水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究

文献情報

文献番号
201036024A
報告書区分
総括
研究課題名
水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究
課題番号
H22-健危・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松井 佳彦(北海道大学 大学院工学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院水道工学部)
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院水道工学部)
  • 泉山 信司(国立感染症研究所寄生動物部)
  • 伊藤 禎彦(国立感染症研究所寄生動物部)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院水道工学部)
  • 片山 浩之(東京大学大学院工学系研究科)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部)
  • 西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所総合評価研究室)
  • 平田 睦子(国立医薬品食品衛生研究所総合評価研究室)
  • 松下 拓(北海道大学大学院工学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
51,429,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水質基準の逐次見直し等に資すべき化学物質や消毒副生成物,病原生物等を調査し,着目すべき項目に関してそれらの存在状況,監視,低減化技術,暴露評価とリスク評価に関する研究を行い,水道水質基準の逐次改正等に資するとともに,水源から給水栓に至るまでの水質リスク管理のあり方に関して提言を行う.
研究方法
無機物質,一般的な有機物,微生物,消毒副生成物,農薬,寄与率,リスク評価の7課題群-研究分科会を構築し,研究分担者11名の他に48もの水道事業体や研究機関などから83名の研究協力者の参画を得て,各研究分担者所属の施設のみならず様々な浄水場などのフィールドにおける実態調査を行った.
結果と考察
遺伝子検出法と粉体ろ過法によるクリプトスポリジウム等の新しい検査法について実地検証を行った.操作法の運用に問題はなく,検査結果も良好であったが,阻害が考えられる試料においては追加対策の重要性を再確認した.浄水中と検出される従属栄養細菌叢は異なり再増殖が示唆された.有機フッ素化合物の存在実態調査を実施し,PFOA(64%)PFOS(57%)の検出率と,深井戸よりも浅井戸の方が検出頻度及び濃度が高い傾向がみられた.EDTAと塩化ビニルモノマーは全ての給水栓水中から検出された(<11.2μg/L).凝集剤の塩基度を高めることは残留アルミニウム濃度とピコプランクトン増殖時のろ過濁度を低減に寄与する.NDMA類の全国調査の結果,多くの浄水場の原水・浄水でNDMAが検出され(<1 ng/L),また結合塩素生成能評価では,多くの水道原水が数ng/Lの生成能を示した.農薬実態調査において検出率10%超過は12農薬であった.また第一群以外でも5農薬が比較的高い頻度で検出された.浄水では37農薬が検出され2農薬は検出率10%を超えていた.水田農薬が検出される傾向にあることから水田使用割合を考慮し,さらには水管理状況や農薬の溶解や分解性,出荷量の地域性を考慮して,観測すべき農薬の選定や,第一?三群の分類見直しを行うべきである.水道水質基準評価値の設定に当たって,摂取量のばらつきも考慮した寄与率と割当率の算出を試みたが,水道水の飲用形態等を把握することが必要であると考察された.化学物質の複合暴露によるリスク評価手法や作用機序に基づいた用量反応評価手法の情報をまとめた.
結論
水道原水の状況,水道水に含まれる物質の検出方法,浄水過程における低減化法,毒性情報,暴露量への寄与など水道水質基準の基礎となる多数の知見が得られた。主要な知見は「結果と考察」のとおりである.

公開日・更新日

公開日
2011-07-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201036024Z