安全・安心な在宅医療を行うための病院と在宅との中間施設における看護の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201101018A
報告書区分
総括
研究課題名
安全・安心な在宅医療を行うための病院と在宅との中間施設における看護の在り方に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鶴田 惠子(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川村 佐和子(聖隷クリストファー大学大学院)
  • 筧 淳夫(工学院大学建築学部建築デザイン学科)
  • 原口 道子(東京都神経科学総合研究所)
  • 酒井 美絵子(群馬パース大学保健科学部看護学科)
  • 田口 実里(日本赤十字看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療依存度が高いまま急性期病院を退院する療養者と家族が、在宅での医療処置を安全に安心して実施することができるための指導・訓練施設の構築と看護のあり方を検討することを目的とする。
研究方法
「指導・訓練施設の既存施設の利用可能性の検討」の対象は、長期療養型施設4施設を対象とし、施設見学および看護責任者へ半構成的面接調査を実施した。「病院と在宅をつなぐ看護のあり方についての検討」では、平成22・23年度の調査結果を元にディスカッションを行った。「「療養支援パス」の開発」では、試案の作成・検討をおこなった。
結果と考察
1.指導・訓練施設の既存施設の利用可能性の検討
療養通所介護事業所では、「泊り」サービスが現在制度上の裏付けを持っていないこと、介護療養型老人保健施設及び介護老人保健施設は、医療保険が入所のままでは使えず療養者の持ち込みまたは施設からの持ち出しとなっていた。実際に、指導・訓練を展開する上では、人材数に加え、指導・訓練の実施が可能な看護職の育成、医療保険の適応など医療費の負担にかかる費用の確保など、施設空間および人的資源の活用が十分になされていることが必要と考える。
2.病院と在宅をつなぐ看護のあり方についての検討
中間施設の看護のあり方としては、医療を行う場としての24時間対応できる看護師の配置、医療機器の設定や療養者の身体変化に対応できるような医師・看護師の配置もしくはすぐに対応可能な医師の確保・連携体制整備をとる必要がある。
3.「療養支援パス」の開発
 「入院安定期~退院前」「中間施設」「在宅(訪問看護)」の流れで横軸とし、それぞれの施設・看護のアウトカムを設定し、それを達成するための「看護アウトカム」「看護介入」「看護指導」と「社会資源」を縦軸に設定して、どこの場所でもどの程度できているか具体的に共有できる1枚のチェックリスト形式で作成した。
結論
医療依存度の高い療養者を安全・安心に病院から在宅に移行していくためには、中間施設としては入所型と通所型の2パターンが想定され、既存の施設を活用するためには標準化した看護実践を示す療養支援パスの活用は有効と考えられる。また、中間施設が医療依存度の高い療養者を受け入れるためには、医療体制・看護体制の整備や医療機器の管理や設備面について医療保険の制約についても検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-12-03
更新日
-

