家庭用品から放散される揮発性有機化合物の気道刺激性及び感作性を指標とするリスク評価

文献情報

文献番号
201035028A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭用品から放散される揮発性有機化合物の気道刺激性及び感作性を指標とするリスク評価
課題番号
H22-化学・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
香川 聡子(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部 )
  • 神野 透人(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,518,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、シックハウス症候群やアレルギー性鼻炎、気管支喘息の発症・増悪要因と考えられる室内環境化学物質として、特に家庭用品から放散される様々な揮発性有機化合物の気道刺激性及び気道感作性を明らかにするとともに、家庭用品からの放散速度を基に算出した推計暴露量を考慮に入れて生活環境中での健康リスクの蓋然性を判定することにより、指針値策定等のリスク管理が必要と考えられる室内空気中の揮発性有機化合物を特定することを目的とする。
研究方法
家庭用品から放散される可能性のある化学物質としてアクリル酸及びメタクリル酸並びにそのエステル類を中心に、気道刺激性のin vitro評価法として、Transient Receptor Potential (TRP) イオンチャネルの活性化について検討した。感作性については、Non-RI LLNA-DA法及びh-CLAT法を用いて評価した。また、家庭用品から放散される揮発性有機化合物をmicroCTE法による放散試験及びGC/TOFMS測定・デコンボリューション解析により評価した。
結果と考察
家庭用品から放散することが確認されたButyl acrylateや溶剤として広く使用されシックハウス症候群との因果関係も指摘されている2-Ethyl-1-hexanol、Texanolをはじめ、実際に室内環境中に存在する消毒副生成物や微生物由来揮発性有機化合物がTRPイオンチャネルを活性化することを明らかにした。また、Non-RI LLNA-DA法及びh-CLAT法による感作性試験の結果、アクリル酸及びメタクリル酸並びにそのエステル類14種の物質に皮膚感作性を検出し、遊離アクリル酸やアルキル鎖の炭素数が多いエステルがより強い反応を引き起こすことが判明した。また、遮光・防音等の機能付きカーテンやフロアマットから、N,N-Dimethylformamide、Cyclohexanone、Toluene及びButylated hydroxytolueneの他に、2-Ethylhexyl acrylateなどのアクリル酸エステル類やEthanone化合物などが比較的高い放散速度で揮散することが明らかになった。
結論
これまで室内空気中での存在が問題とされていない化合物が家庭用品から放散されることが明らかとなり、その一部の化合物は気道の刺激及び感作を引き起こす可能性を有することが示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035028Z