要介護高齢者の生活機能向上に資する医療・介護連携システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201101029A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護高齢者の生活機能向上に資する医療・介護連携システムの構築に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-026
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 備酒 伸彦(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部)
  • 篠田 道子(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 白瀬 由美香(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
  • 竹内 さをり(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 孔 相権(京都大学大学院 医学系研究科)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,393,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、医療・介護連携上の主要な3課題(課題1:退院時における医療・介護連携、課題2:認知症高齢者に対する医療・介護連携、課題3:終末期患者に対する医療・介護連携)別に、連携の実態とその阻害要因を調査分析した上で、制度面並びに報酬面からみた具体的な課題解決策を提言する事を目的とする。
研究方法
本研究における主な研究方法は以下の通りである。1.退院支援プロセス調査、2. 退院患者/認知症高齢者/終末期患者に対するケアマネジメント実態調査(サービス受給状況を含む)、3.自宅退院要介護者の生活機能予後調査、4.諸外国および国内における先行研究・先行事例の検証
結果と考察
課題1に関し、本年度は、リハビリテーション(以下、リハ)職と介護支援専門員の協働マネジメント(介入群)の効果評価ならびに退院時ケアカンファレンス(以下、退院時CC)の実態調査を実施した。前者では、退院1週間後と3ヶ月後の2時点の日常生活活動(以下、ADL)及びケアプラン内容の変化を、通常のケアマネジメントを受けた群(対照群)と比較し、介入群では対照群に比べ、①ADL得点や歩行の自立度、うつ得点が有意に改善していた、②介護サービスの受給状況に有意差はないが、内容別にみたリハ実施率は有意に増加していたなどを明らかにした。また後者では、①退院時CCでは病院側の発言に多くの時間が割かれ、かつ、特定の職種に発言が偏っていた、②会議の中で疑問に思った事を発言したり、多様な対応策を提案したりすることに対するリハ職の自己評価が低いなどの実態を明らかにした。課題2に関しては、ケアプラン内容やADL等を調査し、①ケアプランは訪問介護や通所介護などの福祉系サービスが中心で、リハサービスはほとんど導入されていない、②認知症高齢者の場合、ADLやIADLの各行為を行っていない率が高く、また、近隣との関わりもほとんどないなどの実態を明らかにした。課題3に関しては、特に非がん患者の場合、状態変化を介護支援専門員がイメージできていないため、訪問看護導入が不十分となっているなどを明らかにした。リハ/看護職が、症状・病状やADLの予後評価ならびに本人・家族への療養指導といった側面から介護支援専門員を支援する仕組みの導入が必要と考えた。
結論
ADLや症状・病状の予後をイメージした上で、生活上の課題を認識し、現時点でとるべき対策を検討するような多職種協働マネジメントプロセスを介護支援専門員の業務標準とすることが、退院時/認知症高齢者/終末期患者に対するケアマネジメントの質向上を図る上で重要である。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101029Z