乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法に関する研究

文献情報

文献番号
201034059A
報告書区分
総括
研究課題名
乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名城大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 経之(長崎国際大学 薬学部)
  • 鈴木 勉(星薬科大学 薬品毒性学研究室)
  • 新田 淳美(富山大学 大学院医学薬学研究部)
  • 疋田 貴俊(大阪バイオサイエンス研究所)
  • 間宮 隆吉(名城大学 薬学部)
  • 曽良 一郎(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学 大学院医学研究科)
  • 西川 徹(東京医科歯科大学 精神行動医科学)
  • 池田 和隆(東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,615,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
覚せい剤をはじめとする乱用薬物による神経毒性や依存症に対する診断法および予防方法・治療薬を開発し、国際的な依存・乱用防止の啓発に役立て、研究成果を社会に還元する。
研究方法
基礎研究と臨床研究のクロストークによる乱用薬物の依存および精神行動障害の分子機序の解明を行った。
結果と考察
これまで開発してきた薬物依存における薬物再使用リスクを評価するシステムであるASI (Addiction Severity Index)日本語版(ASI-J)、SRRS(Stimulant Relapse Risk Scale)および再飲酒リスク評価尺度ARRS(Alcohol Relapse Risk Scale)は国内での臨床応用をさらに発展させるとともに、フランス語版の作成など診断法のグローバル化を進めている。また、前頭葉の活性型ミクログリアの増加が覚せい剤乱用者の精神病症状と関連することを見出したことから、依存性薬物による精神障害の画像解析としての診断法の開発が期待されるとともに、すでに薬物依存治療薬として見出しているミノサイクリンの有用性を強く支持する成果が得られた。基礎研究において予防・治療効果が期待される候補物質としてカンナビノイドCB1受容体拮抗薬、コレシストキニン2受容体拮抗薬およびシクロスポリンを見出した。臨床応用に向けてのこれら薬物の安全性の評価とともに、効果の増強および副作用の克服のためのリード化合物の開発が期待される。また、ドキシサイクリン依存的破傷風菌毒素の発現による可逆的神経伝達阻止、およびアデノ随伴ウイルスベクターにより脳部位特異的に遺伝子を過剰発現・発現低下させる手法を開発し、薬物依存の形成に関わる神経回路を解析することができた。これら新手法を用いることで新規の薬物依存関連神経回路の発見や薬物依存関連遺伝子の脳部位特異的な役割を検討することができ、薬物依存の形成機序の解析が飛躍的に進むことが期待される。本研究課題では薬物依存関連遺伝子の同定だけでなく、その遺伝子のエピジェネティック発現調節についても解明することができ、これら因子の発現変化についての診断やこれらを標的とした予防および治療薬の開発が期待される。
結論
今後の活用が期待される多くの研究成果を得ており、次年度の更なる展開を目指す。

公開日・更新日

公開日
2011-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034059Z