国際的な労働力移動自由化時代における歯科医師養成制度のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201101008A
報告書区分
総括
研究課題名
国際的な労働力移動自由化時代における歯科医師養成制度のあり方に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鶴田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森尾 郁子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際的な労働力の移動が活発となり、熟練労働者として、歯科医療関係者、歯科医師の移動が、国境を越えて生じること予測される。医療職は、国ごとの免許登録であるため、国境を越えての労働を行うためには、免許内容の認証、労働許可条件の認証が必要となる。本研究では、特に歯科医師の国際的移動についての各国の現状を分析するために、その養成課程の内容をふまえた情報収集、調査を行い、平成23年度については、ASEAN加盟国を中心に調査した。
研究方法
ASEAN地域では、ASEAN共同体2015年成立という具体的目標に沿い、AECブループリントが用意され、2009年には歯科医師に関する相互承認枠組み協定(MRA)(ASEAN Mutual Recognition Arrangement on Dental Practitioners)が締結されている。この協定に基づき、ASEAN加盟国は、各国の専門歯科規制当局(PDRA:Professional Dental Regulatory Authority)を通して、自国の歯科医師管理制度を整備・運用している。各国歯科医師の管理・監督制度については、各国PDRAの情報をもとに調査を進めた。
結果と考察
調査対象国では、外国人歯科医師受入制度を含めた歯科医籍登録制度を、明文化・公表されている法的根拠をもとに、PDRAが運用しており、それらの情報は各PDRAのホームページで外国人でも簡単に確認できるものである。歯科医籍登録の種類は、一般的に、完全登録、条件付き登録、仮登録等、歯科医師の労働目的により異なっていた。
結論
MRAを既に導入しているEUおよび周辺各国、米国や、平成23年度に調査を行ったMRA導入前のマレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、そして、韓国、オーストラリアの動向を鑑みると、各国は、国際的な歯科医師の労働力の移動に対し、自国の歯科医療の質を一定レベルに保つために、受入に際して生じる歯科医師の質のばらつき等を防ぐ制度を整備・運用している。ASEAN共同体成立に向け発展をとげるASEANの近隣国として、我が国がこの国際化に対応すべく、国内制度の整備(保険医、歯科医籍)PDRAと同等の機関、また、外国人歯科医師の受入制度の整備を行うと同時に、それに関連する歯科医学教育の在り方を見直し(提案有)、労働力の国際的移動に関する議論を早々に開始すべきであると思われた。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201101008B
報告書区分
総合
研究課題名
国際的な労働力移動自由化時代における歯科医師養成制度のあり方に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鶴田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森尾 郁子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際的な労働力の移動が活発となり、歯科医療関係者、歯科医師の移動が、国境を越えて生じること予測される。医療職は、国ごとの免許登録であるため、国境を越えての労働には、免許内容、労働許可条件の認証が必要となる。本研究では、特に歯科医師の国際的移動の各国現状を分析するために、その養成課程の内容をふまえた情報収集、調査を行うことを目的とした。
研究方法
 平成22年度は、日本、EU/EEA加盟国、米国、平成23年度は、ASEAN地域、東南アジア諸国と韓国、オーストラリアの調査を行った。調査に際しては、各種資料、該当機関訪問によるインタビュー調査等を通して、情報収集・分析を行った。
結果と考察
EU/EEA加盟国では遵守すべき法的根拠が示され、他国歯科医師の受入れ体制を整備していた。一方、教育内容の収斂・標準化を目指す活動が、ヨーロッパ歯科医学教育学会により行われていた。米国では、50州それぞれに州政府としての体制があり、教育要件、臨床要件が様々であった。日本では卒前教育制度、歯科臨床研修制度の充実の一方、生涯研修、社会保障制度保険医管理等で問題点が見出された。ASEAN地域では、ASEAN共同体2015年成立という具体的目標に沿い、AECブループリントが用意され、2009年に歯科医師に関する相互承認枠組み協定(ASEAN Mutual Recognition Arrangement on Dental Practitioners)が締結されている。各国歯科医師の管理・監督制度は、各国各国の専門歯科規制当局(PDRA:Professional Dental Regulatory Authority)を通して整備・運用されている。調査対象国では、外国人歯科医師受入制度を含めた歯科医籍登録制度を、明文化・公表されている法的根拠をもとに、PDRAが運用していた。
結論
各国は、国際的な歯科医師の労働力の移動に対し、自国の歯科医療の質を一定レベルに保つために、受入に際して生じる歯科医師の質のばらつき等を防ぐ制度を整備・運用している。我が国では、ASEAN近隣国として、国際化の流れに対応できる国内制度の整備(保険医登録方法、歯科医籍登録方法等)、PDRAと同等の機関の設置、外国人歯科医師の受入制度整備等を行い、更に関連する歯科医学教育の在り方を見直し(提案有)、労働力の国際的移動に関する議論を早々に開始すべきであると思われた。

公開日・更新日

公開日
2012-11-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201101008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
調査結果より、欧州連合、経済共同体を目指すASEAN加盟国では、歯科医師の自由移動が認められている。各国歯科医師養成課程は、国内歯科保健医療人材養成が基本であるため、資格相互承認を前提とすると、教育内容共有化が必要となり、歯科医師資質の検討が必要となる。国内標準化作業が進む日本では、未だ資格相互承認の議論はなく、本研究で、Professional Dental Regulatory Authority 、歯科医学教育の教育内容の国際標準化に向けての早急な整備を提案した点が、成果として挙げられる。
臨床的観点からの成果
我が国における医学教育において、米国での医業の資格審査を行う米国ECFMGの2010年の通告、『申請条件として「2023年以降は国際的な認証評価を受けている医学部出身者に限る」』を契機に、機関別評価認証だけでなく、分野別認証評価を実施すべく日本医学教育認証評価評議会が発足することとなった。本研究で行われた成果については、今後、国際的な視野を含めての歯科医学教育における分野別認証評価のあり方を検討する際に有用であると考えられる。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
オーストラリアにおける卒前歯科医学教育管理制度:鶴田 潤、森尾郁子、日本歯科医療管理学会雑誌、47巻第3号、210-219、2012年11月
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
インドネシアにおける歯科医学教育事情:鶴田 潤他、日歯教誌、28 巻2号.2012年8月, TPPと今後の歯科医療界:鶴田 潤, 日歯理工誌, Vol.31, No.6, 2012.11
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第53回日本歯科医療管理学会総会・学術大会、7月6日~8日、沖縄、
学会発表(国際学会等)
2件
22nd SEAADE, Annual Meeting,2011、2nd Tri-University Consortium on Oral Science and Education, 2012
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201101008Z