異臭被害原因物質の同定・評価及び浄水処理工程における挙動並びに低減化に関する研究

文献情報

文献番号
201036025A
報告書区分
総括
研究課題名
異臭被害原因物質の同定・評価及び浄水処理工程における挙動並びに低減化に関する研究
課題番号
H22-健危・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 越後 信哉(京都大学大学院 工学研究科)
  • 松下 拓(北海道大学大学院 工学研究院)
  • 小坂 浩司(国立保健医療科学院 水道工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水に混入してくる臭気物質や塩素処理により生成するカルキ臭の原因物質の除去方法、カルキ臭の発生機構について検討を進め、水道水臭気の低減化を目指す。
研究方法
臭気原因物質の同定・定量には、核磁気共鳴装置やガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)を用いた。臭気強度は、三点比較官能試験により実施した。粉末活性炭とさらに粉砕した微粉化活性炭を用いた。
結果と考察
臭気物質及び揮発性有機化合物に関する信頼性の高い網羅的迅速定量分析法の開発のため、国際単位系への計量トレーサビリティを確保して定性及び定量を行う多次元データベースの構築確立をすすめた。現状では、GC/MSの日差変動である検出感度のばらつきが大きい問題が、精度の高い分析法の構築に課題となっている。
塩素処理した全国15箇所の全ての水道原水から、地域によらず、トリクロラミンが検出されたが、その生成能は地域により大きく異なっていた。水道原水のトリクロラミン生成能は、アンモニア態窒素濃度と弱い正の相関を示し、中でもアンモニアが最も相関が高かった。
共存するカルキ臭原因物質は、臭気強度に対して相加的あるいはやや相殺的な効果を示した。N-クロロアルドイミン類の分析法を整備し、水道原水を塩素処理した水から検出したが、濃度はトリクロラミンと比べて低く、寄与率が比較的高かったN-クロロアセトアルドイミンで10-20%程度であった。また、単一の指標として全有機窒素濃度が、他の指標濃度よりも塩素処理後の臭気強度との相関が高かった。
浄水場に近い条件において、トリクロラミンは通常の粒子径の活性炭により分解することができ、他のクロラミン類を生成しなかった。微粉化活性炭では、通常炭よりも速くトリクロラミンを分解した。トリクロラミンの分解には活性炭の材質と粒径が影響し、分解速度定数と外表面積の総和の間には正の相関があった。
結論
臭気物質および揮発性有機化合物に関して、国際単位系への計量トレーサビリティが確保できる網羅的迅速定量分析法の開発に着手した。全国の水道水からトリクロラミンが検出され、トリクロラミン生成能と水道原水中のアンモニア態窒素濃度との相関が高かった。臭気強度は、複数の臭気原因物質の相加的効果が認められ、水道水のカルキ臭には複数の物質の関与が示唆された。これら臭気物質及びそれらの原因物質の除去に微粉化活性炭が効果があった。

公開日・更新日

公開日
2011-07-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036025Z