よりも早い段階でDV対策に取り組み始めた台湾とシンガポールに在住する外国人配偶者とその子どもに対するDV被害者保護政策を調査し、それらの内容と日本における政策を比較検討した上で、日本における将来の政策に対し、改善策を提言することを目指すものである。
研究方法
 台湾とシンガポールのDV被害者保護政策、および外国人配偶者とその子どものための支援策に関する文献を収集し、先行研究の再検討を行った上で、現地で行政関係者や研究者、DV被害者支援活動を行っているNGO、移民女性の支援NGO、および女性の人権のための活動をしている女性団体のスタッフを対象に聞き取り調査を実施した。
結果と考察
 文献調査と聞き取り調査を通して、台湾とシンガポールにおけるDV被害者保護政策の内容と施行状況、課題、DVの被害状況(特に外国人配偶者に対するもの)、および外国人配偶者が直面している具体的な問題点に関して様々な情報を得ることができたとともに、DV支援関係者からこれらの施策に関する多角的な意見を収集することができた。
 DVに関する台湾法と日本法を比較すると、台湾の方が包括的な体制でDVの予防から被害母子の自立に向けた取組みを実施している。また、中央政府と地方が連携しながら、国際結婚家庭(特に新移民との結婚家庭)のための様々な生活支援を進めている。シンガポールにおけるDV対策は、日本法では導入されていないカウンセリング命令を取り入れる等、法制度は整っているものの、外国人配偶者に対する施策は台湾と比較するとそれほど進んでいない。しかしながら、最近は外国人配偶者の長期滞在を可能とする新しいビザ制度の導入を発表するなど、外国人配偶者の法的地位の安定化に向けた取り組みを開始している。
結論
 文献調査や聞き取り調査の結果、台湾とシンガポールにおけるDV被害者保護政策の内容とその施行状況、および外国人のDV被害者が直面している問題(言語問題、文化に対する無理解、ビザの更新問題、不安的な法的地位の問題等)が明らかとなった。外国人のDV被害者が置かれている状況は日本の状況と共通する点が多いことから、両地区における施策、特に台湾における国際結婚家庭のための生活支援とシンガポールの新しいビザの導入策は、日本における外国人DV被害者支援の充実化のための政策提言を検討する上で、大変有意義なものであると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2012-11-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101047Z