文献情報

文献番号
201101018B
報告書区分
総合
研究課題名
安全・安心な在宅医療を行うための病院と在宅との中間施設における看護の在り方に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鶴田 惠子(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 美絵子(群馬パース大学 保健科学部)
  • 川村 佐和子(聖隷クリストファー大学大学院)
  • 筧 淳夫(工学院大学)
  • 原口 道子(東京都医学総合研究所)
  • 田口 実里(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療依存度が高いまま急性期病院を退院する療養者と家族が、在宅での医療処置を安全に安心して実施することができるための指導・訓練施設の構築と看護のあり方を検討することを目的とする。
研究方法
平成22年度は、急性期病院の退院患者の実態調査、病院での退院指導の実際、在宅で医療機器を使用している療養者・家族の困難調査、指導・訓練の場の検討を行った。平成23年度は、指導・訓練施設の既存施設の利用可能性の検討と、病院と在宅をつなぐ看護のあり方の検討を行った。「「療養支援パス」の開発」では、試案の作成・検討を行った。
結果と考察
1.急性期病院の退院時の患者の状況に関する調査
退院後も医療措置を必要とする患者は高齢者が多く、機器操作ができず再入院となるケースがあった。
2.急性期病院の退院指導の実際と医療依存度の高い在宅療養者の療養困難調査
 退院支援では指導内容の工夫、訪問看護師と連携し確実に地域につなぐ工夫を行っていたが、家族は機器操作の困難や責任の重さに対する恐怖を抱えており、不安を最小限とする精神面も含めたケアが必要であることがわかった。
3.指導・訓練施設の既存施設の利用可能性の検討
療養通所介護事業所では、「泊り」サービスが現在制度上の裏付けを持っていないこと、介護老人保健施設等は医療保険が入所のままでは使えず療養者の持ち込みまたは施設からの持ち出しとなっていた。
4.病院と在宅をつなぐ看護のあり方についての検討
医療を行う場としての24時間対応できる看護師の配置、医療機器の設定や療養者の身体変化に対応できるような医師・看護師の配置もしくはすぐに対応可能な医師の確保・連携体制整備をとる必要がある。
5.「療養支援パス」の開発
 切れ目のない指導の実施のために、それぞれの施設・看護のアウトカムを設定し、それを達成するために具体的に共有できる1枚のチェックリスト形式で作成した。
結論
医療依存度の高い療養者を安全・安心に病院から在宅に移行していくためには、中間施設として入所型と通所型の2パターンが想定され、既存の施設を活用するためには標準化した看護実践を示す療養支援パスの活用が有効と考えられる。また、中間施設がこのような療養者を受け入れるためには、医療・看護体制の整備や医療機器の管理や設備面について医療保険の制約についても検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-12-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2017-09-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201101018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療依存度が高いまま急性期病院を退院する療養者と家族が、在宅での医療処置を安全に安心して実施できるための指導・訓練施設の構築と看護のあり方を検討することを目的として、実態調査および指導・訓練の場の検討を行った。その結果、医療依存度が高いまま退院していく患者には高齢者が多く、急性期病院での退院指導の限界があることから、中間施設の必要性が示唆された。また、療養の場は入所と通所が考えられ、いずれも医療対応ができる体制整備が必要であることが示唆された。
臨床的観点からの成果
病院・中間施設・在宅と療養の場の変更があっても、療養者の心身の状況、家族の理解状況に合った指導の継続ができるよう、療養支援パスの開発を行った。これを作ることで、病院がすべての指導を行わずとも、次の療養の場が残りの指導部分を療養者の状況や最終的な療養の場に合わせて指導を行うことができるとともに、指導する看護師もパスに沿って進めることで患者指導に抜けがなく、施設が変わっても指導内容の質を保つことができる。
ガイドライン等の開発
慢性閉塞性肺疾患患者の療養を支援する中間施設を活用した「療養支援パス」の開発をおこなった。急性期医療機関での退院指導と在宅療養者の困難を解決できる枠組みとして、「入院安定期~退院前」「中間施設」「在宅」の流れを作り、アウトカムを設定した。パスの内容としては「看護介入」「看護指導」「社会資源」を軸として作成した。作成したものを研究班でディスカッションし、実用可能なものへ洗練化し、完成させた。
その他行政的観点からの成果
病院から退院した患者の療養先(中間施設)を充実させることは、病院からの早期の退院を可能にして急性期化を促進させることから、病院の機能分化に寄与するものと考えられる。さらに、中間施設の看護体制の充実により、医療機器設定等の療養継続のための教育訓練入院等対象療養者も受け入れることが可能となる可能性もある。これらより、国が進めている在宅医療の推進にも寄与すると考えられる。
その他のインパクト
療養支援パスについて学会発表した際に病院看護部長より、パスを使用して地域につなげていきたいとの反応があった。また、介護老人保健施設からは、このようなパスがあると急性期病院と連携できることや看護職の技術力強化に活用できるというご意見もいただいている。パスというツールを用いることで、療養者が自身の目標を明確にできるだけでなく、医療者も共通のゴールを見ることができ、療養者の受け入れがスムーズになると考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
連携支援パスを用いた病院と施設の連携実施をめざし、本研究成果をもとにワークショップを開催する

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101018Z